多系統萎縮症(MSA) – 脳・神経疾患

多系統萎縮症(MSA)(multiple system atrophy)とは、脳内の神経細胞や自律神経系の細胞が少しずつ減っていく、進行性の神経の疾患です。

この病気では、手足の動きが悪くなるパーキンソン症状や、体のバランスが取りにくくなる小脳症状、血圧や体温調節がうまくいかなくなる自律神経症状という3つの特徴的な症状が、異なる組み合わせで出てきます。

40代から60代の間に始まることが多く、どのような症状が出るか、またどのくらいの速さで進むかは、人それぞれです。

この記事を書いた人
丸岡 悠(まるおか ゆう)
丸岡 悠(まるおか ゆう)
外科医

1988年山形県酒田市生まれ。酒田南高校卒業後、獨協医科大学(栃木)にて医師免許取得。沖縄県立北部病院、独立行政法人日本海総合病院を経て現職(医療法人丸岡医院)。

目次[

多系統萎縮症(MSA)の種類(病型)

多系統萎縮症(MSA)には主にオリーブ橋小脳萎縮症(MSA-C)、線条体黒質変性症(MSA-P)、Shy-Drager症候群(MSA-A)という3つの病型があり、それぞれ特徴的な神経細胞の変性パターンを示します。

多系統萎縮症の病型分類における基本的な考え方

多系統萎縮症の病型分類において重要なポイントは、神経細胞の変性が主に見られる部位によって特徴づけられ、各病型の名称は主たる病変部位に由来しているものの、実際には複数の神経系統が同時に障害されます。

3つの病型は独立した疾患単位というよりも、同一疾患の異なる表現型として捉えられており、診断基準の策定や研究の方向性を定める上で不可欠な基盤です。

病型名主な変性部位病理学的特徴
オリーブ橋小脳萎縮症(MSA-C)小脳、橋、オリーブ核グリア細胞質内封入体の出現、プルキンエ細胞の脱落
線条体黒質変性症(MSA-P)線条体、黒質αシヌクレイン陽性封入体、ドパミン神経細胞の変性

オリーブ橋小脳萎縮症(MSA-C)の特徴と病態

オリーブ橋小脳萎縮症は、小脳系の神経細胞が選択的に障害され、日本人の多系統萎縮症患者さんにおいては最も多く認められる病型です。

この病型における神経細胞の変性は、小脳皮質のプルキンエ細胞から始まり、次第に橋核やオリーブ核といった小脳関連核へと広がっていくという進展パターンを示します。

神経病理学的には、グリア細胞質内にαシヌクレインという異常タンパク質が蓄積することで、神経細胞の機能が徐々に失われていくメカニズムが解明されつつあります。

線条体黒質変性症(MSA-P)の特徴と病態

線条体黒質変性症は、大脳基底核系の神経細胞が選択的に障害され、欧米では最も頻度の高い病型です。

この病型では、線条体と黒質という運動制御に関わる重要な神経核において著明な神経細胞の脱落が見られ、線条体におけるドパミン受容体を持つ神経細胞の変性が見られます。

病理学的には、αシヌクレイン陽性のグリア細胞質内封入体が観察され、異常構造物の蓄積が神経細胞死を引き起こします。

神経病理学的特徴

  • グリア細胞質内封入体の形成
  • 神経細胞の選択的脱落
  • 血管周囲の炎症性変化
  • αシヌクレインの蓄積
  • 小膠細胞の活性化

Shy-Drager症候群(MSA-A)の特徴と病態

Shy-Drager症候群は、自律神経系の神経細胞が優位に障害される病型であり、脊髄中間質外側核や交感神経節における神経細胞の変性が特徴的な所見です。

この病型における神経細胞の変性は、自律神経系の広範な領域に及び、交感神経系と副交感神経系の両方が障害されることから、全身の自律神経機能に様々な影響を及ぼします。

解剖学的部位病理学的変化神経伝達物質の変化
中間質外側核神経細胞の脱落ノルアドレナリンの減少
交感神経節グリア細胞の増生アセチルコリンの減少
迷走神経背側核αシヌクレインの蓄積セロトニンの減少

