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自律神経失調症の症状と治療|神経・精神

みなさんこんにちは。医療法人丸岡医院の丸岡悠です。

今日は「自律神経失調症」についてお話しさせてください。外来をやっていると「自律神経が乱れていると思うんです」と訴える患者さんが本当に多い。正直、僕の感覚では週に3〜4人はこの相談を受けています。

でも「自律神経失調症」という言葉は知っているのに、それが具体的に何なのかをちゃんと理解している方は意外と少ないのです。「なんとなくだるい」「動悸がする」「眠れない」「お腹の調子が悪い」——こういった症状が続いて病院に行っても、検査で「異常なし」と言われて途方に暮れる。そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

僕自身、研修医の頃は「自律神経失調症」という診断名にどこか曖昧な印象を持っていました。でも臨床経験を重ねるにつれて、この状態で苦しんでいる患者さんがいかに多いか、そして適切に対応すれば確実に良くなるケースがたくさんあることを痛感するようになりました。だからこそ今日は、僕が知っていること、日々の診療で感じていることをできるだけ分かりやすくお伝えしたいと思います。

この記事を書いた人
丸岡 悠(まるおか ゆう)
丸岡 悠(まるおか ゆう)
外科医

1988年山形県酒田市生まれ。酒田南高校卒業後、獨協医科大学(栃木)にて医師免許取得。沖縄県立北部病院、独立行政法人日本海総合病院を経て現職(医療法人丸岡医院)。

自律神経失調症って何だろう

自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れることによって、全身にさまざまな不調が現れる状態を指します。ここで大切なポイントがあります。実は自律神経失調症は、厳密に言うと「正式な病名」ではありません。日本心身医学会では「種々の自律神経系の不定愁訴を有し、しかも臨床検査では器質的病変が認められず、かつ顕著な精神障害のないもの」と定義しています。

ではなぜこれが「正式な病名ではない」のか?それは、自律神経失調症というのはあくまで「状態」を表す言葉であって、原因を特定する診断名ではないからです。頭痛があり、動悸があり、胃腸の不調もある。でも血液検査もCTもMRIも異常なし。こういうときに「自律神経失調症ですね」と伝えることが多いのです。

僕は患者さんにこう説明しています。「自律神経失調症というのは、体の中で自律神経という『自動操縦システム』が乱れている状態です。飛行機のオートパイロットが調子悪くなっているようなものだと思ってください」と。自律神経は心臓を動かしたり、胃腸を動かしたり、汗を出したり、体温を調節したり——こういった「自分の意志ではコントロールできない」機能を24時間365日休みなく制御しています。この制御がうまくいかなくなると、体のあちこちに不具合が出てくるわけです。

自律神経の仕組み ― 「アクセル」と「ブレーキ」

自律神経を理解するために、まずその仕組みを知っておきましょう。自律神経は大きく2つに分かれます。「交感神経」と「副交感神経」です。

僕が患者さんによく使うたとえ話があります。交感神経は車で言う「アクセル」、副交感神経は「ブレーキ」です。朝起きて仕事をしている時間帯はアクセル(交感神経)が優位になって、心拍数が上がり、血圧も上がり、頭がシャキッとする。夜リラックスしている時間帯はブレーキ(副交感神経)が優位になって、心拍数が下がり、胃腸が活発に動き、体が休息モードに入る。

健康な状態では、この2つが車の運転のように滑らかに切り替わっています。ところが自律神経失調症では、この切り替えがうまくいかなくなる。アクセルを踏みっぱなしになったり、ブレーキが効きすぎたり、アクセルとブレーキを同時に踏んでしまったりする。だから体が混乱して、さまざまな不調が出てくるのです。

ちなみに、自律神経の活動は自分の意志ではコントロールできないと言いましたが、唯一コントロールできる方法があります。それは「呼吸」です。息を吸うと交感神経が活性化し、息を吐くと副交感神経が活性化します。深呼吸でリラックスできるのは、このメカニズムを利用しているからなのです。これは後で治療の話をするときにも出てきますので、覚えておいてください。

どのくらいの人が悩んでいるのか ― 数字で見る

自律神経失調症の正確な患者数を出すのは実は難しいのですが、推定では日本国内で約600万〜1,000万人がこの状態に該当するとされています。1,000万人となると日本の人口の約12人に1人です。

ただ、僕が実感として感じているのは、実際の数はもっと多いだろうということです。「なんとなく調子が悪い」状態が続いていても病院に行かない人、行っても「異常なし」と言われてそのまま帰ってしまう人がたくさんいます。特に20代〜40代の働き盛りの世代に多く、男女比で言うと女性が男性の約2〜3倍と言われています。

