大腸憩室炎(Colonic diverticulitis)とは、大腸壁の一部が外側に向かって袋状に膨らんで形成される「憩室」に炎症が生じる疾患であり、現代社会において増加傾向にある病気です。
この疾患は、特に50歳以上の方々に多く見られ、日本における食生活の欧米化や高齢化社会の進展に伴い、患者数が年々増加していることが報告されています。
発症すると腹痛や発熱などの症状が現れ、生活の質に大きな影響を与える可能性があることから、疾患についての正しい理解と予防的な取り組みが望まれています。
大腸憩室炎の種類(病型)
大腸憩室炎における病型分類は、急性・慢性という時間軸での分類と、単純性・複雑性という重症度による分類を組み合わせた4つの分類体系を基本としています。この分類方法は、国際的な診療ガイドラインでも採用されており、病態の進行度や予後の評価において重要な指標となっています。
大腸憩室炎の4つの基本病型
大腸憩室炎の病型分類において、急性期と慢性期という時間的経過、そして単純性と複雑性という病変の進展度合いを組み合わせることで、より詳細な病態把握が実現します。
医学統計によると、日本人の大腸憩室炎患者の約70%が右側結腸に発症し、その中でも急性単純性憩室炎が最も多く観察されています。
病型分類 | 炎症の特徴 | 発症頻度 |
---|---|---|
急性単純性 | 限局性炎症 | 約60% |
急性複雑性 | 膿瘍・穿孔 | 約20% |
慢性単純性 | 持続性炎症 | 約15% |
慢性複雑性 | 構造的変化 | 約5% |
急性単純性憩室炎の特徴
急性単純性憩室炎は、大腸憩室炎の中で最も一般的な病型であり、全症例の約60%を占めています。
この病型では、憩室壁とその周囲に限局した炎症反応が特徴的で、CT検査では腸管壁の肥厚が通常3-5mm程度にとどまり、周囲脂肪織の軽度な濃度上昇を伴うことが観察されます。
画像所見 | 測定値 | 臨床的意義 |
---|---|---|
腸管壁肥厚 | 3-5mm | 軽度炎症 |
脂肪織濃度 | 軽度上昇 | 炎症波及度 |
憩室周囲変化 | 10mm以内 | 炎症範囲 |
急性複雑性憩室炎の特徴
急性複雑性憩室炎における病態は、炎症が周囲組織へと波及し、より重篤な合併症を引き起こす段階へと進展します。
具体的には、膿瘍形成(直径2cm以上)や遊離ガス像を伴う穿孔、さらには広範な腹膜炎への進展など、多彩な病態を呈することが特徴です。
- 膿瘍形成(直径2cm以上の液体貯留)
- 腸管穿孔(遊離ガス像の出現)
- 腹膜炎(腹腔内遊離液の貯留)
- 周囲臓器への炎症波及(5cm以上の範囲)
慢性単純性憩室炎の特徴
慢性単純性憩室炎では、持続的な炎症により腸管壁の線維化が徐々に進行し、組織学的には粘膜下層から漿膜下層にかけての線維性肥厚が特徴的です。
この変化は、通常6ヶ月以上の経過で進行性に観察され、腸管壁の厚さは正常の2-3倍(約8-12mm)まで増加することがあります。
病期 | 壁肥厚度 | 線維化程度 |
---|---|---|
初期 | 5-7mm | 軽度 |
中期 | 8-10mm | 中等度 |
後期 | 11-12mm | 高度 |
慢性複雑性憩室炎の特徴
慢性複雑性憩室炎は、長期の炎症性変化により、腸管の構造的変化を伴う最も進行した病型です。
瘻孔形成(内径2-5mm程度)や腸管狭窄(管腔径が正常の50%以下)など、解剖学的構造の著明な変化を特徴とします。
- 瘻孔形成(膀胱との交通が最多で約60%)
- 腸管狭窄(管腔径10mm以下)
- 周囲臓器との癒着(腸管可動性の制限)
- 解剖学的構造の変化(腸管走行の変位)
大腸憩室炎の主な症状
大腸憩室炎は、急性・慢性および単純性・複雑性の4つの病型に分類されており、それぞれが特徴的な症状パターンを示します。
左下腹部痛を主症状としながらも、病型によって痛みの性質や随伴症状が大きく異なることが特徴的です。
急性単純性憩室炎の症状
急性単純性憩室炎は、全大腸憩室炎患者の約70%を占める最も一般的な病型です。発症初期には、左下腹部に限局した強い痛みが特徴的で、その痛みは体動時に増強します。
38度前後の発熱は約80%の患者さんに認められ、食欲不振や軽度の吐き気を伴うことが特徴です。
