おでこの凹みにプロテーゼは本当に安全?手術の実際と他治療法との賢い選択基準

この記事の執筆者

丸岡 悠 医師
丸岡 悠(まるおか ゆう)
医療法人丸岡医院 理事

1988年山形県酒田市生まれ。酒田南高校卒業後、獨協医科大学(栃木)にて医師免許取得。 沖縄県立北部病院、独立行政法人日本海総合病院を経て現職(医療法人丸岡医院)。ラベールミラクリニック新井医師に師事し、ヒアルロン酸TFT治療を学び、庄内プライベートクリニック(美容外科/美容皮膚科)を開業。

鏡に映る自分の横顔を見て、「なんだか平坦で立体感がない…」と感じたことはありませんか?特に、写真を撮られたときに正面は良いのに横顔に自信が持てない、前髪を上げるスタイルに挑戦したいけれど、おでこの形が気になって躊躇してしまう。そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

おでこの凹みや平坦さは、顔全体の印象に大きな影響を与えます。ふっくらと丸みのあるおでこは女性らしい優しい印象を与え、横顔のシルエットも美しく見せてくれます。一方で、凹んだり平坦だったりするおでこは、どこか寂しげで疲れた印象を与えてしまうことがあります。

そんなおでこの悩みを解決する方法の一つとして、近年注目されているのが「プロテーゼ挿入」です。半永久的な効果が期待できる一方で、「手術」という響きに不安を感じる方も多いでしょう。「本当に安全なの?」「痛みはどの程度?」「他の治療法とはどう違うの?」「費用はどのくらいかかるの?」

この記事では、おでこのプロテーゼ挿入について、美容医療の専門的な知識を日常的な視点で分かりやすく解説していきます。手術の詳細な流れから、メリット・デメリット、他の治療法との比較、そして最も重要な「あなたにとって最適な選択は何か」という判断基準まで、包括的にお伝えします。

美容医療は、あなたの人生をより豊かにするためのツールです。正しい知識を持った上で、納得のいく選択をしていただけるよう、しっかりとサポートいたします。

目次

おでこの凹みはなぜ起こる?知っておきたい根本的な原因

プロテーゼ治療について理解する前に、まずは「なぜおでこが凹んで見えるのか」その原因を知ることが大切です。原因を理解することで、どの治療法が自分に最適かが見えてくるからです。

骨格による生まれつきの形状

おでこの形は、主に前頭骨という頭蓋骨の形によって決まります。これは、まるで家の骨組みのようなもので、生まれつきの骨格によって基本的な形状が決定されます。

日本人を含むアジア系の人種は、一般的に前頭骨が平坦な傾向があります[1]。これは人種的な特徴であり、決して異常なことではありません。しかし、この骨格的特徴により、欧米人のような立体的で丸みのあるおでこに憧れを抱く方が多いのも事実です。

骨格による凹みの場合、表面的なスキンケアや注入治療だけでは根本的な改善が困難で、より構造的なアプローチが必要になります。

加齢による組織の萎縮

年齢を重ねると、顔全体の脂肪や筋肉が減少し、骨も徐々に吸収されていきます[2]。これは、長年住んだ家が少しずつ古くなっていくのと似ています。

特におでこ周辺では、皮下脂肪の減少により、もともと目立たなかった骨の凹凸が浮き出て見えるようになります。また、眉毛上の骨(眉弓)が相対的に突出して見えることで、おでこの平坦さが強調されてしまうこともあります。

このような加齢による変化は、30代後半から徐々に始まり、40代以降により顕著になってきます。

外傷や先天的要因による変形

交通事故やスポーツでの怪我、あるいは先天的な要因により、前頭骨に凹みや変形が生じることがあります。このような場合は、単純な美容的な悩みを超えて、機能的な問題や心理的な負担を伴うこともあります。

