糸リフトとヒアルロン酸によるリフトアップの違い──学術的視点で見る施術選びのポイント

「糸リフト」と「ヒアルロン酸」は、いずれも顔のリフトアップや若返りを目的とする人気の美容医療施術ですが、実はアプローチや効果、適応部位など多くの点で違いがあります。
本記事では、-5から-10歳の若返りを目標とするうえで重要となる、糸リフトとヒアルロン酸のそれぞれの特徴・効果・ダウンタイム・安全性・TFT治療との相性を学術的視点から詳しく解説します。どの施術を選べばいいか悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
- 1. 糸リフトとヒアルロン酸の基本的な違い
- 2. 施術方法と効果のメカニズム
- 3. ダウンタイムや持続期間の比較
- 4. 安全性・リスクの学術的考察
- 5. -5から-10歳を目指すTFT治療との相性
- 6. 施術選びのポイント:どちらが向いているか?
- 7. 参考文献
1. 糸リフトとヒアルロン酸の基本的な違い
1-1. 外科的要素の有無
糸リフトは、皮下組織に特殊な糸を挿入して物理的に組織を持ち上げる施術。外科的な要素があるため、糸の挿入口を作るなど多少の侵襲が伴います。一方、ヒアルロン酸注入は、皮膚や脂肪の不足部分をゲル状のヒアルロン酸で補い、支えを作る“注入治療”に分類されるため、メスを使わずに施術できるのが特徴。
このため、施術のダウンタイムやリスク、適応範囲にも大きな違いが現れます。
1-2. リフト感・即効性の違い
– 糸リフト:頬やフェイスラインなどのたるみを物理的に引き上げるため、“即時的なリフト効果”が得られやすい。
– ヒアルロン酸:骨格や脂肪の凹みを内側から補完し、リフトアップ感を間接的にもたらす。ただし、過度な量を入れすぎると不自然になるリスクが。
それぞれが得意とする部分が異なるので、施術目的に応じた選択が求められます。
2. 施術方法と効果のメカニズム
2-1. 糸リフト:皮下の“物理的な”引き上げ
糸リフトでは、溶ける糸(PDOやPCLなど)を皮下組織に通すことで、物理的に組織を引き上げると同時に、糸が溶解する過程でコラーゲン生成を誘導し、肌を引き締める効果を狙います[1]。
頬・フェイスライン・こめかみなど大きなたるみを一気に改善したい場合には有効ですが、糸を通す際の局所麻酔や皮膚の引っ張り感など、施術特有のダウンタイムがあるのが特徴です。
2-2. ヒアルロン酸注入:ボリューム補充によるリフトアップ
ヒアルロン酸は、頬の深層脂肪体や骨膜上など加齢でへこんだ部分を補完することで、下に垂れた皮膚を持ち上げる“内側からのリフト”を実現します[2]。
また、骨格の後退や脂肪の移動を補うことで、全体的にハリを復活させ、-5から-10歳の若返りを目指す施術が可能。メスを使わないため施術時間やダウンタイムが少ないですが、大幅なたるみ改善には物理的リフト(糸リフトや外科手術)を考慮する必要がある場合も。
3. ダウンタイムや持続期間の比較
3-1. ダウンタイム
糸リフト:挿入口周囲の腫れや内出血、軽い痛みが1〜2週間程度続くことが多い。痛みや引っ張り感は徐々に軽減するが、施術後数日は表情に制限を感じる場合も。
ヒアルロン酸:施術直後に軽い腫れや内出血が出ることはあるが、多くは数日〜1週間程度で落ち着く。仕事復帰が早く、マスクなどで隠しやすい点がメリット。
3-2. 持続期間
糸リフト:使用する糸の種類や個人差によって変動し、約6か月〜1年程度効果を実感できるが、その後は徐々に効果が薄れる。糸が溶けても新生コラーゲンで軽度のリフト感を維持できる場合も。
ヒアルロン酸:製剤や個人差で1年半〜2年程度。Vycross®技術を持つアラガン社製などは比較的長持ちとされるが、吸収が進むにつれ効果は緩やかに減退していく[3]。
4. 安全性・リスクの学術的考察
4-1. 血管閉塞や神経障害
糸リフト:針やカニューレで糸を通す際、血管や神経を傷つけるリスクがある。また、挿入口の感染や糸の露出などもまれに報告される[1]。
ヒアルロン酸:誤った層や血管内注入で血管閉塞が起こる可能性。内出血や腫れ、しこり形成などのトラブルも考えられるため、十分な解剖学的知識と技術を持つ医師を選ぶことが重要[4]。
4-2. 過剰な引き上げ・過度なボリューム補填
糸リフト:無理な引っ張り過ぎは表情が不自然になり、顔の歪みを誘発するリスクがある。
