介護付き有料老人ホームの費用解説 – 初期費用から月額までの全情報

介護付き有料老人ホームの費用は、多くの家族が重要視する問題です。

この費用構造は、初期費用、月額、そして追加費用など、様々な要素が複雑に絡み合っています。

本記事では、これらの費用を詳細に解説し、利用可能な資金援助についても触れながら、総合的な理解を深めていきます。

介護付き有料老人ホームの選択を考えている方々に、現実的な費用の目安を示し、適切な判断を下すための手助けとなることを目指しています。

この記事を書いた人
丸岡 悠(まるおか ゆう)
丸岡 悠(まるおか ゆう)
外科医

1988年山形県酒田市生まれ。酒田南高校卒業後、獨協医科大学(栃木)にて医師免許取得。沖縄県立北部病院、独立行政法人日本海総合病院を経て現職(医療法人丸岡医院)。

目次[

介護付き有料老人ホームの費用概要

介護付き有料老人ホームの費用構造について

介護付き有料老人ホームの費用体系は、一見すると複雑に感じられるかもしれません。入居を検討されている方やそのご家族にとって、この仕組みを理解することは極めて重要な課題となります。

施設ごとに金額や内訳が異なるため、綿密な比較検討が求められるのです。

初期費用と月額費用の基本

介護付き有料老人ホームにかかる費用は、大きく初期費用と月額費用に分けられます。初期費用には、入居一時金(入居時に一括で支払う費用)や敷金、保証金などが含まれます。

一方、月額費用は家賃相当額、食費、管理費、介護費用などで構成されており、これらは施設の立地や提供されるサービスの質によって変動します。

費用区分主な内訳
初期費用入居一時金、敷金、保証金
月額費用家賃相当額、食費、管理費、介護費用

追加費用と個別サービス

基本料金に加えて、追加のサービスや個別のケアに対する費用が発生することがあります。具体的には、医療サービス、リハビリテーション、娯楽活動などが該当します。

入居前に、基本料金に含まれるサービスと追加費用が必要なサービスを明確に区別し、確認することをお勧めします。

  • 医療サービス(定期健康診断、専門医の往診など)
  • リハビリテーション(理学療法、作業療法など)
  • 娯楽活動(クラブ活動、外出イベントなど)
  • 個別の介護サービス(特別な介護ニーズに対応するサービス)

費用の地域差と施設の特性

介護付き有料老人ホームの費用は、地域によって大きく異なることをご存知でしょうか。都市部では高額になる傾向がありますが、郊外や地方では比較的低めに設定されていることが多いのです。

さらに、施設の規模や提供されるサービスの質によっても費用は変動します。

地域費用傾向
都市部高額
郊外・地方比較的低め

長期的な費用計画の必要性

介護付き有料老人ホームへの入居は、長期にわたることが多いため、将来を見据えた費用計画が欠かせません。入居者の健康状態や介護度(要介護状態の程度を示す区分)の変化に伴い、必要なサービスや費用が増加します。

そのため、将来的な費用の増加も考慮に入れた計画を立てることが賢明といえるでしょう。

  • 健康状態の変化に伴う費用増加(医療サービスの追加など)
  • 介護度の変更による追加サービス(介護スタッフの増員など)
  • インフレーションの影響(物価上昇に伴う費用の増加)
考慮すべき要因影響
健康状態の変化医療費の増加
介護度の変更サービス内容の変更
インフレーション全体的な費用の上昇

このように、介護付き有料老人ホームの費用は多岐にわたり、複雑な様相を呈しています。入居を検討する際は、現在の費用だけでなく、将来的な変動も含めて総合的に判断することが肝要です。

詳細な情報収集と慎重な比較検討を行い、自身やご家族にとって最適な選択ができるよう心がけましょう。

初期費用の詳細と支払いのタイミング

介護付き有料老人ホームへの入居を検討する際、初期費用の把握は欠かせません。 入居時に一括で支払うケースが多いこれらの費用は、入居計画を立てる上で重要な要素となります。

初期費用の主な構成要素は次の通りです。

  • 入居一時金
  • 敷金
  • 家賃(前払い分)
  • 管理費(前払い分)

