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痛風の症状と治療|代謝・内分泌

みなさんこんにちは。今日は「痛風」について、僕が内科の外来で日々感じていることを率直にお話しさせていただきます。正直、痛風って「贅沢病」とか「ビール飲みすぎでしょ」みたいなイメージを持たれがちなのですが、実際に診療していると、そんな単純な話ではないのです。夜中に突然足の親指が腫れ上がって、激痛で眠れなくなって、翌朝慌てて来院される方を僕は何人も診てきました。だからこそ今日は、痛風について「本当に知っておくべきこと」をみなさんと共有したいと思います。

本記事は教育的情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を行うものではありません。気になる症状がある方は、必ずかかりつけ医にご相談ください。

この記事を書いた人
丸岡 悠(まるおか ゆう)
丸岡 悠(まるおか ゆう)
外科医

1988年山形県酒田市生まれ。酒田南高校卒業後、獨協医科大学(栃木)にて医師免許取得。沖縄県立北部病院、独立行政法人日本海総合病院を経て現職(医療法人丸岡医院)。

痛風とは

痛風というのは、簡単に言えば「血液中の尿酸が増えすぎて、関節に結晶として溜まり、激しい炎症を起こす病気」です。ではなぜ尿酸が増えるのか?それは体の中で「プリン体」という物質が分解される過程で尿酸が作られるのですが、その産生量が多すぎるか、腎臓からの排泄がうまくいかないか、その両方が重なることで血中の尿酸値が上がるわけです。

尿酸値の基準として、7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」と診断されます。ただ、尿酸値が高いからといってすぐに痛風発作が起きるわけではありません。ここが外来でよく誤解されるポイントで、「尿酸値が8.0あるけど何も症状がないから大丈夫ですよね?」と聞かれることがめちゃくちゃ多いのです。でも実はこの「何も起きていない時期」にこそ、体の中では着々と尿酸の結晶が蓄積しているわけです。ある日突然、それが発作として爆発する。僕はいつも患者さんに「時限爆弾みたいなものです」とお伝えしています。

ちなみに痛風という名前の由来は「風が当たっただけでも痛い」というところから来ているとされています。実際に発作を経験した患者さんに聞くと、「先生、マジで布団が触れただけで叫びました」とおっしゃる方がとても多い。それくらい痛いのです。

痛風の患者数・疫学データ

日本における痛風患者数は約110万人と推計されています。そして痛風の予備軍とも言える「高尿酸血症」の方は、なんと約1,000万人以上にのぼるとされています。正直、僕もこの数字を見た時は驚きました。成人男性の約20%が高尿酸血症という報告もあります。

ではなぜこんなに多いのか?それは食生活の変化が大きく関係しているのです。戦後の日本では痛風は珍しい病気でしたが、食事の欧米化が進んだ1960年代以降、患者数は急激に増えました。現在では「国民病」と言っても過言ではない状況です。

痛風は圧倒的に男性に多い疾患で、患者の約98%が男性です。女性ホルモンには尿酸の排泄を促す作用があるため、閉経前の女性は痛風になりにくいわけです。ただ閉経後は女性でも発症リスクが上がるので油断はできません。年齢層で見ると、30〜50代の働き盛りの男性に最も多く、最近では20代での発症も増えているのです。僕の外来にも「まさか自分が痛風になるとは」と驚く30代の方がよくいらっしゃいます。

痛風の症状・サイン

外来でよくお聞きするのは「先生、昨日の夜中に急に足が痛くなって…」という訴えです。痛風発作の最大の特徴は「突然の激痛」なのです。多くの場合、夜中から明け方にかけて発症し、足の親指の付け根(第1中足趾節関節)が最も多く、全体の約70%を占めます。

痛みの程度は、正直「骨折より痛い」とおっしゃる方もいるくらいです。関節が赤く腫れ上がり、熱を持ち、触れるだけで激痛が走る。歩くことはもちろん、靴下を履くことすらできなくなります。発作は通常、治療しなくても7〜10日程度で自然に治まるのですが、だからといって放っておいてよい病気ではありません。

ではなぜ放っておいてはダメなのか?それは発作を繰り返すうちに、関節の破壊が進み、「痛風結節」という尿酸の塊が皮膚の下にできてくるからです。さらに怖いのは腎臓への影響で、尿酸の結晶が腎臓に溜まると「痛風腎」という状態になり、最悪の場合は腎不全に至ることもあるのです。僕が患者さんにいつもお伝えしているのは、「痛みが引いた=治った」ではないということです。痛みは氷山の一角にすぎません。

ちなみに、発作の前兆として関節がムズムズする、違和感がある、という方もいます。この段階で対処できれば本格的な発作を防げることもあるので、「あれ?おかしいな」と思ったら早めに受診していただきたいのです。