ではなぜ女性に多いのか?それはホルモンバランスの変動が大きいからです。月経周期、妊娠・出産、更年期——女性の体はホルモンの変動にさらされる機会が圧倒的に多い。そしてホルモンの変動は自律神経のバランスに直接影響を与えます。

でも男性も決して無縁ではありません。僕の外来にも30代〜50代の男性で「ずっと体調が悪い」「動悸が止まらない」「頭がぼんやりする」と訴えて来られる方がいます。仕事のプレッシャー、長時間労働、睡眠不足——現代社会は男女問わず自律神経にとって過酷な環境なのです。

自律神経が乱れる原因

自律神経のバランスが崩れる原因は一つではありません。複数の要因が絡み合っているケースがほとんどです。僕が外来で患者さんにヒアリングする際に確認するポイントを挙げてみます。

①精神的ストレス ― 仕事の重圧、人間関係のトラブル、家庭の問題。これが最も多い原因です。ストレスが慢性的に続くと、交感神経がずっとONの状態になり、副交感神経への切り替えがうまくいかなくなります。 ②生活リズムの乱れ ― 夜更かし、不規則な食事、昼夜逆転の生活。自律神経は「リズム」で動いています。このリズムが崩れると、自律神経のバランスも崩れます。 ③睡眠不足 ― 日本人の平均睡眠時間は約7時間22分(2021年OECD調査)で、先進国の中で最も短い。6時間未満の睡眠が続くと、自律神経のバランスが乱れやすくなります。 ④ホルモンバランスの変動 ― 思春期、更年期、月経前。ホルモンの急激な変動は自律神経に直接影響します。 ⑤気候・季節の変化 ― 寒暖差が大きいと自律神経への負担が増えます。春先や秋口に体調を崩す方が多いのは、気温の変動に自律神経が追いつかないからです。 ⑥運動不足 ― 体を動かすことは自律神経のリセット機能を持っています。運動不足は交感神経と副交感神経の切り替え能力を低下させます。

僕が強調したいのは、自律神経失調症は「心が弱いから」なるわけではないということです。ストレスに対する自律神経の反応は個人差が大きく、同じストレスを受けても症状が出る人と出ない人がいる。それは「弱さ」ではなく「体質」です。風邪を引きやすい体質があるように、自律神経が乱れやすい体質もあるのです。

こんなに多い症状 ― 全身に出る不調

自律神経失調症の厄介なところは、症状が非常に多岐にわたることです。自律神経は全身のあらゆる臓器を支配しているので、不調もまた全身に及びます。僕が日々の外来で遭遇する代表的な症状を臓器別にまとめてみます。

①循環器系 ― 動悸、胸の圧迫感、血圧の変動、立ちくらみ ②消化器系 ― 胃の不快感、吐き気、食欲不振、下痢・便秘、腹部膨満感 ③呼吸器系 ― 息苦しさ、過呼吸、のどの詰まり感(咽喉頭異常感症) ④神経系 ― 頭痛、めまい、耳鳴り、しびれ、ふらつき ⑤皮膚系 ― 多汗、冷え、ほてり、皮膚のかゆみ ⑥精神面 ― 不安感、イライラ、集中力の低下、抑うつ気分、不眠

ここで重要なのは「検査で異常が見つからない」という点です。動悸がするから心電図を取る。異常なし。胃の調子が悪いから胃カメラを受ける。異常なし。頭痛が続くからMRIを撮る。異常なし。「どこも悪くないですよ」と言われる——これがさらに患者さんの不安を増幅させてしまうのです。

僕の経験では、ある30代の女性患者さんが「3ヶ月間で5つの病院を回った」と話してくれました。動悸で循環器内科、胃の不調で消化器内科、頭痛で脳神経外科、耳鳴りで耳鼻科、不安感で心療内科。全部で検査代だけで10万円以上かかったそうです。でもどこでも「異常ありません」と言われた。彼女が僕のところに来たとき、「どこに行けば治してもらえるんですか」と泣いていました。

こういう経験を経て僕が感じるのは、自律神経失調症の患者さんには「症状を一つずつ見る」のではなく「全体を見る」アプローチが必要だということです。体全体のバランスが崩れているのだから、体全体を立て直す治療をしなければいけない。

自律神経失調症の4つのタイプ

自律神経失調症には大きく分けて4つのタイプがあるとされています。自分がどのタイプに近いかを知ることで、対処法も変わってきます。

①本態性型 ― 生まれつき自律神経のバランスが取りにくい体質の方です。子どもの頃から乗り物酔いしやすい、朝が弱い、体力がない——そういった傾向がある方はこのタイプの可能性があります。体質的な要素が大きいので、生活習慣の改善や体力づくりが特に重要になります。