多系統萎縮症(MSA)の主な症状

多系統萎縮症は小脳症状、パーキンソニズム、自律神経症状、錐体外路症状などの多彩な神経症状が複合的に現れます。

小脳症状による身体バランスの変化

小脳機能の低下により、歩行時のふらつきや手足の協調運動障害が起こり、日常生活における動作の正確性が徐々に失われていく状態が多く見受けられます。

歩行時の不安定さは初期から目立つ症状で、歩幅が小さくなったり、足を広げて歩いたりする代償行動が出現することも珍しくありません。

手足の協調運動障害は、箸やスプーンを使う際の微細な動作から、ドアの開け閉めといった大きな動作まで、様々な場面で困難さをもたらします。

構音障害による発話の不明瞭さも小脳症状の一つで、特に早口での会話や長時間の発話で顕著になることが多いです。

また、眼球運動の異常も特徴的な症状であり、視線を一点に固定することが難しくなったり、滑らかな追従運動ができなくなったりする変化が観察されます。

パーキンソニズムによる運動機能への影響

動作の緩慢さや筋肉のこわばり、安静時の手足の震えといったパーキンソン病に似た症状群は、多系統萎縮症の特徴的な症状です。

症状の種類具体的な症状の現れ方
動作の緩慢さ体の動きが全体的に遅くなり、特に歩行開始時や方向転換時に顕著に現れます
筋強剛手足や体幹の筋肉が固くなり、スムーズな動きが困難になります
姿勢保持障害体のバランスを保つことが難しくなり、転倒するリスクが高まります

パーキンソニズムは、日常生活における基本的な動作に大きな影響を与え、特に朝方から午前中にかけて症状が強く出現します。

筋強剛は上肢から始まることが多く、徐々に体幹や下肢にも広がっていくことで、全身の動きがぎこちなくなっていく経過をたどることが多いです。

小刻み歩行や加速歩行といった特徴的な歩行パターンの変化も見られ、狭い場所での方向転換や段差の昇降時に困難さが起きます。

自律神経症状の多様性

自律神経系の障害により、体温調節や血圧調節、排尿機能などに様々な問題が生じます。

  • 起立性低血圧による立ちくらみ
  • 発汗異常による体温調節の乱れ
  • 膀胱機能障害による排尿困難
  • 便秘などの消化器症状
  • 呼吸機能の変調による睡眠時無呼吸

起立性低血圧は、急な姿勢変化により血圧が大きく低下する症状であり、めまいや失神を起こすことがあるので注意が必要です。

発汗異常は、暑さや寒さに対する体温調節機能の低下として起こり、夏季の体温上昇や冬季の体温低下が著しくなります。

膀胱機能障害は、尿意を感じにくくなったり、排尿を開始することが困難になったりする症状として現れ、時には尿失禁を伴うこともあります。

錐体外路症状と運動制御の変化

錐体外路系の障害により、不随意運動や姿勢維持の困難さも現れます。

運動症状症状の詳細な説明
不随意運動意図しない手足の動きや体のふるえが起こり、特に精密な作業時に顕著になります
筋緊張異常特定の筋肉群が過度に緊張し、円滑な動作の妨げとなります
姿勢異常体幹が前かがみになったり、側屈したりする姿勢の変化が現れます

姿勢の変化は体幹部で顕著となり、前傾姿勢や側方への傾きが進行性に強くなっていきます。

不随意運動は、手足の震えや体幹のゆらぎとして現れることが多く、精密な作業を行う際に支障をきたすことがあります。

筋緊張の異常は、特定の筋肉群に過度な緊張が生じる状態として現れ、円滑な動作の実行を妨げる要因です。

多系統萎縮症(MSA)の原因

多系統萎縮症(MSA)は、脳内のαシヌクレインというタンパク質が異常に蓄積することで、神経細胞が徐々に変性・脱落していく神経変性疾患です。

神経細胞内での異常タンパク質の蓄積について

αシヌクレインの異常な蓄積は、グリア細胞と呼ばれる神経細胞を支える細胞の中で見られ、グリア細胞内での異常タンパク質の蓄積が神経細胞の機能低下や細胞死を引き起こす原因です。