外傷による変形の場合、保険適用での治療が可能な場合もありますので、まずは形成外科での相談をお勧めします。

これらの原因を理解すると、おでこの凹み治療には主に3つのアプローチがあることが分かります。表面的なボリューム補充(ヒアルロン酸注入や脂肪注入)、中程度の構造改善(プロテーゼ挿入)、そして大規模な骨格改善(骨切りや骨セメント)です。プロテーゼは、この中でも比較的確実で持続的な効果が期待できる治療法として位置づけられています。

プロテーゼとは?材質と種類の詳細解説

プロテーゼ(prosthesis)とは、身体の欠損部分を補ったり、形を整えたりするために使用される人工的な器具のことです。美容医療では、主にシリコン製のインプラントを指します。

シリコンプロテーゼの特徴と安全性

美容医療で使用されるシリコンプロテーゼは、医療用グレードのシリコンエラストマーで作られています[3]。これは、人体に対する生体適合性が高く、長期間体内に留置しても安全性が確認されている材料です。

シリコンの特徴を身近な例で説明すると、それは高品質なゴムのような柔軟性を持ちながら、同時に形状を保持する強度も備えています。触感は人間の軟骨に近く、適切に挿入されれば違和感の少ない自然な仕上がりが期待できます。

また、シリコンは化学的に安定した素材で、体温や湿気、時間の経過による劣化が起こりにくいという特徴があります[4]。これは、一度挿入すれば長期間にわたって形状を維持できることを意味します。

オーダーメイドプロテーゼの優位性

従来の既製品プロテーゼは、限られたサイズや形状の中から選択する必要がありました。しかし、現在では患者一人ひとりの骨格に合わせたオーダーメイドプロテーゼが製作可能になっています[5]。

オーダーメイド製作のプロセスは、まるで靴を足に合わせて作るオーダーメイドシューズのようなものです。事前にCTスキャンを行い、3Dプリンター技術を使って患者の正確な骨格模型を作成し、その上で理想的な形状のプロテーゼを設計・製作します。

この個別設計により、プロテーゼの輪郭が浮き出るリスクが大幅に軽減され、より自然で美しい仕上がりが期待できます。また、左右差の調整や、患者の具体的な希望に応じた細かな形状調整も可能です。

メタクリル酸メチルという選択肢

一部のクリニックでは、シリコンプロテーゼに代わる選択肢として、メタクリル酸メチル(PMMA)を使用した額形成術を行っています[6]。

メタクリル酸メチルは、もともと脳神経外科で頭蓋骨欠損の修復に使用されている医療材料です。液体状で注入し、体内で徐々に硬化するため、手術中にリアルタイムで形状を調整できるという大きな利点があります。

これは、陶芸で粘土を形作るように、手術中に理想的な形状を作り上げることができる技術です。硬化後は骨とほぼ同じ硬さになるため、非常に自然な触感が得られます。

ただし、この治療法は高度な技術と経験を要するため、限られたクリニックでのみ実施されています。また、修正が困難であるという側面もあるため、慎重な検討が必要です。

プロテーゼ挿入手術の詳細な流れ

プロテーゼ挿入手術がどのように行われるのか、実際の流れを詳しく説明します。

事前カウンセリングとシミュレーション

手術は詳細なカウンセリングから始まります。医師は、あなたのおでこの現状を詳しく診察し、骨格の特徴、皮膚の厚さ、筋肉の状態などを総合的に評価します。

多くのクリニックでは、手術前にヒアルロン酸を使用したシミュレーションを行います[7]。これは、実際の手術結果を事前に体験できる貴重な機会です。短期間で吸収される特殊なヒアルロン酸を注入し、理想とする高さや形状を確認することで、プロテーゼのデザインを決定します。

