MD Code™とは?――顔全体の美しさを科学的にデザインする注入テクニック
ヒアルロン酸注入やボトックス治療は、近年ますます人気が高まっている美容医療の一領域です。こうした施術をさらにレベルアップさせるアプローチとして、世界的に注目を集めているのが「MD Code™(エムディーコード)」。これは、アラガン社に所属し国際的に著名な美容外科医ドクター・マウリシオ・デ・マイオ(Dr. Mauricio de Maio)が提唱した、顔全体を科学的に分析しながら注入ポイントを体系化した概念です。
本記事では、MD Codeの基本から、その特徴・メリット、そしてMD Codeと相性の良い「トータルフェイシャルトリートメント(TFT)治療」の考え方までをわかりやすく解説していきます。ヒアルロン酸やボトックスによる「自然な若返り」を実現するためのカギとなる手法なので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
- 1. MD Code™とは?――提唱者と基本コンセプト
- 2. MD Code™が生まれた背景:従来の注入法との違い
- 3. MD Code™の主な特徴とメリット
- 4. フェイシャルエリア別の注入ポイント:MD Code™の具体例
- 5. MD Code™とトータルフェイシャルトリートメント(TFT)治療の親和性
- 6. 学術的視点から見るMD Code™の安全性と効果
1. MD Code™とは?――提唱者と基本コンセプト
MD Code™(Medical Codeの略)は、国際的に著名な美容外科医、Dr. Mauricio de Maioが提唱した注入テクニックの体系化された指標です。ヒアルロン酸やボトックスなど、注入系の施術を行う際に、「どの部位に、どの深さで、どのような量を注入すれば理想的な結果を得られるのか」を科学的かつビジュアルに整理したものとして知られています。
アラガン社の国際トレーニングプログラムで採用されており、世界中の医師たちがこのMD Code™を学ぶことで、リスクを最小限に抑えながら、より自然な仕上がりを追求できるようになったと言われています。
2. MD Code™が生まれた背景:従来の注入法との違い
従来のヒアルロン酸注入やボトックス治療は、シワ・たるみなど「悩みのある部位」をピンポイントでケアする考え方が主流でした。しかし、いわゆる「ヒアル顔」と呼ばれる不自然な仕上がりや、顔全体のバランスを欠いた結果に陥りがちになることも問題視されてきました。
そこでDr. Mauricio de Maioは、顔全体をパーツごとに細かく区分し、その区分ごとに最適な注入ポイントと深さをコード化する手法を提唱。こうした「MD Code™」によって、施術者は以下のようなメリットを享受できるようになったのです:
- リスクとなる血管・神経を避ける的確な注入
- 顔全体のバランスを考慮したデザイン
- 施術結果の再現性と予測性の向上
3. MD Code™の主な特徴とメリット
3-1. パーツを細分化し、目的に応じて使い分け
MD Code™では、顔をいくつものパーツ(例:Ck1~Ck4:頬の上部から下部、Tm:こめかみ、Ch:口角など)に分け、そのパーツごとに数値やアルファベットを用いた「コード」が割り当てられています。
施術者は、患者様の悩みに合わせて「どのコードを、どの深さ・角度で注入するか」を検討し、シワやくぼみだけでなく、リフトアップや輪郭形成など、より総合的な若返りを目指すことが可能になります。
3-2. リスク軽減と合併症回避
顔には多くの血管や神経が走行しており、誤った層や部位にヒアルロン酸を注入すると、血管閉塞などの深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。
MD Code™では、解剖学的な観点をもとに安全な注入ゾーンが整理されているため、施術者は血管走行や神経の位置を踏まえたうえで必要最低限の量を注入できます。結果として、患者様にとってもリスク軽減という大きなメリットが生まれるのです。
3-3. 理想的なゴールを明確化しやすい
MD Code™では、例えば「頬のボリュームを改善」「口角を上げて優しい印象へ」「顎をシャープに」など、具体的な施術ゴールをコードごとに設定しやすくなります。