各費用の具体的な金額や内容は施設ごとに異なるため、直接問い合わせて確認することをお勧めします。

入居一時金の特徴と役割

介護付き有料老人ホームの初期費用の中で最も高額となりやすいのが入居一時金です。 この費用の性質と目的を正しく理解することが、入居の判断材料として極めて重要になります。

項目内容
性質将来の家賃や介護サービス費用の一部前払い
返還条件契約解除時、一定条件下で一部返還の可能性あり
金額の幅数百万円から数千万円程度
支払い方法一括払いが主流、分割払いを認める施設も存在

入居一時金の設定には、立地や施設規模、提供サービスの内容などが影響します。 高額な費用であるため、支払いには十分な検討と準備が求められます。

敷金の役割と返還条件

敷金は、賃貸住宅と同様に、入居者が施設に預ける保証金的な性質を持つ費用で、退去時の原状回復費用や未払い金の担保として機能します。

通常、家賃の1〜3ヶ月分程度に設定されることが多いですが、施設によって異なります。

敷金の特徴詳細
返還条件退去時、原状回復費用等を差し引いて返還
金額の基準家賃の1〜3ヶ月分が一般的
支払いタイミング入居時に一括で支払う

敷金は全額返還されるわけではない点に注意が必要です。 退去時の精算で、原状回復にかかる費用や未払い金などが差し引かれることを念頭に置いておきましょう。

家賃と管理費の前払いについて

多くの介護付き有料老人ホームでは、入居時に家賃と管理費の前払いが求められます。 この前払い分は一般的に1〜2ヶ月分程度ですが、施設によって変動します。

家賃は居室の利用料金を指し、管理費は共用部分の維持管理や光熱費などに充てられるものです。 これらの費用を前払いすることで、入居後の生活をスムーズにスタートできるよう配慮されています。

費用項目前払いの一般的な期間
家賃1〜2ヶ月分
管理費1〜2ヶ月分

前払いの金額や期間は契約時に明確に示されるべきものです。 不明点がある場合は、躊躇せずに施設側に確認を取ることが大切です。

支払いのタイミングと方法

初期費用の支払いは、契約締結時または入居直前が一般的です。 支払い方法については、以下のようなオプションが考えられます。

  • 現金一括払い
  • 銀行振込
  • クレジットカード(一部の施設のみ)

施設によっては、入居一時金などの高額な費用について分割払いを認めているところもあります。 ただし、分割払いの場合は金利が発生し、総支払額が増加する点に留意しましょう。

支払い方法メリットデメリット
一括払い手続きが簡単まとまった資金が必要
分割払い初期の負担が軽減総支払額が増加する

支払いのスケジュールや方法については、入居を検討している施設に直接確認し、自身の経済状況に合わせて最適な選択をすることが望ましいでしょう。

入居に関する契約を結ぶ際には、これらの費用の詳細や支払い条件について十分に理解した上で署名することが肝心です。

疑問点があれば、遠慮なく施設側に質問し、納得いくまで説明を求めることをお勧めします。

月額費用の計算と含まれるサービス

月額費用の基本構成

介護付き有料老人ホームの月額費用は、入居者の日々の暮らしを支える多岐にわたるサービスや設備利用料から成り立っています。

この複雑な費用体系を把握することは、将来の生活設計を立てる上で欠かせない要素となります。

月額費用を構成する主な要素として、以下のものが挙げられます。

  • 家賃(居室利用料)
  • 管理費
  • 食費
  • 介護費用

各施設によって金額や内訳が異なるため、入居を検討する際には、これらの詳細を丁寧に確認することをお勧めします。

家賃と管理費の内訳

家賃は個々の居室を使用する対価を指し、一方で管理費は共用スペースの維持管理や水道光熱費などの経費に充てられます。

こうした費用は、入居者全員で公平に負担する性質を持つため、その内訳を理解しておくことが重要です。

費用項目含まれる内容
家賃個室の利用料、設備使用料
管理費共用部分の維持管理費、光熱水費の一部

家賃と管理費の金額設定には、施設の所在地や規模、提供されるサービスの品質が大きく影響します。 都心部や高級志向の施設では、これらの費用が比較的高額になる傾向が見られます。