このシミュレーションにより、「思っていたのと違った」というリスクを大幅に軽減することができます。

手術当日の流れ

麻酔と準備 手術は局所麻酔または静脈麻酔下で行われます[8]。静脈麻酔の場合、眠った状態で手術を受けることができるため、手術への不安が強い方にも適しています。

切開とアプローチ 髪の生え際から約2-3cm上の位置で、髪の毛に隠れる部分を3-4cm程度切開します。この位置を選ぶことで、手術後の傷跡が目立ちにくくなります。

切開部位の選択は、まるで洋服の縫い目を目立たない場所に配置するような考え方です。適切に行われれば、髪の毛で完全に隠れるため、日常生活で傷跡を気にする必要はありません。

骨膜下の剥離 切開後、前頭骨の表面を覆う骨膜という薄い膜の下を丁寧に剥離し、プロテーゼを挿入するためのスペースを作ります。この作業は、まるで絵画の額縁を壁から外すときに、壁紙を傷つけないよう慎重に作業するのと似ています。

プロテーゼの挿入と調整 オーダーメイドプロテーゼの場合、事前に製作されたプロテーゼを挿入し、位置や角度を調整します。プロテーゼは柔軟性があるため、小さな切開創からでも挿入可能です。

挿入後は、左右の対称性や全体のバランスを確認し、必要に応じて微調整を行います。

固定と縫合 プロテーゼが適切な位置に配置されたら、チタン製の小さなスクリューで骨に固定します[9]。これにより、プロテーゼのずれや回転を防ぐことができます。

最後に、切開部位を丁寧に縫合し、適切なドレッシングを行います。手術時間は通常60-90分程度です。

術後の経過と管理

immediate post-operative period(術直後) 手術直後は、麻酔が覚めるまで安静にしていただきます。痛みは一般的に軽度で、処方される鎮痛剤で十分にコントロール可能です。

1-2週間 この期間は腫れが最も強い時期です。腫れは重力の影響で徐々に下降し、目の周りにも及ぶことがあります[10]。これは正常な反応で、冷却や頭部挙上により軽減できます。

1-3ヶ月 腫れが徐々に引き、最終的な仕上がりに近づいていきます。この期間中は、激しい運動や頭部への強い刺激を避ける必要があります。

3ヶ月以降 ほぼ最終的な仕上がりが完成します。プロテーゼ周囲の組織が安定し、自然な状態になります。

他の治療法との詳細比較

おでこの凹み治療には、プロテーゼ以外にも複数の選択肢があります。それぞれの特徴を詳しく比較してみましょう。

ヒアルロン酸注入との比較

効果の持続期間 ヒアルロン酸は体内で徐々に分解されるため、効果は通常1-2年程度です[11]。一方、プロテーゼは一度挿入すれば半永久的な効果が期待できます。

長期的なコストを考えると、ヒアルロン酸を5年間継続した場合の総費用は、プロテーゼ1回の費用を上回ることが多くあります。

施術の手軽さ ヒアルロン酸注入は注射のみで完了し、ダウンタイムもほとんどありません。プロテーゼは外科手術を要し、1-2週間程度のダウンタイムが必要です。

効果の可逆性 ヒアルロン酸は分解酵素により除去可能ですが、プロテーゼの除去には再手術が必要です。

安全性のリスク ヒアルロン酸注入では、おでこの血管が豊富なため、血管塞栓のリスクが指摘されています[12]。プロテーゼでは、感染や位置異常などのリスクがあります。

脂肪注入との比較

材料の違い 脂肪注入では自分の脂肪を使用するため、アレルギーリスクがありません[13]。プロテーゼは人工材料ですが、医療用シリコンの安全性は十分に確立されています。

効果の予測可能性 プロテーゼは挿入した分だけ確実に効果が得られます。脂肪注入では、定着率が50-70%程度で個人差があり、効果が予測しにくいという側面があります[14]。