こうした体系化によって、施術前のカウンセリング時に患者様と施術者のゴールイメージを共有しやすいという利点も。実際に、「Ck1とCk2を補正すると、頬のリフト感が増して若々しい印象になる」といった具体的なデザインが可能となります。
4. フェイシャルエリア別の注入ポイント:MD Code™の具体例
MD Code™では、主に下記のようなフェイシャルエリアに細分化され、それぞれコード化されています。例えば、頬周辺はCk(Cheek)、顎はChin(Ch)、こめかみはTm(Temple)など。ここでは、いくつか代表的なコード例を挙げてみましょう:
4-1. 頬の上部(Ck1~Ck2)
顔の中央部である頬は、老化のサインが最も出やすい部位の一つ。頬の上部(Ck1、Ck2)を適切にリフトすると、ほうれい線やマリオネットラインのたるみも軽減し、全体的な若々しさが際立ちます。
4-2. 口角(Mouth Corner: Mコーディング)
「口角が下がっている」「口元が疲れて見える」といった場合は、MD Code™で定義される口角部位(例:M1、M2など)への少量注入で印象がガラリと変わることがあります。特に、左右非対称の補正などもコード化されたポイントを使うことで、より精密なデザインが可能です。
4-3. 顎先・フェイスライン(Chin: Ch)
顎先(Chコード)やフェイスラインを整えることで、横顔のEライン形成やシャープな輪郭を目指せます。ヒアルロン酸製剤の中でもやや硬さがあるもの(例:Juvederm® Voluma、Voluxなど)を選ぶことで、リフト感とシャープなラインを両立することが期待されます。
5. MD Code™とトータルフェイシャルトリートメント(TFT)治療の親和性
単に局所的なシワやくぼみを埋めるだけでは、顔全体のバランスを損ねるリスクがあります。「TFT治療(トータルフェイシャルトリートメント)」は、骨格や筋肉・脂肪・皮膚の状態を総合的に分析して、-5から-10歳の若返りを目指す包括的アプローチです。
MD Code™は、こうした全顔アプローチと非常に相性が良く、以下のようなシナジーが生まれます:
- コード化された注入ポイントをベースに、さらに細かいパーソナライズが可能
- TFT治療の考え方を導入することで、不自然な「ヒアル顔」を回避
- 骨格や加齢による脂肪移動を踏まえたうえで、施術の優先順位が明確になる
顔のあちこちに散らばった悩みを一気に解決するためには、MD Code™のように体系化された注入テクニックが非常に役立つと言えるでしょう。
6. 学術的視点から見るMD Code™の安全性と効果
MD Code™はアラガン社の国際トレーニングで推奨され、血管走行や神経解剖を細かく把握したうえで施術するため、リスク管理の精度が高まるとされています。
また、Dr. Mauricio de Maio自身も多数の症例と臨床研究を通じて、「正しい注入ポイントと深さを守れば、自然な若返りが実現しやすい」と報告しています。特に、ヒアルロン酸製剤の進歩(Vycross®技術など)と合わさることで、より少量でも高い満足度が得られるケースが増えています。
ただし、どれほど優れた理論であっても、実践する施術者の技術力や経験、さらに患者様とのコミュニケーションが欠かせません。MD Code™を理解している医師であっても、個々の顔立ちや加齢の程度を踏まえた柔軟なアレンジが求められます。
総じて、MD Code™は安全かつ効果的な注入法の指標と位置づけられますが、最適な結果を得るには、クリニック選びと医師との丁寧なカウンセリングが欠かせないと言えるでしょう。
まとめ
「MD Code™とは?――」と聞くと難解に思えるかもしれませんが、その本質は「顔を複数のパーツに分割し、科学的かつ解剖学的に最適な注入ポイントを指し示す」というシンプルな考え方にあります。
従来の「悩みの部位だけを埋める」施術法では得にくかった自然なリフトアップや美しい輪郭形成を実現するうえで、MD Code™は欠かせない理論の一つとなりました。さらに、TFT治療(トータルフェイシャルトリートメント)の視点を組み合わせることで、顔全体を-5から-10歳若返らせる“全顔アプローチ”が可能になります。
ヒアルロン酸注入を検討する際は、施術者がMD Code™を理解し、かつ解剖学的リスク管理を徹底しているかどうかを確認するのも一つのポイントです。安全かつ理想に近い仕上がりを求めるなら、最新の注入理論と高い技術力を兼ね備えたクリニックと医師を選び、納得のいくカウンセリングを受けましょう。