食費の計算方法

食費は入居者の健康維持に直結する重要な要素であり、多くの施設では栄養バランスを考慮した食事が提供されています。

この費用は通常、月額料金に含まれる形で計算されますが、その方法は施設によって異なります。

一般的に採用されている食費の計算方式には、以下のようなものがあります。

  • 定額制:月単位で固定金額を支払う方式
  • 従量制:実際に摂取した食事の回数に応じて計算する方式
計算方式特徴
定額制予算管理がしやすい、欠食時の返金なし
従量制実際の利用に応じた支払い、欠食時の無駄がない

食事の質や量、特別食への対応など、個々のニーズに応じて費用が変動するケースもあるため、事前に詳細を確認しておくことが賢明です。

介護費用の算出基準

介護費用は、入居者個々の要介護度や利用するサービスの内容に基づいて決定されます。

多くの施設では、介護保険制度(公的な介護サービスの利用を支援する制度)を活用することで、自己負担額を抑える工夫がなされています。

介護費用を算出する際には、主に以下の要素が考慮されます。

  • 要介護度(介護が必要な程度を示す指標)
  • 利用するサービスの種類と頻度
  • 介護保険の自己負担割合
要介護度想定される月額介護費用(目安)
要支援1〜22〜4万円
要介護1〜24〜6万円
要介護3〜56〜10万円

ただし、実際にかかる費用は施設や個人の状況によって大きく異なるため、具体的な金額については個別に確認することが不可欠です。

含まれるサービスの範囲

月額費用に含まれるサービスの内容は、施設ごとに多様性があります。一般的に提供されることが多いサービスには、以下のようなものが挙げられます。

  • 24時間体制の介護・看護サービス
  • 健康管理(定期健康診断、医療機関との連携体制)
  • 生活サポート(洗濯、掃除、買い物代行など日常生活の支援)
  • レクリエーション活動の企画・実施
サービス区分具体例
基本サービス食事提供、居室清掃、健康管理
オプションサービス理美容、個別送迎、特別食

基本サービスは月額費用に含まれることが一般的ですが、オプションサービスについては別途料金が発生する場合が多いです。

サービスの範囲と追加料金の有無について、入居を決める前に詳細を確認しておくことをお勧めします。

月額費用の見直しと変動要因

月額費用は、社会情勢の変化や施設の運営状況に応じて、見直しが行われる可能性があります。

入居契約を結ぶ際には、費用改定の条件や頻度について確認しておくことが肝要です。

費用変動を引き起こす主な要因として、以下のような事柄が考えられます。

  • 物価上昇
  • 人件費の変動
  • 施設の改修や設備更新の必要性
  • 介護保険制度の改定
変動要因影響を受けやすい費用項目
物価上昇食費、管理費
介護保険制度改定介護費用

長期的な視点で生活設計を立てる際には、これらの変動要因を考慮に入れ、ある程度の余裕を持った計画を策定することが望ましいでしょう。

また、施設側との良好な関係を築き、定期的に費用の見直しや説明を求める姿勢を持つことも、入居者の権利を守る上で大切なポイントとなります。

追加費用と予期せぬ出費の管理

追加費用の種類と発生要因

介護付き有料老人ホームでの暮らしにおいて、月々の定額料金以外に思わぬ出費が生じる場面に遭遇することがあります。

こうした予想外の支出を事前に把握し、適切にコントロールすることが、心穏やかな入居生活を送る上で欠かせません。

予期せぬ費用が発生する主な要因として、次のようなものが挙げられます。

  • 個別のオプションサービス(入居者の希望に応じて追加される特別なサービス)の利用
  • 医療費や薬代(施設内で提供される基本的な医療サービス以外のもの)
  • 個人的な嗜好品の購入(趣味や娯楽に関連する物品など)
  • イベントや外出時にかかる諸経費

これらの支出は、入居者一人ひとりの生活様式や健康状態によって大きく変動するため、個々の事情に即した資金計画を立てることが肝要です。

追加費用の種類具体例
オプションサービス理美容、個別送迎、特別食
医療関連費用通院費、処方薬代、医療機器レンタル料

予期せぬ出費への対応策

介護生活を送る中で、思いもよらぬ出費に直面することは珍しくありません。 このような不測の事態に備えるため、以下のような対策を講じておくことをおすすめします。

  • 緊急時に備えた予備資金を別途確保しておく
  • 家族間で費用負担の方針について事前に綿密な話し合いを行う
  • 介護保険対象外のサービスに関しては、その必要性を慎重に見極める
  • 定期的に支出内容を精査し、無駄な出費を抑制する努力を怠らない