仕上がりの質感 脂肪注入は非常に自然な仕上がりが期待できます。プロテーゼも適切に挿入されれば自然ですが、皮膚の薄い方では輪郭を感じることがあります。

追加治療の必要性 脂肪注入では、理想的な結果を得るために複数回の治療が必要な場合があります。プロテーゼは基本的に1回の手術で完了します。

骨セメント(ハイドロキシアパタイト)との比較

材料の特性 骨セメントは骨に近い成分のため、生体適合性が非常に高いとされています[15]。硬化後は骨と一体化し、非常に自然な状態になります。

手術の規模 骨セメント手術は、冠状切開という大きな切開を要し、全身麻酔が必要です。プロテーゼは小切開で局所麻酔または静脈麻酔で可能です。

費用の違い 骨セメント手術は、技術的難易度と材料費の関係で、プロテーゼよりも高額になる傾向があります。

修正の可能性 プロテーゼは除去や交換が比較的容易ですが、骨セメントは一度施術すると修正が困難です。

費用の詳細分析と長期的なコスト

プロテーゼ挿入の費用について、詳しく分析してみましょう。

プロテーゼ挿入の費用構成

基本手術費用:30-50万円 これには、手術技術料、プロテーゼ代、基本的な設備使用料が含まれます。クリニックの立地や医師の経験により価格差があります[16]。

オーダーメイド加工費:10-20万円 既製品プロテーゼではなく、オーダーメイドプロテーゼを選択する場合の追加費用です。CTスキャン、3Dモデリング、特別製作費が含まれます。

麻酔費用:3-8万円 局所麻酔は比較的安価ですが、静脈麻酔や全身麻酔を選択する場合は費用が上がります。

術後ケア費用:2-5万円 定期検診、薬剤費、緊急時対応などの費用です。多くのクリニックでは基本料金に含まれています。

総額の相場 標準的なプロテーゼ挿入の総額は、35-75万円程度が相場です。有名クリニックや都心部では、より高額になる傾向があります。

他治療法との長期コスト比較

ヒアルロン酸の場合 1回あたり10-25万円で、1.5-2年ごとの継続が必要です。5年間で50-125万円、10年間では100-250万円程度の費用が必要になります。

脂肪注入の場合 1回あたり30-50万円ですが、満足のいく結果を得るために2-3回の施術が必要な場合があります。総額60-150万円程度を見込む必要があります。

骨セメントの場合 1回あたり80-200万円程度と高額ですが、半永久的な効果が期待できます。

隠れたコストの考慮

ダウンタイム中の機会損失 手術後1-2週間は社会復帰が制限される可能性があります。職業によっては、有給休暇の使用や収入の減少を考慮する必要があります。

メンテナンス費用 定期検診や、万が一の修正治療費用も予算に含めておくことが賢明です。

保険適用の可能性 先天性の変形や外傷による変形の場合、条件により保険適用となる可能性があります。まずは形成外科での相談をお勧めします。

リスクと注意点:現実的な視点から

プロテーゼ挿入は比較的安全な手術ですが、どんな医療行為にもリスクは存在します。十分に理解した上で決断することが重要です。

一般的なリスクとその対策

感染リスク 手術部位の感染は、適切な術前準備と術後管理により、1-2%程度に抑えることができます[17]。万が一感染が生じた場合は、抗生剤治療やプロテーゼの一時除去が必要になることがあります。

感染を防ぐためには、術前の体調管理、禁煙、術後の清潔保持が重要です。特に喫煙は血流を悪化させ、感染リスクを大幅に上昇させるため、手術の2週間前からの禁煙が強く推奨されます[18]。

プロテーゼの位置異常 手術後にプロテーゼがずれたり、回転したりするリスクがあります。これを防ぐため、適切な固定(スクリュー固定)と術後の安静が重要です。

血腫・内出血 手術部位の血管損傷により、血腫や内出血が生じることがあります。軽度のものは自然に吸収されますが、大きな血腫は除去が必要な場合があります。

長期的なリスクへの対応

皮膚の菲薄化 年齢とともに皮膚が薄くなることで、プロテーゼの輪郭が浮き出て見える可能性があります[19]。これは、特に皮膚の薄い方や高齢になってから手術を受ける方に起こりやすいリスクです。