グリア細胞は脳内で重要な役割を担っており、神経細胞の栄養補給や老廃物の除去、神経伝達物質の調節など、様々な機能を持っているため、グリア細胞の機能障害は広範囲にわたる神経系の異常を起こします。

αシヌクレインが蓄積する脳の部位と影響

  • 黒質や線条体などの大脳基底核領域で、運動機能の制御に関わる神経細胞が障害
  • 小脳や橋などの部位で、バランスや協調運動に関わる神経細胞が障害
  • 自律神経系の中枢である脳幹部で、自律神経機能を制御する神経細胞が障害
  • 脊髄の特定の領域で、運動や感覚に関わる神経細胞が障害
  • 大脳皮質の一部の領域で、高次脳機能に関わる神経細胞が障害

遺伝的要因の関与

遺伝子の種類関連する異常
COQ2遺伝子ミトコンドリアの機能障害
SHC2A遺伝子タンパク質の品質管理異常
SNCA遺伝子αシヌクレインの産生異常
MAPT遺伝子タウタンパク質の代謝異常

遺伝子研究により、複数の遺伝子が多系統萎縮症の発症に関与している可能性が指摘されています。

環境因子の影響

環境因子考えられる影響
酸化ストレス細胞内のタンパク質や脂質の損傷
炎症反応神経細胞の変性促進
ミトコンドリア機能障害エネルギー産生の低下
プロテアソーム機能低下異常タンパク質の蓄積促進

環境因子の中でも酸化ストレスは、細胞内のタンパク質や脂質に損傷を与え、αシヌクレインの異常な蓄積を促進する可能性があることが、様々な研究から示唆されています。

細胞内タンパク質分解システムの異常

細胞内には異常なタンパク質を分解・除去するシステムが存在しており、このシステムの機能低下が多系統萎縮症の発症に関与しています。

プロテアソームやオートファジーといった細胞内のタンパク質分解システムの機能が低下することで、異常なαシヌクレインが蓄積しやすくなり、更なる細胞機能の障害が引き起こされるのです。

診察(検査)と診断

多系統萎縮症(MSA)の診断では、神経内科専門医による詳細な問診と神経学的診察を基本として、様々な検査データを組み合わせながら総合的に判断を行います。

問診と神経学的診察

問診では、患者さんやご家族から症状の経過や生活環境について丁寧にお話を伺い、症状が出始めた時期や進行の様子、日常生活での困りごとなどについて詳しく確認していきます。

神経学的診察では、脳神経系の機能を細かく調べるために、歩行の様子や姿勢の変化、手足の動き、反射、筋力、感覚などを確認することが大切です。

神経学的診察で確認する主な項目

  • 意識状態と認知機能の確認
  • 脳神経系の機能検査(眼球運動、顔面感覚、嚥下機能など)
  • 運動機能検査(筋力、反射、協調運動など)
  • 感覚機能検査(触覚、温度覚、振動覚など)
  • 自律神経機能検査(血圧変動、発汗、排尿機能など)

画像検査による脳の構造確認

検査方法確認できる内容
MRI検査脳の萎縮部位、白質変性の有無
SPECT検査脳血流の低下部位、機能障害の範囲
DaTスキャンドーパミン神経の変性程度
MIBG心筋シンチ交感神経終末の機能状態

MRI検査は脳の構造を詳細に観察でき、特に被殻後外側のT2高信号(プットーメンサイン)や小脳、脳幹の萎縮の有無を確認することで、多系統萎縮症の診断に重要な情報を提供します。