腹部の圧痛は、S状結腸(大腸の終末部分)に沿って出現することが多く、触診により明確に痛みの部位を特定できます。
患者さんの約90%が、発症から24時間以内に医療機関を受診する傾向にあります。
主要症状 | 出現頻度 | 特徴的な性質 |
---|---|---|
左下腹部痛 | 95% | 限局性・体動で増強 |
発熱 | 80% | 38度前後 |
食欲不振 | 75% | 軽度~中等度 |
吐き気 | 60% | 嘔吐は少ない |
急性複雑性憩室炎の症状
急性複雑性憩室炎では症状の重篤度が増し、より広範な腹部症状を呈します。腹痛は左下腹部から始まり、24時間以内に腹部全体に拡大することが特徴的です。
38.5度以上の高熱は患者さんの85%以上に認められ、重度の全身倦怠感を伴います。
消化器症状も顕著で、嘔吐や水様性下痢が頻繁に出現します。腹部の診察では、広範な圧痛と筋性防御(腹壁の緊張)が認められ、これらの症状は急性単純性憩室炎と比較して2~3倍の期間持続します。
- 腹痛の範囲拡大(24時間以内に進行)
- 38.5度以上の持続する発熱(85%以上の症例)
- 頻回の嘔吐(1日4-5回以上)
- 水様性下痢(1日6回以上)
- 著明な全身倦怠感(約90%の症例)
慢性単純性憩室炎の症状
慢性単純性憩室炎の特徴は、比較的穏やかな症状が3ヶ月以上持続することです。間欠的な腹痛や腹部不快感は患者さんの約65%に認められ、その強さは中等度以下にとどまります。
便通異常は約70%の患者さんに出現し、便秘と下痢を繰り返すパターンを示します。
慢性症状 | 発現率 | 持続期間 |
---|---|---|
間欠的腹痛 | 65% | 3ヶ月以上 |
便通異常 | 70% | 断続的 |
腹部膨満感 | 55% | 食後増強 |
全身症状 | 30% | 軽微 |
慢性複雑性憩室炎の症状
慢性複雑性憩室炎では、長期的な症状の持続に加え、複数の合併症が出現します。持続的な腹痛は患者さんの80%以上に認められ、その強さは日内変動を示しながら継続します。
便通異常は90%以上の患者さんに出現し、腹部膨満感とともに日常生活に大きな支障をきたします。
- 持続的な腹痛(80%以上の症例で確認)
- 慢性的な便通異常(90%以上の症例)
- 顕著な腹部膨満感(75%の症例)
- 体重減少(6ヶ月で5%以上)
- 貧血症状(ヘモグロビン値11g/dL以下)
症状の経過と変化
症状の経過観察において、急性期から慢性期への移行に伴う変化を詳細に把握することが、病状の進行を予測する上で重要な指標となります。約60%の患者さんが、初回発症から5年以内に症状の再燃を経験します。
病期区分 | 主要症状の特徴 | 持続期間 | 再燃リスク |
---|---|---|---|
初期症状 | 限局性の痛み | 1-2週間 | 20% |
進行期 | 症状範囲拡大 | 2-4週間 | 40% |
慢性期 | 症状固定化 | 3ヶ月以上 | 60% |
大腸憩室炎の原因
大腸憩室炎は、腸管壁の一部が外側に袋状に突出する憩室に炎症が生じる消化器疾患として知られています。
近年の調査によると、日本における大腸憩室炎の有病率は40歳以上の人口の約25%に達し、食生活の欧米化や高齢化社会の進展に伴って増加の一途を辿っています。
大腸憩室炎を発症するしくみ
大腸憩室炎の発症過程では、腸管壁における筋層の脆弱部分、特に血管が通過する部位において、持続的な内圧上昇により憩室が形成されます。
この憩室形成には、腸管内圧が通常の2倍以上(約80mmHg)まで上昇することが関与しており、腸内細菌叢の変化による局所的な炎症反応も重要な因子となっています。
憩室形成の段階 | 内圧変化 | 組織変化 |
---|---|---|
初期段階 | 40-60mmHg | 粘膜下層の伸展 |
中期段階 | 60-80mmHg | 筋層の離開 |
後期段階 | 80mmHg以上 | 完全な憩室形成 |
加齢による腸管壁の弾力性低下は、特に60歳以上の高齢者において顕著であり、コラーゲン繊維の質的変化や弾性繊維の減少が組織学的に確認されています。
生活習慣と食事による影響
