大腸ポリープ(Colonic polyp)とは、大腸の内側に生じる小さな隆起性の病変を指します。通常は良性ですが、稀に悪性化する可能性があるため、医師による定期的な観察が重要となります。
多くの場合大腸ポリープは無症状であり、健康診断や大腸検査の際に偶然発見されるケースが多いのですが、サイズが大きくなると便秘や下痢、腹痛などの症状が現れることもあります。
大腸ポリープの発生には、遺伝的要因や環境要因が関与していると考えられており、年齢とともに発生リスクが高まるため、50歳以上の方は特に注意が必要です。
大腸ポリープの種類(病型)
大腸ポリープは腫瘍性と非腫瘍性に大別されます。
特徴 | 腫瘍性ポリープ | 非腫瘍性ポリープ |
---|---|---|
表面性状 | 不整、凹凸あり | 平滑、均一 |
色調 | 周囲粘膜と異なる | 周囲粘膜と類似 |
血管パターン | 不規則、拡張 | 規則的、正常 |
大きさ | 多様(大きいものが多い) | 比較的小さい |
悪性化リスク | 中〜高 | 低い |
腫瘍性ポリープ
腫瘍性ポリープは、大腸粘膜の細胞が異常増殖することで形成される隆起性病変で、がんへの進行リスクを有します。
特に、直径1cm以上のポリープや高度異型を示すポリープは、大腸がんへの進行リスクが高いとされています。(1cm以上の腺腫性ポリープでは、10年以内に約15%が大腸がんに進行するというデータがあります。)
腫瘍性ポリープの主な種類には腺腫と鋸歯状病変があり、それぞれが独自の特徴と進行リスクを持っています。
腺腫
腺腫は大腸ポリープの中で最も一般的な腫瘍性病変であり、正常な大腸粘膜細胞とは異なる異型細胞で構成されています。
腺腫は構造や細胞の異型度に基づいて細分類されており、管状腺腫、管状絨毛腺腫、絨毛腺腫などがあります。
鋸歯状病変
鋸歯状病変は、比較的新しく認識された腫瘍性ポリープの一種です。ポリープの組織が鋸歯状の形態を示すことに由来し、この名称が付いています。
鋸歯状病変には、過形成性ポリープ、sessile serrated lesion(SSL)、traditional serrated adenoma(TSA)などが含まれ、従来の腺腫とは異なる発がんメカニズムを持つと考えられています。
主な腫瘍性ポリープの種類
ポリープの種類 | 主な特徴 | 悪性化リスク |
---|---|---|
管状腺腫 | 管状構造が主体、比較的良好な予後 | 低〜中 |
管状絨毛腺腫 | 管状と絨毛状構造の混在、中程度のリスク | 中 |
絨毛腺腫 | 絨毛状構造が主体、悪性化リスクが高い | 高 |
Sessile Serrated Lesion (SSL) | 平坦で鋸歯状、右側結腸に多い | 中〜高 |
Traditional Serrated Adenoma (TSA) | 突出した鋸歯状、左側結腸に多い | 中〜高 |
非腫瘍性ポリープ
非腫瘍性ポリープは、腫瘍性ポリープとは対照的に、通常は悪性化のリスクが低い病変です。炎症や粘膜の過形成など、様々な要因によって形成されます。
非腫瘍性ポリープの中でも、特に頻度が高いものが過形成性ポリープと炎症性ポリープです。
過形成性ポリープ
大腸粘膜の細胞が、過剰に増殖することで形成される小さな隆起性病変です。通常、直径5mm以下の大きさで、多くは直腸や S 状結腸に見られます。
過形成性ポリープの特徴は、正常な細胞構造を保ちながら、粘膜表層が肥厚していることです。一般的に良性であり、がんに進行するリスクは非常に低いとされています(悪性化リスクは0.1%未満)。
炎症性ポリープ
炎症性ポリープは、慢性的な炎症や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患に関連して発生することがあります。
炎症性ポリープの特徴は、その表面が赤く、易出血性であることです。また、周囲の粘膜にも炎症所見が見られることが多いです。
炎症性ポリープ自体は悪性化のリスクが低いですが、基礎疾患である炎症性腸疾患が長期間持続すると、大腸がんのリスクが上昇する可能性があります。
また、非腫瘍性ポリープの中には特殊な種類のものも存在します。例えば、若年性ポリープは、主に小児や若年成人に見られる特殊な非腫瘍性ポリープで、通常は単発性であり、直腸や S 状結腸に発生します。