また、SPECTやPET検査などの機能的画像検査では、脳の血流や代謝の状態を調べられ、障害を受けている脳の領域を特定することが可能です。

自律神経機能検査

検査項目診察内容
心電図RR間隔自律神経による心拍変動
起立試験血圧調節機能の異常
発汗試験汗腺機能と交感神経活動
膀胱機能検査排尿障害の程度と種類

起立性低血圧の有無を調べるため、臥位から立位への姿勢変換時の血圧変動を測定する起立試験は、自律神経機能を評価する上で非常に重要な検査です。

心電図検査では心拍変動を解析することで自律神経機能を評価し、深呼吸時の心拍変動は副交感神経機能の指標として活用します。

運動機能検査と生理学的検査

運動機能検査では、筋力や協調運動、反射などの神経学的な機能を客観的に数値化するために、様々な専門的な検査機器を用いて詳細なデータを収集します。

筋電図検査では、神経伝導速度や筋活動の電気的な変化を測定することで、末梢神経や筋肉の機能状態を詳しく調べます。

嚥下造影検査やビデオ嚥下内視鏡検査では、食べ物や飲み物を飲み込む際の様子を詳しく観察し、誤嚥のリスクや嚥下機能の低下の程度を評価することが可能です。

多系統萎縮症(MSA)の治療法と処方薬、治療期間

多系統萎縮症の治療においては、運動機能改善薬、自律神経調節薬、リハビリテーション療法など、複数のアプローチを組み合わせながら症状の進行を抑制することが重要です。

運動機能改善のための薬物療法

レボドパ製剤を中心とした薬物療法は、パーキンソニズムの改善を目指す基本的な治療法として広く用いられており、運動機能の維持向上に貢献します。

薬剤名主な効果と使用目的
レボドパ・カルビドパ配合剤脳内のドパミン量を増やし、手足の動きを改善します
アマンタジン塩酸塩ドパミンの放出を促進し、筋肉の緊張を和らげます
ドロキシドパ起立性低血圧の改善に働きかけます

薬剤は、症状の進行度合いや患者様の状態に応じて投与量を調整しながら、長期的な服用を継続することで効果を発揮します。

レボドパ製剤は、朝方の症状が強い時間帯に合わせて服用時間を設定することで、日中の活動性を高める薬剤です。

アマンタジン塩酸塩は、脳内の神経伝達物質のバランスを整えることで、動作の円滑性を向上させる働きがあります。

自律神経症状に対する治療アプローチ

自律神経症状の改善を目的とした薬物療法では、血圧調節薬や排尿障害改善薬などを組み合わせて使用することで、複数の症状に対応します。

  • ミドドリン塩酸塩による血圧維持
  • フルドロコルチゾンによる血圧安定化
  • ウラピジルによる排尿機能改善
  • イミダフェナシンによる頻尿抑制
  • ピロキシカムによる腸管運動促進

薬剤は、自律神経症状の種類や程度に応じて選択し、患者さんの状態を見ながら投与量を決定します。

血圧調節薬は、起立性低血圧が強い患者さんに対して使用し、日中の活動性を維持するために不可欠な薬剤です。

リハビリテーション療法による機能維持

理学療法士や作業療法士による専門的なリハビリテーションプログラムは、運動機能の維持向上を目指す上で大切な治療法です。

リハビリ種類期待される効果
運動療法筋力維持と関節可動域の改善を目指します
バランス訓練姿勢保持能力の向上を図ります
歩行訓練安定した歩行パターンの獲得を目指します

理学療法では、筋力トレーニングやストレッチング、バランス訓練などを通じて、基本的な運動機能の維持を図ります。

作業療法では、日常生活動作の練習や補助具の使用方法の指導を行い、生活の自立度を高めることを目標です。

言語聴覚療法では、構音障害や嚥下障害に対するアプローチを行い、コミュニケーション能力や摂食機能の維持改善を目指します。

補助療法と生活環境の調整

薬物療法やリハビリテーション以外にも、様々な補助的な治療法や環境調整を組み合わせることで、総合的な治療効果を高められます。

補装具や福祉機器の活用は、日常生活における動作の安全性を高め、自立した生活を支援する役割を果たします。

住環境の整備では、手すりの設置や段差の解消など、安全な生活空間の確保を通じて、転倒予防や活動性の維持につながります。

また、リハビリテーション機器を用いた訓練は、客観的な評価に基づいて進めることで、より効果的な機能回復を目指すことが可能です。

さらに、睡眠時無呼吸に対する呼吸サポート機器の使用は、夜間の呼吸状態を改善し、日中の活動性向上に寄与します。

多系統萎縮症(MSA)の治療における副作用やリスク

多系統萎縮症(MSA)の治療においては、各種薬剤の使用や処置に伴い、様々な副作用やリスクがあります。

薬物療法に伴う副作用

L-ドーパ製剤の投与は、服用開始直後から数時間の間に吐き気や食欲不振といった消化器系の不快な症状が起こることがあり、高齢の患者さんでは症状が出やすいです。

血圧低下を改善する薬剤は、時として予想以上に血圧を上昇させ、めまいや頭痛、動悸などの症状を引き起こす可能性があるため、血圧の細かな変動にも注意を払う必要があります。