突発的な支出に慌てふためかないよう、ある程度の余裕資金を用意しておくことが賢明です。

医療費の管理と軽減策

介護付き有料老人ホームに入居していても、医療費は別途必要となるケースが少なくありません。

この出費を効果的に管理するためには、以下の点に留意することが求められます。

  • 高額療養費制度(医療費の自己負担額が一定の限度を超えた場合に、その超過分が払い戻される仕組み)の積極的な活用
  • 後期高齢者医療制度(75歳以上の方を対象とした公的医療保険制度)の理解と適切な適用
  • かかりつけ医との信頼関係構築による無駄な受診の回避
  • 定期的な健康診断を通じた予防医療の実践による長期的な医療費抑制
医療費軽減策内容
高額療養費制度月々の医療費が一定額を超えた部分を払い戻す制度
後期高齢者医療制度75歳以上の方を対象とした医療保険制度

これらの制度を適切に利用することで、医療費の負担を大幅に軽減できる見込みがあります。

オプションサービスの選択と費用管理

多くの介護付き有料老人ホームでは、基本的なケアサービス以外にも多種多様なオプションサービスが用意されています。

これらのサービスは日々の暮らしの質を向上させる一方で、追加の出費を伴うため、慎重な選択が求められます。

オプションサービスを検討する際のチェックポイントとして、以下の事項が挙げられます。

  • 自身のライフスタイルや価値観に合致しているか
  • 支払う費用に見合った効果が期待できるか
  • 継続的に利用するサービスか、一時的なものか
  • 家族の意見や同意が得られているか
オプションサービス例想定される月額費用
個別機能訓練5,000円〜20,000円
特別食(療養食)10,000円〜30,000円

オプションサービスの選択は、入居者の生活の質に直結する重要な決定事項です。 そのため、必要性と費用のバランスを十分に吟味した上で、最適なものを取捨選択することが望ましいでしょう。

イベントや外出時の費用管理

介護付き有料老人ホームでは、入居者の生活に彩りを添えるため、さまざまなイベントや外出の機会が設けられています。

こうした活動に参加する際には、追加の出費が発生することもあるため、適切な管理が不可欠です。

イベントや外出時の費用を効率的に管理するためのポイントとして、以下のような工夫が考えられます。

  • 年間のイベントカレンダーを確認し、参加したい催しを事前にピックアップする
  • 参加費用を月々の生活費の中に組み込んでおく
  • 特別な行事の費用負担について、家族と率直な話し合いの場を持つ
  • 体力や経済的な負担を考慮し、無理のない範囲で参加を決定する
イベント種類想定される費用範囲
日帰り旅行3,000円〜10,000円
季節の祭り1,000円〜5,000円

イベントや外出の機会は、入居者の心身の健康維持に重要な役割を果たします。

費用面での負担を適切に管理しつつ、積極的に参加することで、充実感あふれる施設生活を送ることができるはずです。

費用削減のための資金援助の利用

介護保険制度の活用

介護付き有料老人ホームの費用負担を軽くするには、まず介護保険制度を賢く利用することが肝心です。

この仕組みは、介護サービスを受ける方の経済的な重荷を和らげる役目を担っています。

介護保険制度の特筆すべき点としては、以下のような特徴が挙げられます。

  • 要介護認定(介護の必要度を判定する仕組み)に基づいて、利用できるサービスの上限額が決まる
  • 利用者の自己負担は原則として1割(ただし、一定以上の所得がある場合は2割または3割)
  • 40歳を過ぎた方なら誰でも加入対象となる
要介護度サービス利用限度額(月額)
要支援1約5万円
要介護1約17万円
要介護5約36万円