痛風の原因とリスク要因

「先生、やっぱりビールがダメなんですか?」これは外来で一番よく聞かれる質問です(笑)。結論から言うと、ビールだけが原因ではありません。でもビールが「リスクを高める要因の一つ」であることは確かです。

痛風の根本的な原因は、血中の尿酸値が高い状態が続くことです。ではなぜ尿酸値が上がるのか?大きく分けて2つのパターンがあります。①尿酸の産生が過剰になるタイプ(全体の約10%)と、②尿酸の排泄が低下するタイプ(約60%)、そして③その両方が合わさったタイプ(約30%)です。日本人の場合は排泄低下型が最も多いのです。

リスク要因として大きいのは、やはり食生活です。プリン体を多く含む食品、例えばレバーや白子、エビ、イワシといった食品の過剰摂取はリスクを高めます。そしてアルコール。ビールは確かにプリン体が多いのですが、実はアルコールそのものが尿酸の産生を促進し、同時に排泄を抑制するのです。だからビールだけでなく、焼酎でもウイスキーでもリスクは上がるわけです。

そして意外と知られていないのが「果糖」の影響です。清涼飲料水に含まれる果糖ブドウ糖液糖は、体内で代謝される際に尿酸を大量に産生します。僕はいつも「ビールよりジュースの方が問題なこともありますよ」と患者さんにお伝えしています。遺伝的な体質も大きく関与していて、親族に痛風の方がいる場合はリスクが2〜3倍になるとされています。肥満、特にBMI 25以上の方、そして腎機能が低下している方もリスクが高いです。

痛風の診断・検査

痛風の診断で最も確実なのは、関節液を採取して尿酸ナトリウム結晶を顕微鏡で確認する方法です。ただ正直なところ、すべての患者さんに関節穿刺をするわけではありません。典型的な症状と血液検査の結果を総合して診断することが多いのが実際の臨床です。

血液検査では尿酸値(UA)の測定が基本です。7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断されます。ただここで一つ注意してほしいのが、痛風発作の最中は尿酸値が正常〜低値を示すことがあるという点です。ではなぜ発作中に尿酸値が下がるのか?それは体の炎症反応によって腎臓からの尿酸排泄が一時的に増えるからなのです。だから「発作中の血液検査で尿酸値が正常だったから痛風ではない」とは言い切れません。発作が落ち着いてから2〜4週間後に再検査することが大切です。

そのほかに僕が必ずチェックするのは、腎機能(クレアチニン、eGFR)と尿中の尿酸排泄量です。これによって「産生過剰型」なのか「排泄低下型」なのかを判別でき、治療薬の選択に直結するわけです。超音波検査やX線検査で関節や腎臓の状態を確認することもあります。痛風結節や尿路結石の有無を確認するためです。最近では超音波で関節の表面に尿酸結晶が沈着している「ダブルコンターサイン」を確認する手法も広まってきています。

痛風の治療法

痛風の治療は大きく分けて2段階あります。①発作が起きている時の「急性期治療」と、②発作を予防するための「長期的な尿酸コントロール」です。ここを混同している患者さんがとても多いので、僕はいつも丁寧に説明するようにしています。

急性期、つまり発作が起きている時はとにかく「炎症と痛みを抑える」ことが最優先です。最も多く使われるのは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で、インドメタシンやナプロキセンなどを短期間、しっかりとした量で使います。「痛み止め」と聞くと軽く感じるかもしれませんが、痛風発作に対しては「NSAIDsパルス療法」といって、通常より多めの量を短期間集中的に使う方法が推奨されているのです。

発作の前兆を感じた段階で使えるのが「コルヒチン」です。これは発作が本格化する前に1錠飲むと、かなりの確率で発作を抑えることができます。ただ発作がピークに達してからでは効果が薄くなるので、タイミングがとても重要です。僕は痛風発作を繰り返す患者さんには「お守りとして財布に1錠入れておいてください」とお伝えしています(笑)。NSAIDsが使えない方や腎機能が低下している方には、ステロイドを短期間使用することもあります。

そして発作が落ち着いた後に始めるのが、長期的な尿酸値のコントロールです。目標は尿酸値6.0mg/dL以下を維持すること。薬としては「フェブキソスタット」や「アロプリノール」といった尿酸生成抑制薬が最もよく使われます。フェブキソスタットは腎機能が低下している方にも比較的安全に使えるので、僕の外来ではこちらを選ぶことが多いです。排泄低下型の方には「ベンズブロマロン」や「ドチヌラド」といった尿酸排泄促進薬を使うこともあります。