主な薬剤による副作用

  • 抗パーキンソン病薬による起立性低血圧の悪化
  • 血圧上昇薬による高血圧や頭痛
  • 抗コリン薬による口渇や便秘
  • 自律神経作用薬による発汗異常や頻脈
  • 抗うつ薬による眠気や食欲変化

リハビリテーションに関連するリスク

リスクの種類予防のポイント
転倒・骨折運動強度の調整、環境整備
関節拘縮ストレッチの調整、可動域確認
筋力低下運動量の個別設定、定期的な評価
呼吸器合併症呼吸機能の確認、感染予防

運動療法やリハビリテーションを行う際には、過度な負荷がかからないよう細心の注意を払いながら進めることが重要です。

特に転倒のリスクについては、バランス機能の低下と血圧の変動が組み合わさることで、より一層高まります。

自律神経症状への対応におけるリスク

症状への対応考慮すべきリスク
起立性低血圧意識消失、転倒
排尿障害尿路感染症、腎機能障害
嚥下障害誤嚥性肺炎、窒息
便秘イレウス、腸閉塞

自律神経症状に対する薬物療法では、一つの症状を改善させようとすることで、別の症状を悪化させてしまう可能性があることを考慮しながら進めていきます。

血圧のコントロールに関しては、臥位高血圧と起立性低血圧が同時に存在することがあり、両方に対応することが大切です。

長期的な合併症のリスク

長期の臥床や活動量の低下は、深部静脈血栓症や褥瘡、骨粗鬆症などの合併症を引き起こすリスクを高めることがあります。

誤嚥性肺炎の予防には、口腔ケアや食事形態の工夫が欠かせませんが、過度な制限は栄養状態の悪化を招きます。

尿路感染症や便秘などの合併症は、自律神経障害により気付きにくいことがあり、定期的な確認が必要です。

治療費について

治療費についての留意点

実際の治療費(医療費)が以下説明より高額になるケースが多々ございます。以下記載内容について当院では一切の責任を負いかねます事を予めご了承下さい。

薬物療法にかかる費用

薬剤分類1ヶ月あたりの一般的な費用(保険適用後)
レボドパ製剤4,000円~8,000円
自律神経調節薬3,500円~7,000円
血圧調整薬2,500円~5,000円
排尿障害改善薬3,000円~6,000円

薬剤は症状や投与量によって費用が変動します。

リハビリテーション費用

一回あたりのリハビリテーション費用は、保険適用後で以下のような金額となります。

  • 理学療法(1回40分)2,500円~3,500円
  • 作業療法(1回40分)2,500円~3,500円
  • 言語聴覚療法(1回20分)2,000円~3,000円
  • 嚥下機能療法(1回20分)1,500円~2,500円
  • 集団リハビリ(1回60分)1,000円~2,000円

定期検査と医療機器の費用

検査・医療機器費用(保険適用後)
MRI検査15,000円~25,000円/回
頭部CT8,000円~15,000円/回
自律神経機能検査5,000円~10,000円/回
呼吸機能検査4,000円~8,000円/回

定期的な画像検査や機能検査は、病状の進行度合いを把握するために不可欠です。

補助具・医療機器の購入費用

電動車椅子は20万円から50万円程度となりますが、介護保険の利用により自己負担を抑えられます。

歩行器は2万円から10万円程度で、ベッド用手すりや移乗用具など、在宅での生活を支援する用具は、1つあたり5,000円から3万円です。

排痰補助装置は15万円から30万円で、症状の進行により必要となります。

以上

References

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