この制度をうまく活用すれば、有料老人ホームでの暮らしにかかる出費を大幅に抑えられる見込みがあります。

高額介護サービス費制度の利用

介護サービスの利用頻度が高く、月々の負担が家計を圧迫する際に頼りになるのが高額介護サービス費制度です。

この制度を使えば、一定額を超えた部分が後日還付されるため、家計の助けとなります。

高額介護サービス費制度で押さえておくべきポイントは次の通りです。

  • 世帯の収入状況に応じて、自己負担の上限額が設定される
  • 上限を超えた分は申請すれば払い戻しを受けられる
  • 医療保険の高額療養費制度と組み合わせて利用できる
世帯区分自己負担上限額(月額)
一般44,400円
現役並み所得者44,400円〜140,100円

この制度を上手に使いこなせば、介護サービスにかかる出費を抑える効果が期待できます。

特定入所者介護サービス費(補足給付)の活用

収入が少ない方が介護施設に入所する際の食費・居住費を軽減してくれるのが、特定入所者介護サービス費(補足給付)という制度です。

この仕組みは、個人の所得や資産の状況を考慮しながら、段階的な支援を提供します。

補足給付を受けるための主な条件は以下の通りです。

  • 年金などの収入が80万円以下(単身の場合)
  • 預貯金などの資産が単身で1000万円以下(夫婦なら2000万円以下)
  • 日常生活に必要な物以外に、すぐに現金化できる資産を持っていないこと
利用者負担段階食費(日額)居住費(日額・多床室の場合)
第1段階300円0円
第3段階②1,360円370円

この制度のおかげで、経済的に余裕がない方でも、介護施設での生活を現実的な選択肢として考えられるようになります。

社会福祉法人等による利用者負担軽減制度

社会福祉法人が運営する介護サービス事業所を利用する際、一定の条件を満たせば利用料が割引される制度が存在します。

この仕組みは、お金の問題で介護サービスを受けられない人をサポートすることを目指しています。

主な対象となるのは以下のような方々です。

  • 市町村民税が課税されていない世帯の方
  • 生活保護を受けている方
  • 年間の収入が単身世帯で150万円に満たない方
軽減の対象軽減率
介護サービス利用料原則1/4
食費・居住費原則1/4

この制度を利用したい場合は、お住まいの市区町村の窓口で申請手続きを行う必要があります。

生活福祉資金貸付制度の活用

収入が少ない世帯や高齢者世帯を対象とした生活福祉資金貸付制度も、介護施設に入る際の費用負担を和らげる一つの手段となります。

この制度では、必要なお金を低利子または無利子で借りることができるため、経済的な負担を軽減できます。

主な貸付の種類には以下のようなものがあります。

  • 福祉資金(日々の生活を送る上で欠かせないお金)
  • 緊急小口資金(突然の出費で一時的に生活が苦しくなった時の少額の融資)
  • 不動産担保型生活資金(自宅を担保に生活費を借りられる制度)
貸付種類貸付上限額償還期間
福祉資金580万円以内20年以内
緊急小口資金10万円以内12ヶ月以内

この制度を利用する場合は、お住まいの地域の社会福祉協議会に相談してみるのがよいでしょう。

介護付き有料老人ホームへの入居を考える際には、これらの制度をうまく組み合わせることで、家計への負担を抑えつつ、必要なケアを受けられる環境を整えることができます。

各制度の細かな内容や利用条件については、お住まいの市区町村の担当窓口や地域包括支援センターに足を運んで相談するのが一番確実です。

介護付き有料老人ホーム費用の平均に関する現実的なガイダンス

介護付き有料老人ホームの費用構造について

介護付き有料老人ホームにかかる費用は、さまざまな要素が絡み合って構成されています。

その内訳を正確に把握することが、将来の生活設計を立てる上で欠かせません。

一般的に、料金体系は大きく分けて初期費用と月額費用の2本立てになっています。初期費用には、主に次のようなものが含まれます。

  • 入居一時金(施設への入居権を得るための一時金)
  • 敷金(退去時の原状回復費用などに充てられる保証金)
  • 居室の改装費用(個人の好みや必要に応じた部屋の改修費用)

他方、月額費用は以下のような項目で構成されるのが通例です。

  • 家賃(居室の利用料)
  • 食費(日々の食事代)
  • 管理費(共用部分の維持管理や光熱費など)
  • 介護費用(個別の介護サービスにかかる費用)