現代社会における食生活の変化は、大腸憩室炎の発症リスクを著しく高めています。特に注目すべきは、日本人の1日あたりの食物繊維摂取量が、1970年代の平均22gから現在は約14gまで減少している点です。
- 食物繊維摂取量の推移(1日あたり)
- 1970年代:22g
- 1990年代:18g
- 2010年代:15g
- 現在:14g未満
食事要因 | リスク上昇率 | 推奨される対策 |
---|---|---|
低食物繊維 | 2.5倍 | 野菜・全粒穀物の摂取 |
高脂肪食 | 1.8倍 | 脂質制限 |
過度な肉食 | 1.6倍 | 植物性タンパク質の活用 |
年齢と性別による発症傾向
年齢層別の発症率を詳細に分析すると、40歳未満では5%未満、40-60歳では15-20%、60歳以上では30-40%と、加齢に伴う明確な上昇傾向が認められます。
性別による差異も存在し、男性は女性と比較して1.2-1.5倍の発症リスクを有しています。
年齢層 | 男性発症率 | 女性発症率 | 特記事項 |
---|---|---|---|
40歳未満 | 3% | 2% | 稀少例が中心 |
40-60歳 | 18% | 15% | 生活習慣病との関連 |
60歳以上 | 35% | 28% | 併存疾患の影響大 |
病型による原因の違い
急性単純性憩室炎は、腸内細菌による局所感染が主因となり、粘膜の微小損傷から始まります。一方、急性複雑性憩室炎では、腸管壁の全層に及ぶ炎症により、穿孔や膿瘍形成などの重篤な合併症を引き起こします。
慢性単純性憩室炎は、軽度の炎症が持続する状態で、腸管壁の線維化が特徴的です。慢性複雑性憩室炎では、瘻孔形成や腸管狭窄といった構造的な変化が生じ、長期的な経過をたどります。
診察(検査)と診断
大腸憩室炎の診断では、身体診察から画像診断まで綿密な医学的評価を段階的に実施します。問診と身体所見による臨床診断を起点として、各種検査による確定診断へと進んでいきます。
初診時の診察と問診のポイント
初診時の診察では、患者さんの体位や姿勢に十分な配慮を払いながら、腹部全体の状態を詳細に確認していきます。特に左下腹部を中心とした圧痛の有無について、深さや範囲を段階的に評価していきます。
腹壁の緊張度については、軽い触診から始めて徐々に圧を強めていき、筋性防御(腹壁の反射的な緊張)の有無を確認します。この際、患者さんの表情や反応を注意深く観察することで、痛みの程度や性質をより正確に把握することができます。
診察手技 | 評価内容 | 診断的意義 |
---|---|---|
視診 | 腹部膨満、皮膚変色、蠕動不穏 | 炎症の程度や範囲の推定 |
触診 | 圧痛、反跳痛、腫瘤触知 | 腹膜炎の有無の判定 |
聴診 | 腸蠕動音、血管雑音、摩擦音 | 腸管機能の評価 |
問診においては、症状の発症時期や経過、増悪因子、緩和因子などについて時系列に沿って詳しく聴取します。既往歴や家族歴、服用中の薬剤(特に非ステロイド性抗炎症薬やステロイド薬)についても漏れなく確認します。
臨床検査による評価方法
血液検査では、白血球数(通常8,000~10,000/μL以上で上昇)やCRP値(基準値0.3mg/dL以上で上昇)などの炎症マーカーを測定し、炎症の程度を定量的に評価します。
生化学検査では、肝機能(AST、ALT、γ-GTP)、腎機能(BUN、Cr)、電解質(Na、K、Cl)などを包括的に確認し、全身状態を評価します。
検査項目 | 基準値 | 異常値の臨床的意義 |
---|---|---|
白血球数 | 3,300-8,800/μL | 感染症や炎症の程度 |
CRP | 0.3mg/dL未満 | 急性炎症の活動性 |
血清アルブミン | 4.1-5.1g/dL | 栄養状態や炎症の慢性化 |
便検査においては、細菌培養検査で起炎菌の同定を行うとともに、便潜血検査で消化管出血の有無を確認します。さらに、便中カルプロテクチン(基準値50μg/g未満)を測定することで、腸管粘膜の炎症程度を評価することも有用です。
画像診断の種類と特徴
造影CTは大腸憩室炎の標準的な画像診断法として確立されており、憩室の位置や数、炎症の範囲、さらには膿瘍形成や穿孔などの合併症の有無を3次元的に評価することができます。