②神経症型 ― 心理的な要因が強く影響しているタイプです。「気にしすぎ」と言われがちですが、そう言われること自体がさらにストレスになってしまう。自分の体の感覚に敏感で、ちょっとした体調の変化を大きく捉えてしまう傾向があります。このタイプは心理的なサポートが効果的です。

③心身症型 ― 最も多いタイプと言われています。日常のストレスが積み重なって身体症状として表れるパターンです。仕事のストレスで胃が痛くなる、人間関係の問題で頭痛がする——こういった「ストレスが体に出る」タイプです。ストレスの元を認識して対処することが鍵になります。

④抑うつ型 ― 慢性的なストレスが続いた結果、抑うつ状態を伴うようになったタイプです。やる気が出ない、何をしても楽しくない、将来が不安——こういった精神面の症状が強く出ます。このタイプは専門的な治療が必要になることが多いです。

僕がお伝えしたいのは、自分がどのタイプかを「正確に判断する必要はない」ということです。実際には複数のタイプが重なっていることも多い。大切なのは「自分の不調には理由がある」「適切な対応をすれば良くなる可能性がある」と知ることです。

どうやって診断するのか ― 「除外診断」という考え方

自律神経失調症の診断は「除外診断」で行います。除外診断とは何かと言うと「他の病気ではないことを確認して、残ったものが自律神経失調症」という考え方です。

ではなぜこのような回りくどい方法を取るのか?それは、自律神経失調症に特有の検査マーカーが存在しないからです。血液検査で「自律神経失調症の値が高いですね」とは言えない。だからまず、似たような症状を引き起こす他の病気を一つずつ否定していく必要があるのです。

僕が外来で行う検査の流れを説明します。動悸がある場合は心電図と心エコー、甲状腺ホルモンの血液検査。めまいがある場合は耳鼻科的な検査と頭部MRI。胃腸の不調なら腹部エコーや胃カメラ。全身的な血液検査でホルモンの異常や貧血、炎症反応がないかも確認します。

特に見逃してはいけないのが「甲状腺の病気」です。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は動悸、発汗、体重減少、不安感など、自律神経失調症と非常によく似た症状を示します。僕は自律神経失調症を疑う患者さんには必ず甲状腺ホルモン(TSH、FT3、FT4)の検査を行います。血液検査一つで鑑別できるので、これは絶対に省略しません。

これらの検査で他の病気が否定された上で、症状の経過やストレスとの関連を総合的に判断して「自律神経失調症」という診断に至ります。時間と手間がかかるプロセスですが、他の重要な病気を見逃さないために必要なステップなのです。

治療の選択肢 ― 薬だけでは解決しない

自律神経失調症の治療は、薬物療法と非薬物療法の両方を組み合わせて行います。ここで僕が強く伝えたいのは「薬だけ飲んでいれば治る」というものではないということです。

まず薬物療法について。症状に応じてさまざまな薬を使い分けます。

①自律神経調整薬 ― グランダキシン(トフィソパム)が代表的です。交感神経と副交感神経のバランスを整える薬で、副作用が比較的少ないため第一選択として使うことが多い。僕の外来でも最初に処方することが多い薬です。 ②抗不安薬 ― 不安が強い場合に短期間使用します。デパスやワイパックスなど。ただし依存性があるため、僕は「一時的なお助け役」として最小限の使用にとどめるようにしています。 ③漢方薬 ― 自律神経失調症には漢方の出番が多いです。加味逍遙散(かみしょうようさん)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)など。漢方は「体全体のバランスを整える」という考え方に基づいており、自律神経失調症の治療コンセプトと相性が良い。僕自身、漢方をよく処方しますし、効果を実感する患者さんも多いです。 ④抗うつ薬(SSRI/SNRI) ― 抑うつ症状が強い場合に使います。「抗うつ薬」と聞くと抵抗がある方もいますが、これは脳内の神経伝達物質のバランスを整える薬であって、「うつ病の人だけが飲む薬」ではありません。

ただ、薬はあくまでも症状を和らげる手段です。根本的な原因——ストレスや生活習慣の問題——に手をつけなければ、薬をやめたらまた戻ってしまう可能性が高い。だからこそ次のセクションで話す「生活習慣の見直し」が非常に重要なのです。