若年性ポリープの特徴は、その大きさが比較的大きく、表面が赤く、出血しやすいことです。典型的には良性ですが、まれに悪性化する場合があります。
主な非腫瘍性ポリープ
ポリープの種類 | 主な特徴 | 発生部位 | 悪性化リスク |
---|---|---|---|
過形成性ポリープ | 小さく(5mm以下)、表面平滑 | 直腸、S状結腸 | 極めて低い |
炎症性ポリープ | 赤色調、易出血性、周囲に炎症所見 | 炎症部位に一致 | 低い |
若年性ポリープ | 大型、赤色調、出血しやすい | 直腸、S状結腸 | 低い(まれに悪性化) |
大腸ポリープの主な症状
大腸ポリープは、多くのケースで初期段階では自覚症状に乏しいことが特徴的です。
初期はほとんどが無症状
大腸ポリープ(腸管内に発生する隆起性病変)は、多くのケースで無症状のまま存在します。
このような潜在的な病変を早期に検出するためには、定期的に健康診断を受けることが重要となります。
年齢区分 | スクリーニング推奨頻度 |
---|---|
40歳未満 | リスク要因がある場合のみ |
40-50歳 | 1-2年に1回 |
50歳以上 | 年1回以上 |
特に注意すべき対象者は、以下のリスク因子を持つ方々です。
- 大腸がんの家族歴がある方
- 慢性的な炎症性腸疾患の既往歴がある方
- 喫煙や過度の飲酒などの生活習慣リスクがある方
血便・出血症状
大腸ポリープの代表的な症状の一つは、血便や消化管出血です。
出血の特徴
出血程度 | 臨床的特徴 |
---|---|
軽度 | 便に微量の血液が混入 |
中等度 | 明確な血便の出現 |
重度 | 大量出血と貧血症状 |
血便を認めた際は、迅速に医療機関での精査が必要となります。単なる出血症状だけでなく、潜在する消化管疾患の兆候である可能性があるためです。
腹痛・腹部不快感
大腸ポリープによる腹痛は、鈍痛から鋭い痛みまで多様な様相を呈します。
腹部不快感の主な特徴
- 間欠的な腹部圧迫感
- 食後に増強する不快感
- 特定の体位で変化する痛み
便通異常
便秘や下痢といった症状は、ポリープによる腸管内環境の変化から生じます。
便通異常 | 主要な臨床所見 |
---|---|
便秘 | 排便困難、便の硬化 |
下痢 | 頻回な水様便、腹部不快感 |
貧血症状
慢性的な消化管出血は、徐々に進行する鉄欠乏性貧血を引き起こす可能性があります。
貧血重症度 | ヘモグロビン値 | 臨床症状 |
---|---|---|
軽度 | 10-12 g/dL | 軽微な疲労感 |
中等度 | 8-10 g/dL | 顕著な倦怠感 |
重度 | 8 g/dL未満 | 日常生活支障 |
貧血の主要な臨床徴候
- 持続的な疲労感
- 呼吸困難
- 顔色不良
- 集中力低下
大腸ポリープの原因
大腸ポリープの原因は、遺伝子の異常が主な要因と考えられていますが、年齢、食生活、喫煙、飲酒などの生活習慣も影響し、これらの複合的な要因によって発生すると考えられています。
大腸ポリープができるしくみ
大腸ポリープの形成過程では、粘膜細胞の増殖制御機構に異常が生じ、内壁から突出する組織変化が起こります。
通常の大腸粘膜細胞は、厳密な制御のもとで新陳代謝を繰り返していますが、この制御システムが崩れると細胞の無秩序な増殖が始まります。
遺伝子変異、特にAPC遺伝子(細胞増殖を抑制する遺伝子)やKRAS遺伝子(細胞の成長や分裂に関与する遺伝子)の変異は、この制御システムを破綻させる主要な要因となります。
制御システムの破綻要因 | 生体への影響 | リスク度 |
---|---|---|
遺伝子変異 | 細胞増殖異常 | 極めて高い |
慢性的な炎症 | 組織損傷 | 高い |
酸化ストレス | DNA損傷 | 中程度 |
遺伝的要因
遺伝性大腸ポリープ症候群には、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)やリンチ症候群などの特徴的な疾患が含まれており、特定の遺伝子変異と強く関連しています。
FAPは、APC遺伝子の先天的な変異により引き起こされ、大腸全体に無数のポリープが発生する深刻な遺伝性疾患です。