ここで大切なのが、尿酸降下薬は「痛みが引いたからやめる」ものではないということです。薬を中断すると尿酸値がまた上がって発作を繰り返します。だからこそ「生涯のパートナー」だと思って続けていただきたいのです。そして薬を飲み始める際にも注意点があります。急激に尿酸値を下げると、逆に痛風発作が誘発されることがあるのです。だから少量から開始して、2〜4週間かけてゆっくり増量するのが原則です。

痛風の予後と経過

痛風はきちんと治療すれば、予後は良好な疾患です。これは僕がいつも患者さんに最初にお伝えすることです。「痛風と診断されてショックです」とおっしゃる方も多いのですが、正直、コントロール可能な病気の中ではかなり「付き合いやすい」部類に入ると僕は思っています。

尿酸値を6.0mg/dL以下にコントロールできれば、関節に溜まった尿酸結晶は徐々に溶け出して、2〜3年で発作がほぼなくなるというデータがあります。痛風結節も縮小していきます。つまり「元に戻れる」可能性が十分にある病気なのです。

でも放置した場合は話が変わります。発作の頻度が増え、最初は年に1〜2回だったものが月に1回、さらには「慢性痛風」といって常に関節が痛い状態になることもあるわけです。そして先ほどもお話しした通り、腎臓への影響は深刻です。高尿酸血症を放置した患者さんの約20〜40%に腎機能障害が見られるという報告もあります。尿路結石のリスクは一般の方の約3倍です。だからこそ「痛みがない時期こそ治療が大切」なのです。

痛風の治療に伴うリスク

どんな治療にもリスクはあります。痛風治療で僕が特に気をつけているのは薬の副作用です。

NSAIDs(痛み止め)を使う際の最大のリスクは胃腸障害です。胃潰瘍や消化管出血を起こすことがあるので、必ず胃薬を併用し、長期間の使用は避けるようにしています。腎機能への影響もあるので、もともと腎臓が弱い方には慎重に使います。

コルヒチンは下痢や腹痛の副作用が比較的多い薬です。以前は「下痢するまで飲む」という使い方がされていた時代もありましたが、現在は1回1錠の少量投与が主流です。これで副作用のリスクはかなり下がりました。

尿酸降下薬について言えば、アロプリノールでは稀に重篤な皮膚障害(スティーブンス・ジョンソン症候群)が起きることがあります。頻度は約0.1%と低いのですが、腎機能低下のある方でリスクが上がります。フェブキソスタットは比較的副作用が少ないのですが、肝機能障害に注意が必要です。ベンズブロマロンは劇症肝炎のリスクがあるため、定期的な肝機能チェックが欠かせません。僕は薬を処方する際には必ずこれらのリスクを説明し、定期的な血液検査でモニタリングするようにしています。

痛風の医療費・保険適用

痛風の治療は基本的に健康保険が適用されます。ここは安心していただきたい点です。3割負担の場合、初診で血液検査と尿検査を行って、だいたい3,000〜5,000円程度です。

尿酸降下薬の費用は、フェブキソスタット(フェブリク)で月額約1,000〜2,000円、アロプリノールで月額約500〜1,000円程度(いずれも3割負担)です。ジェネリック医薬品を選べばさらに安くなります。定期的な通院は2〜3ヶ月に1回で、その際の検査費用を含めても年間で3〜4万円程度に収まることが多いのです。

正直、痛風を放置して合併症が進んでしまった場合の医療費と比べたら、予防的な治療にかかるコストは「めちゃくちゃ安い」と僕は思います。腎不全になって透析が必要になった場合、年間の医療費は約500万円にのぼります。もちろん公費負担がありますが、それでも身体的・時間的な負担は計り知れません。だからこそ早い段階での治療開始が大切なのです。

痛風と日常生活・セルフケア

僕がいつも患者さんにお伝えしているのは、「薬だけに頼らないでほしい」ということです。生活習慣の改善は痛風治療の大きな柱なのです。

まず水分摂取。これがめちゃくちゃ大事です。1日2リットル以上の水を飲むことで、尿酸の排泄が促進されます。僕は「ペットボトルを常に持ち歩いてください」とお願いしています。コーヒーにも尿酸値を下げる効果があるという研究があるので、コーヒー好きの方には朗報です(笑)。

食事については、プリン体の多い食品を「完全に避ける」必要はありません。ただ、レバーや白子、干物などは控えめにした方がよいでしょう。それよりも大切なのは「全体のカロリーを適正に保つこと」と「野菜や乳製品を積極的に摂ること」です。低脂肪の乳製品には尿酸値を下げる効果があるというエビデンスがあります。