生活習慣の見直し ― 自律神経を整える「基本のキ」

自律神経を整えるために、僕が患者さんに伝えている「基本のキ」は5つあります。

①睡眠を整える ― これが最も重要です。自律神経の回復は主に睡眠中に行われます。理想は7〜8時間の睡眠ですが、時間だけでなく「質」も大切。寝る1時間前にはスマホを手放す、寝室は暗くする、起きる時間を一定にする——この3つだけでも睡眠の質はかなり変わります。

②朝日を浴びる ― 朝起きたら15分以内に太陽の光を浴びること。これにより体内時計がリセットされ、自律神経の日内リズムが整います。曇りの日でも外の光は室内の照明の10倍以上の明るさがあるので、効果は十分あります。

③適度な運動 ― 激しい運動は必要ありません。1日20〜30分のウォーキングが最もおすすめです。運動は交感神経と副交感神経の切り替えを訓練する効果があります。ヨガやストレッチも副交感神経を活性化させる効果があるので非常に良い。僕は患者さんに「エレベーターを階段に変えるところから始めましょう」と提案しています。

④入浴 ― シャワーだけで済ませている方が多いのですが、ぬるめのお湯(38〜40度)に15分程度浸かることで副交感神経が活性化します。42度以上の熱いお風呂は逆に交感神経を刺激してしまうので要注意です。寝る1〜2時間前の入浴がベストタイミング。体温が一度上がってから下がるタイミングで眠気が出てきます。

⑤呼吸法 ― 先ほど触れた「唯一自律神経をコントロールできる方法」です。「4-7-8呼吸法」というものを患者さんに教えています。4秒かけて鼻から息を吸い、7秒間息を止め、8秒かけて口からゆっくり息を吐く。これを3〜4回繰り返すだけです。寝る前、緊張する場面の前、動悸を感じたとき——いつでもどこでもできるのが最大のメリットです。

さらに言えば、食事も大切です。腸は「第二の脳」と呼ばれるほど自律神経との関係が深い。腸内環境を整えることは自律神経のバランスを整えることにもつながります。発酵食品(味噌、納豆、ヨーグルト)や食物繊維を積極的に摂ることを心がけてください。

自律神経失調症とストレスの深い関係

自律神経失調症の患者さんの多くに共通しているのは「自分がストレスを受けていることに気づいていない」という点です。これは僕が日々の診療で何度も経験していることです。

「ストレスはありますか?」と聞くと「いえ、特にありません」と答える方が少なくない。でもよくよく話を聞いていくと、毎日残業が3時間以上ある、上司との関係がうまくいっていない、家に帰っても家事と育児で休める時間がない——こういった状況が当たり前になりすぎて、それを「ストレス」だと認識できていないのです。

僕がよく使うたとえ話があります。ストレスは「水が入ったコップ」のようなものだと。毎日少しずつ水が入ってくる。コップに余裕があるうちは問題ない。でもいつかコップの水が溢れる。溢れた瞬間に症状が出る。そして多くの方は「水が溢れた瞬間」のきっかけだけに注目してしまう。「あのときから調子が悪くなった」と。でも本当の原因は、それまでずっと少しずつ溜まってきた水の方なのです。

だからこそ、定期的に「コップの水を減らす」ことが大切になります。趣味の時間を確保する、信頼できる人に話を聞いてもらう、意識的に「何もしない時間」を作る。こういったストレスの「発散」が、自律神経のバランスを保つための重要な予防策になります。

ちなみに、ストレスと自律神経の関係は「脳」を介して起きています。ストレスを受けると、脳の視床下部という部分が反応して交感神経を活性化させます。視床下部は自律神経の司令塔です。慢性的なストレスは司令塔を疲弊させて、自律神経の制御能力そのものを低下させてしまうのです。

「気のせい」ではないということ

自律神経失調症の患者さんが最も傷つく言葉——それは「気のせいじゃない?」です。家族から、友人から、ときには医療者からもこの言葉を投げかけられてしまうことがある。

僕はこれを断言したい。自律神経失調症は「気のせい」ではありません。確かに血液検査や画像検査では異常が見つからないかもしれない。でも患者さんが感じている苦しさは本物です。自律神経のバランスが崩れているという「生理学的な変化」が実際に起きているのです。

最近では、心拍変動解析(HRV:Heart Rate Variability)という方法で自律神経の状態を客観的に評価できるようになってきました。心拍と心拍の間隔の「ゆらぎ」を分析することで、交感神経と副交感神経のバランスを数値化できます。この検査で自律神経のバランスが実際に崩れていることが示される方がたくさんいます。