ヒアルロン酸:過剰注入による「ヒアル顔」や凹凸、しこりが固定化する可能性。
いずれも適度な量や適切な位置を守る必要がある。
4-3. メンテナンスの観点
糸リフトは一度施術すると徐々に効果が薄れるが、糸の除去や再挿入などやや侵襲的なメンテナンスが必要。ヒアルロン酸は、吸収後に再注入を行うことで比較的容易に形を調整可能という面もある。
5. -5から-10歳を目指すTFT治療との相性
5-1. 部分的な糸リフト+ヒアルロン酸の組み合わせ
頬の大きなたるみには糸リフトで物理的に引き上げ、顎先やこめかみの凹みにはヒアルロン酸を注入するといった組み合わせ施術は、TFT治療(トータルフェイシャルトリートメント)の考え方と相性が良いです。
骨格レベルで失われたボリュームをヒアルロン酸で補いながら、糸リフトで不要なたるみを引き上げることでバランスの取れた自然な若返りを狙えます。
5-2. 人の顔を総合的に捉えるメリット
単に“頬がたるんでいるから糸リフト”ではなく、骨格や脂肪の萎縮が原因ならヒアルロン酸が有効というケースも。TFT治療では顔全体を複数のパーツに分けて分析し、最小限の施術量で-5から-10歳の印象を目指す「ミニマルアプローチ」を重視します。
6. 施術選びのポイント:どちらが向いているか?
6-1. 糸リフトが向いているケース
- 頬やフェイスラインなど中度〜重度のたるみが主訴
- ダウンタイムや針挿入口への抵抗感はあまりない
- 即時的なリフトアップ効果を強く希望
6-2. ヒアルロン酸が向いているケース
- 骨格や脂肪の欠損による凹み、軽〜中度のたるみを内側から補強したい
- メスや糸に対する抵抗がある、ダウンタイムを短く抑えたい
- 顔全体の微調整で自然な若返りを狙いたい
6-3. ハイブリッド施術で相乗効果を得る
上記のどちらでも改善しきれない場合や、部分的な引き上げとボリューム補完が同時に必要な場合には、糸リフト+ヒアルロン酸の併用が効果的。施術順やタイミングを調整し、リスクを分散しながら-5から-10歳の若返りを得やすいアプローチです。
7. 参考文献
- de Santana VL, et al. The Efficacy of Absorbable Polydioxanone (PDO) Threads for Facial Lifting. Aesthetic Surg J. 2019;39(Supplement_1):S8-S15.
- Funt D, Pavicic T. Dermal fillers in aesthetics: an overview of adverse events and prevention. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2013;6:295-316.
- Mendelson BC, Wong CH. Changes in the facial skeleton with aging: implications and clinical applications in facial rejuvenation. Aesthetic Plast Surg. 2012;36(4):753-760.
- De Boulle K. Management of complications after filler injections. J Cosmet Laser Ther. 2014;16(5):239-249.
まとめ
「糸リフト」と「ヒアルロン酸によるリフトアップ」は、いずれも顔のたるみ・しわ改善に効果を発揮しますが、それぞれ施術方法・ダウンタイム・持続期間・リスクなど多くの点で異なります。
- 糸リフト:物理的な引き上げで強力なリフト感、ただし外科的要素がやや強い
- ヒアルロン酸:内側からボリュームを補完し、自然なリフトアップ。施術が手軽な反面、大きなたるみに対しては限界も
ラベール代官山クリニックでは、骨格・脂肪・皮膚の状態を総合的に診断し、TFT治療(トータルフェイシャルトリートメント)の視点で-5から-10歳の若返りを目指す施術を提案。カウンセリングは「LINEメニュー」からのみ予約可能ですので、どちらの施術が自分に合うか迷っている方はぜひご相談ください。安全性と自然な美しさを両立したアプローチで、理想のフェイスラインをサポートします。