一方、リンチ症候群は、DNA修復に関わるミスマッチ修復遺伝子の異常により、大腸ポリープだけでなく、様々な臓器でがんを発症するリスクが高まります。
遺伝性疾患名 | 原因遺伝子 | 主な症状 | 発症年齢 |
---|---|---|---|
FAP | APC | 多発性ポリープ | 10-20代 |
リンチ症候群 | MMR遺伝子群 | がん発症リスク上昇 | 40-50代 |
MAP | MUTYH | 限局性ポリープ | 30-40代 |
環境要因(生活習慣と大腸ポリープの関連性)
日常的な食生活や運動習慣は、大腸ポリープの形成に密接に関与することが疫学研究により明らかになっています。
例えば、高脂肪食を継続的に摂取すると腸内の胆汁酸濃度が上昇するため、大腸粘膜への慢性的な刺激となって細胞の異常増殖を促進させてしまいます。
その他の腸内環境を悪化させる習慣
- 過度の飲酒習慣
- 不規則な生活リズム
- ストレス過多の生活
- 運動不足による腸管運動の低下
炎症性腸疾患と大腸ポリープの関連性
炎症性腸疾患(IBD)における持続的な炎症は、大腸粘膜の修復過程で異常な細胞増殖を引き起こし、ポリープ形成の土台となります。
炎症性疾患 | 炎症部位 | ポリープ形成リスク | 合併症 |
---|---|---|---|
潰瘍性大腸炎 | 大腸のみ | 極めて高い | 出血、穿孔 |
クローン病 | 全消化管 | 比較的高い | 狭窄、瘻孔 |
診察(検査)と診断
大腸ポリープの診断手順の中核となるのは大腸内視鏡検査ですが、画像診断も補完的役割を担う検査となります。
問診・身体診察
問診では、症状、遺伝的背景、生活環境について聴取します。大腸ポリープは無症状のケースが多いものの、出血や排便習慣の変化など特徴的な徴候に注目します。
身体診察では、腹部の触診で圧痛や腫瘤の有無を調べ、腸の動きを示す蠕動音にも注意を払います。直腸診によって、肛門付近や直腸内の異常を確認しますが、この方法だけでポリープの存在を特定することは困難とされています。
以下の検査項目から、状況に応じて選択します。
- 便潜血検査(便中の微量な血液を検出)
- 大腸内視鏡検査(直接的な大腸内部の観察)
- 注腸X線検査(造影剤による大腸形状の確認)
- CT colonography(CTによる3次元的な大腸観察)
代表的な検査
大腸内視鏡検査は、大腸ポリープの診断において最も信頼性の高い手法です。内視鏡を用いて大腸内部を直接観察することで、ポリープの形状や性状を把握できます。
また、同時に組織採取や病変の切除も実施できるため、診断から治療まで一貫して行える利点があります。
注腸X線検査では、造影剤を使用して大腸全体の形状を把握します。広範囲の観察が可能ですが、微細なポリープの検出には限界があり、病変が見つかった場合は追加検査が必要になります。
CT colonographyは、CTスキャンを活用して大腸の立体的な画像を構築する新しい検査法です。内視鏡検査に比べて身体的負担が少なく、高齢者や内視鏡挿入が困難な患者にも実施できます。
検査方法 | 特徴 | 精度 |
---|---|---|
大腸内視鏡検査 | 直接観察、生検・切除可能 | 高い |
注腸X線検査 | 広範囲の観察が可能 | 中程度 |
CT colonography | 低侵襲、3D画像作成 | 中程度 |
便潜血検査は肉眼では確認できない出血を検出することができますが、陽性結果の場合は精密検査が必要です。
大腸ポリープの臨床診断
大腸ポリープの臨床診断では、ポリープの存在だけでなく、その性質や悪性化リスクも評価します。
また、ポリープの大きさ、形状、色調、表面性状を観察し、種類や悪性化リスクを推測します。例えば、直径1cm以上のポリープや、表面が不整なものは悪性化リスクが高いとされています。
主なポリープの形態
ポリープの形態 | 特徴 | 悪性化リスク |
---|---|---|
有茎性 | キノコ状、細い茎 | 比較的低い |
亜有茎性 | 太い茎 | 中程度 |
無茎性 | 茎なし、平たい | 比較的高い |
平坦型 | わずかに隆起 | 高い場合あり |
大腸ポリープの確定診断
大腸ポリープの確定診断には、組織診断が必須です。ポリープの一部または全体を採取し、顕微鏡下で綿密に観察します。これにより、ポリープの正確な性質や悪性度を判定することができます。