このリスクを軽減するためには、適切な厚さのプロテーゼ選択と、エッジ処理の丁寧な施術が重要です。

カプセル拘縮 体内に異物が入ると、それを包み込む線維性の膜(カプセル)が形成されます。このカプセルが過度に収縮すると、プロテーゼの形が変形したり、硬く感じたりすることがあります。

プロテーゼの劣化 現在使用されている医療用シリコンは非常に安定した材料ですが、10-20年という長期間では、わずかな劣化や形状変化が起こる可能性があります。

リスクを最小化するための選択基準

医師の経験と技術 プロテーゼ挿入は技術的に高度な手術です。十分な経験を持つ形成外科専門医を選ぶことが、リスク軽減の最も重要な要素です。

クリニックの設備と体制 万が一の合併症に対応できる設備と体制を整えたクリニックを選びましょう。特に、緊急時の対応や修正手術の経験が豊富なクリニックが安心です。

アフターケアの充実 術後のフォローアップがしっかりしているクリニックを選ぶことで、早期発見・早期対応が可能になります。

治療成功のための実践的アドバイス

プロテーゼ挿入を成功させるためには、治療前後の適切な準備と管理が重要です。

治療前の準備

体調管理と生活習慣の改善 手術の2-4週間前から、以下の点に注意しましょう:

  • 禁煙:血流改善と感染予防のため
  • 適度な運動:全身の血行促進
  • バランスの良い食事:創傷治癒に必要な栄養素の摂取
  • 十分な睡眠:免疫力の維持

これらは、手術の成功率を高め、回復を早めるための重要な要素です。

スケジュール調整 ダウンタイムを考慮したスケジュール調整が必要です:

  • 手術後1週間:腫れがピークになる期間
  • 手術後2週間:人前に出ても違和感の少ない状態
  • 手術後1ヶ月:ほぼ通常の活動が可能

重要な仕事やイベントがある場合は、十分な余裕を持ったスケジューリングを心がけましょう。

期待値の調整 現実的な改善目標を設定することが重要です。医師との十分なコミュニケーションにより、過度な期待を避け、満足度の高い結果を目指しましょう。

治療後のケア

術後48時間の重要性 手術後最初の48時間は、プロテーゼの位置が安定する重要な期間です:

  • 頭部を心臓より高い位置に保つ(腫れの軽減)
  • 冷却(痛みと腫れの軽減)
  • 安静(プロテーゼの位置安定)
  • うつ伏せ寝の禁止

日常生活への復帰 段階的な活動レベルの向上が重要です:

  • 1週間:軽い散歩程度
  • 2週間:デスクワークなどの軽い仕事
  • 1ヶ月:通常の仕事や軽い運動
  • 3ヶ月:激しい運動やコンタクトスポーツ

長期的なメンテナンス 定期的な検診により、プロテーゼの状態を確認しましょう:

  • 術後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年の定期検診
  • 年1回の定期検診(長期間)
  • 異常を感じた際の随時相談

あなたに最適な選択をするための判断基準

多くの治療選択肢の中から、あなたに最適なものを選ぶための具体的な判断基準をご紹介します。

ライフスタイルに基づく選択

職業による制約

  • 人前に出る仕事:ダウンタイムの短いヒアルロン酸から開始
  • 時間に余裕がある:プロテーゼや脂肪注入を検討
  • 体力的な仕事:手術後の制限期間を十分に考慮

年齢による考慮

  • 20-30代:ヒアルロン酸で様子を見てからプロテーゼを検討
  • 40-50代:長期効果を重視してプロテーゼや脂肪注入
  • 60代以降:皮膚の薄化を考慮し、より慎重な検討が必要