アルコールについては、ビールに限らず「量」の問題です。日本酒1合、ビール500ml、ウイスキーダブル1杯程度を上限にし、週に2日は休肝日を作ること。ただこのあたりは正直、患者さんにとっては一番つらいところですよね(笑)。僕は「ゼロにしろとは言いません。でも量を意識してください」とお伝えしています。そして運動。適度な有酸素運動はインスリン抵抗性を改善し、結果として尿酸値にもよい影響を与えます。ただし激しい無酸素運動は逆に尿酸値を上げるので注意が必要です。ウォーキングや軽いジョギング、水泳などがおすすめです。

痛風で病院を選ぶポイント

痛風の治療は基本的に内科で対応可能です。特にリウマチ内科や膠原病内科、腎臓内科の先生は痛風の専門的な知識を持っていることが多いです。ただ、ほとんどの痛風は一般内科で十分に管理できるわけです。

僕が病院選びでお伝えしたいのは、「長く通える場所を選んでほしい」ということです。痛風治療は一時的なものではなく、定期的な通院と血液検査が必要な「長い付き合い」になります。だからこそ、自宅や職場から通いやすく、予約が取りやすいクリニックが理想的です。

そして大切なのは、先生が「尿酸値をしっかりモニタリングしてくれるか」と「生活指導も含めた総合的なアドバイスをしてくれるか」です。薬を出して終わり、ではなく、食事や運動の相談にも乗ってくれる先生が理想的です。さらに言えば、合併症としての腎機能や心血管リスクも含めて「全身を診てくれる」先生を選ぶことが、結果として痛風のコントロールにもつながるのです。

痛風についてよくある質問

Q1: 痛風は完治しますか?

痛風そのものを「完治」させることは難しいのですが、尿酸値を6.0mg/dL以下にコントロールし続けることで発作をほぼゼロにすることは十分可能です。「共存して上手に付き合う」というイメージが近いと僕は思います。

Q2: 痛風になったらビールは一生飲めないのですか?

一生禁酒というわけではありません。尿酸値がコントロールできていれば、適量のアルコールは許容されます。ただしビール500ml程度を上限に、週2日は休肝日を作ることが大切です。

Q3: 尿酸値が高いのに症状がなければ治療は不要ですか?

症状がなくても尿酸値が8.0mg/dL以上の場合や、腎障害・尿路結石がある場合は治療を検討します。「痛みがない=問題ない」ではないのです。体の中で確実に結晶は蓄積しています。

Q4: 女性でも痛風になりますか?

閉経前の女性は女性ホルモンの保護作用で痛風になりにくいのですが、閉経後はリスクが上昇します。全体の約2%が女性患者です。閉経後に尿酸値が上がってきた場合は注意が必要です。

Q5: 痛風の薬はいつまで飲み続ける必要がありますか?

基本的には長期間の服用が必要です。自己判断で中止すると尿酸値が再び上昇し、発作を繰り返すことになります。定期的に先生と相談しながら、減量の可能性を探っていくのがよいでしょう。

Q6: プリン体ゼロのビールなら大丈夫ですか?

アルコールそのものに尿酸値を上げる作用があるため、プリン体ゼロでも完全に安全というわけではありません。ただ普通のビールよりは影響が少ないので、飲むならプリン体カットを選ぶ方がベターです。

Q7: 痛風発作の時に冷やした方がいいですか?温めた方がいいですか?

発作の急性期は「冷やす」のが正解です。氷のうや冷湿布で患部を冷やし、安静にしてください。温めると血流が増えて炎症が悪化するので、発作中は入浴やサウナも避けましょう。

Q8: 痛風と糖尿病は関係がありますか?

とても密接に関係しています。高尿酸血症とメタボリックシンドローム、2型糖尿病は共通のリスク因子を持っており、痛風の方は糖尿病のリスクが高く、その逆もまた然りです。だからこそ「尿酸値だけ」ではなく、血糖や脂質も含めたトータルでの管理が大切なのです。

痛風は「突然やってくる激痛」のインパクトが強い病気ですが、正しく理解して適切に治療すれば、日常生活に大きな支障なく過ごせる疾患です。僕自身、外来で多くの痛風患者さんと向き合ってきましたが、きちんと治療を続けている方は「あの頃が嘘みたいです」とおっしゃいます。だからこそ、みなさんには「痛みが引いたから終わり」ではなく、「これをきっかけに自分の体と向き合おう」と思っていただけたら嬉しいです。一緒に頑張りましょう。

丸岡悠医師

監修医師

丸岡 悠

庄内プライベートクリニック 院長 / 医療法人丸岡医院 医師

1988年山形県酒田市生まれ。酒田南高校卒業後、獨協医科大学にて医師免許を取得。沖縄県立北部病院、日本海総合病院を経て現職。庄内プライベートクリニック院長として美容医療を担当し、丸岡医院では一般診療・施設診療・訪問診療にも携わっています。