ただし、これらの費用は施設の立地条件やサービスの質によって大きく上下するため、一概に「平均的な金額」と呼べるものを示すのは困難です。

地域による費用の違い

介護付き有料老人ホームの料金は、その施設がどの地域に位置しているかによって、かなりの開きがあります。概して、都会の施設は地方の施設と比べると割高になる傾向が顕著です。

地域月額費用の目安(介護保険サービス利用時)
東京都25万円〜40万円
大阪府20万円〜35万円
地方都市15万円〜25万円

とはいえ、ここに示した金額はあくまでも目安にすぎず、実際の費用は施設ごとに千差万別です。

地域の物価水準や人件費、土地の価格なども、料金設定に少なからぬ影響を及ぼしています。

サービス内容による費用の変動

介護付き有料老人ホームの料金は、提供されるサービスの中身や質によっても大きく変わってきます。

高級感を売りにしている施設や、より手厚いケアを前面に打ち出している施設では、当然のことながら料金も高めに設定されています。

サービス内容による費用の差は、主に以下のような要素から生じます。

  • 居室の広さや設備の充実度
  • 食事の質や選択肢の豊富さ
  • レクリエーション活動の種類と開催頻度
  • 医療サービスの充実度
サービスレベル月額費用の目安
スタンダード15万円〜25万円
プレミアム25万円〜40万円
ラグジュアリー40万円〜

ただし、このような区分や金額の設定は施設によってまちまちですので、具体的な内容を丹念に確認することが肝要です。

介護度による費用の変化

入居者の要介護度によっても、介護付き有料老人ホームの料金は変動します。

一般論として、介護度が上がるほど、必要とされるケアの量も増えるため、費用も比例して上昇する傾向にあります。

介護度による費用の違いは、主に次のような要因から生じます。

  • 介護スタッフの配置人数の増加
  • 利用する介護サービスの種類と頻度の変化
  • 医療的ケアの必要性の高まり
介護度追加介護費用の目安(月額)
要介護12万円〜5万円
要介護35万円〜10万円
要介護510万円〜20万円

ここに示した金額は、介護保険サービスを利用した場合の自己負担分の目安であり、実際の費用は施設や個人の状況によって大きく異なります。

現実的な費用の見積もり方

介護付き有料老人ホームの費用を現実的に見積もるためには、次のような手順を踏むことをおすすめします。

  1. 希望する地域と施設のタイプを絞り込む
  2. 複数の施設に資料請求し、費用の詳細を丹念に比較する
  3. 実際に足を運んで施設を見学し、サービス内容と費用の妥当性を自分の目で確かめる
  4. 介護保険サービスの利用可能額を確認し、自己負担額を綿密に計算する
  5. 長期的な視点に立ち、費用の変動可能性も念頭に置く

これらのステップを丁寧に踏んでいけば、より正確で現実味のある費用の見積もりが可能になります。

隠れた費用への注意

介護付き有料老人ホームの費用を検討する際、表面上の金額だけでなく、目に見えにくい隠れた費用にも十分な注意を払う必要があります。

これらの費用は、入居後に思わぬ出費となって家計を圧迫する恐れがあるため、事前にしっかりと把握しておくことが肝心です。

特に注意を要する隠れた費用としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 介護度が上がった際の追加費用
  • オプションサービスの利用料
  • 医療費や薬代
  • 日用品の購入費
  • レクリエーション活動への参加費
隠れた費用の例想定される金額(月額)
日用品費5,000円〜10,000円
医療費(自己負担分)10,000円〜30,000円

これらの費用は個人の生活スタイルや健康状態によって大きく変わるため、ある程度の余裕を持った計画を立てることが賢明です。

介護付き有料老人ホームの費用は、一口に「平均」と言えるようなものはなく、さまざまな要因によって大きく上下します。

そのため、自身のニーズと予算を慎重に見極め、複数の選択肢を時間をかけて比較検討することが欠かせません。

また、将来的な費用の変動可能性も視野に入れ、長期的な展望に立って計画を練ることをおすすめします。

費用面で不安が拭えない場合は、介護保険制度や各種補助金制度の活用も視野に入れつつ、専門家のアドバイスを仰ぐのも有効な手立てとなるでしょう。

入居を決める前に、こうした多角的な検討を重ねることで、より安心できる選択につながります。

以上

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