経済的な条件

  • 初期費用を抑えたい:ヒアルロン酸注入
  • 長期的なコスパを重視:プロテーゼや脂肪注入
  • 最高の結果を求める:オーダーメイドプロテーゼや骨セメント

解剖学的条件による選択

皮膚の厚さ

  • 皮膚が厚い:どの治療法も適応
  • 皮膚が薄い:ヒアルロン酸や脂肪注入を優先検討
  • 非常に薄い:慎重な治療法選択が必要

骨格の特徴

  • 軽度の平坦さ:ヒアルロン酸や脂肪注入で十分
  • 中等度の凹み:プロテーゼが最適
  • 高度な変形:骨セメントや骨切りも検討

希望する変化の程度

  • 自然な改善:ヒアルロン酸や脂肪注入
  • しっかりとした変化:プロテーゼ
  • 劇的な変化:骨セメントや複合的治療

心理的準備度による選択

手術への不安度

  • 手術が怖い:ヒアルロン酸注入から開始
  • ある程度は大丈夫:脂肪注入やプロテーゼ
  • しっかりとした結果を求める:プロテーゼや骨セメント

完璧主義の傾向

  • 完璧な結果を求める:オーダーメイドプロテーゼ
  • 自然な改善で満足:脂肪注入やヒアルロン酸
  • まずは試してみたい:ヒアルロン酸注入

未来への視点:長期的な美容戦略

プロテーゼ挿入は一時的な改善ではなく、長期的な美容戦略の一部として考えることが重要です。

年齢を重ねることへの対応

プロテーゼを挿入したおでこも、加齢とともに少しずつ変化していきます。これは自然なプロセスであり、完全に止めることはできません。

しかし、適切なスキンケア、紫外線対策、健康的な生活習慣により、この変化のスピードを遅らせることは可能です[20]。また、必要に応じて他の美容治療との組み合わせにより、美しい状態を長期間維持することができます。

技術の進歩への期待

美容医療の技術は日々進歩しており、プロテーゼの分野でも新しい材料や技術が開発されています。

3Dプリンター技術の発展により、より精密なオーダーメイドプロテーゼの製作が可能になっています。また、生体適合性のさらに高い新素材の開発も進んでいます。

将来的には、現在よりもさらに安全で自然な結果が期待できる技術が登場する可能性があります。

総合的な美容アプローチ

おでこの改善は、顔全体の調和を考慮した総合的なアプローチの一部として位置づけるべきです。

他の部位とのバランスを考慮し、段階的な改善計画を立てることで、より自然で美しい結果を得ることができます。また、スキンケアやメイクテクニックとの組み合わせにより、治療効果を最大化することも可能です。

まとめ:賢い選択のために

おでこの凹みに対するプロテーゼ挿入は、適切な条件下で行われれば、非常に効果的で満足度の高い治療法です。半永久的な効果と自然な仕上がりが期待できる一方で、外科手術というリスクとダウンタイムを伴います。

最も重要なのは、あなたの具体的な状況—年齢、職業、経済状況、解剖学的特徴、そして心理的準備度—を総合的に考慮して治療法を選択することです。

プロテーゼが最適な選択肢となるのは:

  • しっかりとした長期的効果を求める方
  • 中等度以上のおでこの凹みがある方
  • 手術とダウンタイムを受け入れられる方
  • 経済的に余裕がある方

一方で、以下の場合は他の治療法を優先検討することをお勧めします:

  • 手術への不安が強い方
  • ダウンタイムが取れない方
  • まずは軽度の改善を試したい方
  • 皮膚が非常に薄い方

どの治療法を選択するにしても、十分な経験と技術を持つ医師のもとで、詳細なカウンセリングを受けることが成功の鍵となります。複数のクリニックでセカンドオピニオンを求めることも、賢い選択につながります。

美容医療は、あなたの人生をより豊かにするためのツールです。正しい知識と適切な選択により、満足のいく結果を得られることを心より願っています。

決して焦らず、十分に検討した上で、あなたにとって最良の選択をしてください。そして、どのような選択をするにしても、それはあなた自身の人生をより良くするための前向きな一歩なのです。


参考文献

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