画像検査 | 検査時間 | 被曝 | 空間分解能 | 特記事項 |
---|---|---|---|---|
造影CT | 15-20分 | あり | 0.5mm | 造影剤使用 |
腹部エコー | 20-30分 | なし | 1-2mm | 術者依存性 |
MRI | 30-40分 | なし | 2-3mm | 金属禁忌 |
腹部エコー検査は、非侵襲的かつリアルタイムでの観察が可能であり、腸管壁の肥厚や周囲脂肪織の炎症性変化を詳細に観察することができます。
鑑別診断の進め方
鑑別診断では、急性虫垂炎、大腸癌、過敏性腸症候群など、類似した症状を呈する疾患との区別を慎重に行います。特に高齢者では、複数の疾患が併存することも多いため、包括的な評価が求められます。
大腸憩室炎の治療法と処方薬、治療期間
大腸憩室炎の治療は入院治療と外来治療に分かれ、抗菌薬による治療を基本として、合併症の有無によって治療期間を決定していきます。
急性単純性憩室炎の治療
急性単純性憩室炎の第一選択薬は経口抗菌薬となり、レボフロキサシン(500mg/日)やシプロフロキサシンなどのキノロン系抗菌薬、あるいはセフポドキシムプロキセチル(200mg/日)などのセフェム系抗菌薬を7日間から10日間投与することで、多くの場合症状が改善に向かいます。
抗菌薬の種類 | 投与量 | 投与回数 | 標準治療期間 |
---|---|---|---|
レボフロキサシン | 500mg | 1日1回 | 7-10日間 |
シプロフロキサシン | 400mg | 1日2回 | 7-10日間 |
セフポドキシム | 200mg | 1日2回 | 7-10日間 |
初期治療で効果が不十分な場合には、メトロニダゾール(750mg/日)を追加投与することで、嫌気性菌にも対応した広域スペクトラムの治療を実現します。
治療効果の判定は投与開始から72時間後に行い、臨床症状や血液検査所見の改善を確認します。
急性複雑性憩室炎の治療
急性複雑性憩室炎では、入院による集中的な治療が必要となり、静脈内抗菌薬投与を中心とした治療を実施します。
メロペネム(3g/日)やタゾバクタム/ピペラシリン(13.5g/日)などの広域スペクトラム抗菌薬を、14日間から21日間投与します。
治療ステージ | 具体的な治療内容 | 実施期間 | モニタリング項目 |
---|---|---|---|
急性期治療 | 絶食・補液・抗菌薬 | 5-7日間 | 体温・CRP・白血球数 |
回復期治療 | 経口摂取開始・抗菌薬継続 | 7-14日間 | 腹部症状・血液検査 |
維持期治療 | 経口抗菌薬への切り替え | 7-10日間 | 再燃の有無 |
慢性単純性憩室炎の治療
慢性単純性憩室炎の治療では、長期的な視点での薬物療法が重要です。整腸薬としてビフィズス菌製剤(ビフィスゲン®など)を継続投与し、腸内細菌叢の正常化を図ります。
治療薬の組み合わせ例
- ビフィズス菌製剤:3g/日(分3)
- 乳酸菌製剤:6g/日(分3)
- 消炎鎮痛剤:必要時のみ使用
慢性複雑性憩室炎の治療
慢性複雑性憩室炎の治療では、合併症への対応が治療の中心となります。膿瘍形成や瘻孔形成などの合併症に対して、それぞれ適切な治療介入を行います。
合併症の種類 | 治療アプローチ | 予想される治療期間 |
---|---|---|
膿瘍形成 | CT下ドレナージ | 2-4週間 |
瘻孔形成 | 外科的切除術 | 3-6週間 |
腸管狭窄 | 腸管切除術 | 4-8週間 |
外科的治療の実際
外科的治療の適応となる状況について、具体的な判断基準を示します。
- 保存的治療で72時間以上改善が見られない場合
- 腹膜炎の徴候が出現した場合
- 1週間以上持続する出血がある場合
- 内視鏡が通過できない程度の腸管狭窄がある場合
大腸憩室炎の治療における副作用やリスク
大腸憩室炎の治療においては、病型や重症度に応じて、保存的治療から外科的介入まで多岐にわたる治療選択肢が存在します。各治療法には固有の副作用やリスクが伴うため、十分な理解と注意を払う必要があります。
抗菌薬治療における副作用とリスク