組織の採取方法
- 生検:ポリープの一部を採取する方法
- ポリペクトミー:ポリープ全体を切除する方法
生検は、主に大型ポリープや完全切除が困難なポリープに対して行います。一方、ポリペクトミーは小型ポリープや切除可能と判断されたポリープに対して実施します。
組織診断で評価するポイント
- 細胞の異型性(正常細胞からの逸脱度)
- 組織構造の乱れ
- 核の大きさや形状の異常
- 細胞分裂像の頻度
- 浸潤性増殖の有無
このような所見を総合的に評価し、ポリープを以下のように分類します。
分類 | 特徴 | 悪性度 |
---|---|---|
腺腫 | 異型性あり、構造異常あり | 良性(前癌病変) |
腺癌 | 高度異型性、浸潤性増殖 | 悪性 |
過形成性ポリープ | 異型性なし、構造正常 | 良性 |
炎症性ポリープ | 炎症細胞浸潤、再生性変化 | 良性 |
腺腫はさらに、管状腺腫、管状絨毛腺腫、絨毛腺腫に細分類されます。また、異型度によって軽度、中等度、高度に区分されることもあります。
腺癌と診断された場合、深達度(粘膜内にとどまっているか、粘膜下層以深に浸潤しているか)や分化度(高分化、中分化、低分化)なども調べます。
大腸ポリープの治療法と処方薬、治療期間
大腸ポリープでは内視鏡的ポリープ切除術を中心とした治療を実施し、病変部位の大きさや形状を考慮しながら、複数ある手術方法から選択します。
入院期間は一般的に1週間前後で、治療後の経過観察を含めた包括的な医療介入を実施していきます。
内視鏡的治療の種類と特徴
内視鏡的粘膜切除術(EMR)は、直径20mm未満の比較的小さなポリープに対して有効な治療法として広く認知されており、特殊な高周波電流を用いた切除技術により、15分から30分程度で手術を完遂できます。
一方、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、直径20mm以上の大きな病変に対して実施される高度な手術手技です。手術時間は通常1時間から2時間を要します。
両術式とも、局所麻酔下での施術が一般的となっています。
治療方法 | 病変の大きさ | 手術時間 | 入院期間 |
---|---|---|---|
EMR | 20mm未満 | 15-30分 | 1-2日 |
ESD | 20mm以上 | 60-120分 | 3-4日 |
開腹手術・腹腔鏡手術
大型の病変や内視鏡治療が困難な症例においては、開腹手術もしくは腹腔鏡手術を検討します。腹腔鏡手術は従来の開腹手術と比較して創部が小さく、術後の回復が著しく早いことが特徴です。
手術後の入院期間については、開腹手術では7日から10日程度、腹腔鏡手術では5日から7日程度が目安となります。
手術方法 | 手術時間 | 入院期間 | 術後の制限 |
---|---|---|---|
開腹手術 | 2-3時間 | 7-10日 | 4週間 |
腹腔鏡手術 | 3-4時間 | 5-7日 | 2週間 |
処方薬と術後管理
術後の疼痛管理や感染予防に関して、計画的な薬物療法を実施します。抗生物質の投与期間は通常3日から5日間とし、消炎鎮痛剤は術後の痛みの程度に応じて2日から3日間投与します。
整腸剤については、腸内細菌叢の安定化を目的として1週間から2週間の投与を行います。
薬剤分類 | 投与期間 | 投与方法 | 主な副作用 |
---|---|---|---|
第三世代セフェム系抗生物質 | 3-5日 | 点滴静注 | 下痢、発疹 |
NSAIDs | 2-3日 | 内服 | 胃部不快感 |
生菌製剤 | 1-2週間 | 内服 | 特になし |
治療後の経過観察
定期的な経過観察を実施し、再発の早期発見に努めます。特に術後1年目は6ヶ月ごとの内視鏡検査を実施し、その後は年1回の定期検査を継続します。
術後の食事制限は手術方法により異なりますが、一般的に術後1週間程度で通常の食事に移行できます。
経過期間 | 検査内容 | 検査間隔 | 注意点 |
---|---|---|---|
術後1年目 | 内視鏡検査 | 6ヶ月毎 | 出血の有無 |
2-3年目 | 内視鏡検査 | 12ヶ月毎 | 再発の確認 |
4年目以降 | 内視鏡検査 | 24ヶ月毎 | 新規病変の確認 |
大腸ポリープの治療における副作用やリスク