僕が患者さんに伝えたいのは3つです。①あなたの症状は本物です。②適切な対応をすれば良くなります。③一人で抱え込まないでください。

もし今この記事を読んでいて「自分もそうかもしれない」と感じた方がいたら、ぜひ一度受診してください。まずは内科で身体的な病気がないことを確認してもらい、そのうえで自律神経失調症が疑われるなら、治療の相談をしていきましょう。良くなっている患者さんは本当にたくさんいます。

よくある質問

Q. 自律神経失調症は治りますか?

A. はい、多くの方が改善します。ただし「完治」というよりは「上手に付き合っていく」という表現の方が正確かもしれません。生活習慣の改善とストレスマネジメントを継続することで、症状はかなり軽減します。僕の外来では、3〜6ヶ月の治療で「以前とは全然違います」と話してくれる方が多いです。焦らず、着実に取り組むことが大切です。

Q. 何科を受診すればいいですか?

A. まずは内科(総合内科)を受診されることをお勧めします。自律神経失調症の症状は他の身体疾患でも起こり得るため、まずは血液検査やその他の検査で身体的な異常がないことを確認する必要があります。その上で必要に応じて心療内科や精神科への紹介を行います。当院でももちろん対応しています。

Q. 市販薬で治すことはできますか?

A. 市販の漢方薬(命の母、半夏厚朴湯など)で症状が軽減する場合もあります。ただし自己判断で市販薬だけに頼り続けるのは推奨しません。自律神経失調症だと思っていたら実は甲状腺の病気だった、という例もあります。まずは受診して正しい診断を受けた上で、薬の選択を相談してください。

Q. 自律神経失調症とうつ病の違いは何ですか?

A. 自律神経失調症は主に身体症状(動悸、めまい、胃腸の不調など)が中心で、精神面の症状は比較的軽いことが多いです。一方うつ病は、気分の落ち込み、興味の喪失、自責感などの精神症状が中心です。ただし両者は重なることも多く、自律神経失調症が長期化してうつ病に移行するケースもあります。だからこそ早めの対処が重要なのです。

Q. ストレスがないのに自律神経失調症になることはありますか?

A. あります。先ほど触れた「本態性型」のように、体質的に自律神経のバランスが崩れやすい方がいます。季節の変わり目や気圧の変化で体調を崩す方もこのタイプに近いです。ストレスだけが原因ではありません。

Q. 運動はどのくらいすればいいですか?

A. 週3〜5回、1回20〜30分の有酸素運動が推奨されています。ウォーキングが最も取り組みやすいです。ただし体調が悪いときに無理して運動するのは逆効果です。「心地よい」と感じる程度の運動量を目安にしてください。僕は患者さんに「しんどいときは散歩5分でもいい」と伝えています。

Q. コーヒーやお酒は控えたほうがいいですか?

A. カフェインは交感神経を刺激するので、症状が強いときは控えめにしたほうが良いでしょう。1日1〜2杯程度なら問題ありませんが、夕方以降のカフェインは睡眠に影響するので避けてください。アルコールは一時的にリラックス効果がありますが、睡眠の質を大幅に低下させます。「寝酒」は自律神経にとっては最悪の習慣です。

Q. 子どもでも自律神経失調症になりますか?

A. はい、なります。特に思春期の子どもに多く見られます。「起立性調節障害(OD)」と呼ばれる状態は、自律神経失調症の一種とも言えます。朝起きられない、午前中は体調が悪い、立ちくらみがする——こういった症状が特徴です。日本の中学生の約10%がこの状態に該当するとされています。「怠けている」のではなく体の問題ですので、保護者の方には理解をお願いしたいです。

自律神経失調症は、見えにくい病気です。検査では引っかからない。周りからは元気そうに見える。でも本人は毎日がつらい。僕はそういう患者さんの味方でありたいと思っています。

「なんとなく調子が悪い」が続いているなら、それはきっと体からのサインです。そのサインを無視せず、一度立ち止まって自分の体と向き合ってみてください。自律神経失調症は「わかってもらえない病気」だと感じている方が多いですが、僕たち医療者はちゃんとわかっています。一緒に良くなる方法を探していきましょう。何か心配なことがあれば、いつでも相談してくださいね。

丸岡悠医師

監修医師

丸岡 悠

庄内プライベートクリニック 院長 / 医療法人丸岡医院 医師

1988年山形県酒田市生まれ。酒田南高校卒業後、獨協医科大学にて医師免許を取得。沖縄県立北部病院、日本海総合病院を経て現職。庄内プライベートクリニック院長として美容医療を担当し、丸岡医院では一般診療・施設診療・訪問診療にも携わっています。