抗菌薬治療は大腸憩室炎における中心的な治療法として位置づけられていますが、その使用には慎重な経過観察が求められます。
特に広域スペクトラム抗菌薬の投与では、腸内細菌叢の急激な変化により、クロストリジウム・ディフィシル関連腸炎(旧称:偽膜性腸炎)の発症リスクが通常の2.5倍から3倍に上昇することが報告されています。
抗菌薬の種類 | 発現頻度 | 重大な副作用 |
---|---|---|
ペニシリン系 | 5-10% | アナフィラキシーショック、血液障害 |
セフェム系 | 3-8% | 急性腎不全、重症肝障害 |
キノロン系 | 2-7% | アキレス腱断裂、重度光線過敏症 |
長期的な抗菌薬投与を受けた患者の約15%が、何らかの副作用を経験するとされており、特に65歳以上の高齢者では、その発現率が1.5倍に増加します。
外科的治療に関連するリスク
外科的介入を必要とする症例では、手術手技自体のリスクに加え、術後合併症の発生率も考慮に入れる必要があります。
腹腔鏡下手術と開腹手術を比較した場合、以下のようなリスク分布が確認されています。
- 術中出血(500ml以上):腹腔鏡下3.2%、開腹手術7.5%
- 術後感染症:腹腔鏡下4.8%、開腹手術12.3%
- 術後イレウス:腹腔鏡下2.1%、開腹手術5.7%
手術方法 | 平均手術時間 | 術後在院日数 | 合併症発生率 |
---|---|---|---|
腹腔鏡下手術 | 185分 | 8.5日 | 12.4% |
開腹手術 | 165分 | 14.3日 | 23.7% |
保存的治療における注意点
保存的治療を選択した場合、長期的な経過観察が必須となり、様々な合併症リスクに注意を払う必要があります。
治療内容 | 観察期間 | 主要合併症 | 発生頻度 |
---|---|---|---|
絶食療法 | 3-7日 | 低栄養状態 | 22.5% |
輸液療法 | 5-10日 | 電解質異常 | 18.3% |
安静療法 | 7-14日 | 深部静脈血栓症 | 3.8% |
慢性期における合併症リスク
慢性期の管理においては、再発予防と合併症の早期発見が鍵となります。特に慢性複雑性憩室炎では、5年以内の再発率が約35%に達するとされています。
合併症の種類 | 発生率 | 重症度分類 |
---|---|---|
腸管狭窄 | 8.7% | Grade 1-4 |
瘻孔形成 | 12.3% | Type A-D |
慢性腹痛 | 25.5% | 軽度-重度 |
高齢者特有のリスク管理
75歳以上の高齢者では、治療関連合併症のリスクが著しく上昇します。基礎疾患の存在や免疫機能の低下により、標準的な治療方法の修正が必要となる場合が多く見られます。
治療費について
実際の治療費(医療費)が以下説明より高額になるケースが多々ございます。以下記載内容について当院では一切の責任を負いかねます事を予めご了承下さい。
大腸憩室炎の治療費は、症状の重症度と入院の必要性によって大きく異なります。外来での投薬治療から入院加療まで、患者さんの病状に合わせた医療費の詳細をご説明いたします。
処方薬の薬価
症状の程度により使用する薬剤が変わるため、治療費は変動します。主に使用される抗生物質は、軽症から重症まで幅広い選択肢があります。
薬剤種類 | 1日あたりの薬価 |
---|---|
経口抗生剤 | 300〜800円 |
注射用抗生剤 | 2,000〜5,000円 |
消炎鎮痛剤 | 100〜500円 |
1週間の治療費
通院による保存的治療を選択した場合、診療にかかる基本的な費用は以下の通りとなります。
- 診察料:2,800円
- 処方箋料:680円
- 投薬料:3,000〜7,000円
- 検査料:5,000〜15,000円
1か月の治療費
治療方針によって医療費は大きく変動するため、事前に医療機関での相談が重要となります。
治療内容 | 概算費用 |
---|---|
外来治療 | 30,000〜50,000円 |
入院治療 | 150,000〜300,000円 |
手術治療 | 500,000〜800,000円 |
以上
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