医療技術の進歩により治療の安全性は向上していますが、すべての医療処置にはリスクが伴います。
最後に、大腸ポリープの治療における副作用やリスクについて説明します。
内視鏡的治療における一般的な副作用
内視鏡的ポリープ切除術においては、患者さまの10〜15%程度に一時的な腹痛や不快感が生じます。特に大きさが2cm以上のポリープを切除した場合、術後24時間以内に腹部の膨満感や軽度の痛みを経験する方が多くなります。
治療後の出血については、即時性出血と遅発性出血の2種類に分類されます。
即時性出血は処置中から術後数時間以内に発生し、遅発性出血は5〜7日後に起こることがあり、特に抗凝固薬を服用されている方は注意が必要です。
副作用の重症度 | 発生率 | 回復期間 |
---|---|---|
軽度の腹痛 | 15-20% | 2-3日 |
中等度の出血 | 2-3% | 1週間程度 |
重度の合併症 | 0.5%未満 | 個人差あり |
治療後の発熱は通常36時間以内に解消されますが、38.5度以上の発熱が継続する場合は、感染症の可能性を考慮して早急な医療機関への受診が望まれます。
重大な合併症
腸管穿孔(腸に穴が開く状態)は、内視鏡治療における最も深刻な合併症の一つとなります。発生頻度は0.1%程度と極めて低いものの、発生した場合は緊急手術を要します。
重度の出血は、特に直径2cm以上の大きなポリープを切除した際に発生しやすく、輸血や緊急の止血処置が必要になることがあります。
合併症の種類 | 主な症状 | 緊急度 |
---|---|---|
腸管穿孔 | 激痛、発熱 | 即時対応必要 |
大量出血 | 血便、めまい | 数時間以内 |
重度感染 | 高熱、悪寒 | 24時間以内 |
病型別の治療リスク
腫瘍性ポリープは、完全切除の必要性から比較的広範囲の切除を行うため、合併症のリスクが若干高くなります。
一方、非腫瘍性ポリープは良性病変であることが多いため、より保守的な治療方針を選択できます。
ただし、大きさが2cm以上の場合は、腫瘍性ポリープと同様の慎重な対応が求められます。
ポリープの特徴 | リスク評価 | 治療後の注意点 |
---|---|---|
腫瘍性・大型 | 高リスク | 厳重な経過観察 |
腫瘍性・小型 | 中リスク | 定期的な観察 |
非腫瘍性 | 低リスク | 通常の経過観察 |
高リスク群
以下の条件に該当する患者さまについては、特別な注意が必要となります。
- 75歳以上の高齢者
- 心疾患や糖尿病などの基礎疾患保持者
- 抗凝固薬・抗血小板薬の服用者
- 複数のポリープを有する方
術後の経過観察におけるリスク管理
術後1週間は特に慎重な経過観察が必要となり、異常が認められた場合は速やかに医療機関を受診することが推奨されます。
再発予防の観点から、定期的な内視鏡検査による経過観察も重要な要素となります。
治療費について
実際の治療費(医療費)が以下説明より高額になるケースが多々ございます。以下記載内容について当院では一切の責任を負いかねます事を予めご了承下さい。
大腸ポリープの治療では、診察料、各種検査料、入院費用などを含む医療費は保険適用により3割の自己負担となります。
処方薬の薬価目安
消化器系の不快な症状に対応する処方薬として、腸内環境を整える整腸剤や痛みを和らげる鎮痛剤などが処方されます。7日分の薬価は下記の通りです。
薬剤名 | 薬価(7日分) |
---|---|
整腸剤 | 2,100円 |
鎮痛剤 | 1,800円 |
緩下剤 | 1,500円 |
1週間の治療費目安
内視鏡的切除術に伴う入院では、手術そのものの費用に加え、入院中の基本料金や諸検査など、以下の費用負担が生じます。
項目 | 概算費用 |
---|---|
入院基本料 | 42,000円 |
手術料 | 88,000円 |
検査料 | 25,000円 |
食事代 | 12,000円 |
1か月の治療費目安
退院後の経過観察期間における主な医療費は以下の通りです。
- 定期診察料:3,000円/回
- 血液検査:5,000円/回
- 腹部エコー:8,000円/回
- 投薬料:4,500円/週
以上
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