知っておきたいプロペシアの飲み合わせのポイント – 他の薬との併用時の注意点は?

男性型脱毛症の治療薬として一般的に使用されているプロペシアですが、他の薬剤との飲み合わせには注意が必要です。

プロペシアと処方薬やサプリメント、市販薬との併用によって、プロペシアの効果が減弱したり思わぬ副作用が生じたりする可能性があります。

この記事を書いた人
丸岡 悠(まるおか ゆう)
丸岡 悠(まるおか ゆう)
外科医

1988年山形県酒田市生まれ。酒田南高校卒業後、獨協医科大学(栃木)にて医師免許取得。沖縄県立北部病院、独立行政法人日本海総合病院を経て現職(医療法人丸岡医院)。

プロペシアと併用を避けるべき薬剤とその理由

プロペシアは、血圧降下薬、肝機能影響薬、男性ホルモン関連薬、抗うつ剤との併用を避けるべきとされています。

血圧降下薬との併用による低血圧リスク

プロペシアと血圧降下薬の同時服用は、予想外の血圧低下を引き起こします。両薬剤の作用が相乗し、血管拡張効果が強まるためです。

特に注意を要するのは、ACE阻害薬やARB(アンジオテンシン受容体遮断薬)などの降圧剤です。これらはレニン-アンジオテンシン系に働きかけ、血圧調整に重要な役割を果たします。

薬剤名主な作用機序
ACE阻害薬アンジオテンシン変換酵素の働きを抑える
ARBアンジオテンシン受容体の機能を阻害する

併用により血圧が急激に下がり、めまいや失神などの症状が現れる可能性があります。高齢者や心臓病患者は、このリスクがより顕著です。

肝機能影響薬との併用による肝障害リスク

プロペシアは肝臓で代謝されるため、肝機能に影響を及ぼす他の薬剤との併用する際には慎重になる必要があります。特に、抗真菌薬や抗ウイルス薬などの強力な薬剤との相互作用に気をつけます。

薬剤分類代表例
抗真菌薬イトラコナゾール、ケトコナゾール
抗ウイルス薬リトナビル、インジナビル

抗真菌薬や抗ウイルス薬は、プロペシアの代謝を妨げて血中濃度を上昇させ、肝機能障害のリスクが高まります。

男性ホルモン関連薬との併用による副作用増大

プロペシアは5α還元酵素阻害薬であり、テストステロンからジヒドロテストステロン(DHT)への変換を抑制しますので、男性ホルモンに作用する他の薬剤との併用には特別な配慮が必要です。

薬剤分類主な作用
テストステロン補充療法男性ホルモンの増加
抗アンドロゲン薬男性ホルモンの抑制

テストステロン補充療法との併用はプロペシアの効果を弱める可能性があります。一方、抗アンドロゲン薬との併用は男性機能への影響を強める恐れがあります。

抗うつ剤との併用によるセロトニン症候群の危険性

プロペシアと特定の抗うつ剤の併用は、まれにセロトニン症候群のリスクを高めます。セロトニン症候群は、体内のセロトニン濃度が異常に上昇して発症する深刻な状態です。

症状重症度
不安、焦燥感軽度
発熱、発汗中等度
筋硬直、意識障害重度

脳内のセロトニン濃度を上昇させる作用がある「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」や「三環系抗うつ薬」では、プロペシアとの相互作用によりその効果が増強される可能性があります。

処方薬とプロペシアの飲み合わせについて

プロペシアと他の処方薬を併用する際には、医師への相談が必須です。お薬手帳や服用記録を活用しながら、飲み合わせに問題がないかを確認するようにしましょう。

処方薬を服用中の場合の医師相談の重要性

プロペシアと他の処方薬との併用で起こる潜在的なリスクを最小限に抑えるため、医師に飲み合わせについて相談してください。

医師に相談する際には、現在の処方薬や既往歴などを詳しく伝えます。

  • 現在の処方薬:薬名、用量、服用頻度
  • 既往歴:過去の病気や手術歴
  • アレルギー:薬のアレルギーの有無
  • 生活習慣:飲酒、喫煙、運動習慣など

処方薬によりプロペシアの効果が減る可能性

一部の処方薬はプロペシアの有効成分フィナステリドの代謝に影響を与えますので、相互作用によって期待する薄毛改善効果を得られないケースがあります。

薬剤名影響の程度
カルバマゼピン
フェニトイン中~高
リファンピシン

特に、肝臓の酵素活性を高める薬剤(例:一部の抗てんかん薬)はフィナステリドの代謝を促進して血中濃度を低下させるため、プロペシアの効果が十分に発揮できない場合があります。

定期的な血液検査によるモニタリングの必要性

プロペシアを長期間服用するときは、定期的な血液検査が必要です。

検査時期主な確認項目
服用開始前基準値の確認
服用開始3ヶ月後初期効果と副作用の確認
6ヶ月ごと継続的な効果と安全性の評価

検査結果を定期的に確認するとプロペシアの効果や安全性を継続的に評価でき、他の処方薬との相互作用による影響も把握できる可能性があります。

サプリメントや市販薬とプロペシアの飲み合わせの注意点

プロペシア(フィナステリド)は、風邪薬や頭痛薬などの市販の薬との飲み合わせで禁忌となるものは基本的にありません。

ただ、他の薬やサプリメントと併用したり、複数の薬剤やサプリメントを同時に服用すると予期せぬ副作用が生じる可能性もあります。

市販の風邪薬との相互作用

一般的な市販の風邪薬には、プロペシアと相互作用を起こす成分が含まれている場合があるため注意が必要です。

特に警戒すべきは、解熱鎮痛剤に含まれるアセトアミノフェンです。アセトアミノフェンは、プロペシアの有効成分であるフィナステリドと肝臓での代謝において競合する可能性があります。

風邪薬の成分プロペシアへの影響
アセトアミノフェン肝臓での代謝に干渉
イブプロフェン軽微な相互作用の可能性

また、一部の抗ヒスタミン剤を含む風邪薬も、ホルモンバランスを変化させてプロペシアの効果に影響を及ぼす可能性があります。

風邪薬の使用を検討する際は、必ず医師や薬剤師に相談してプロペシアとの併用が安全かどうかを確認しましょう。状況によっては、一時的にプロペシアの服用を中断するなどの対応が求められるケースもあります。

サプリメントによる副作用の可能性

プロペシアとサプリメントを併用すると、予期せぬ副作用が生じる可能性があります。特に注意を要するのは、ホルモンバランスに影響を与えるサプリメントです。

例えば、うつ症状の改善に用いられるセントジョーンズワートは、プロペシアの代謝に影響を与え、その効果を減弱させたり、副作用のリスクを高めたりします。

サプリメントプロペシアへの影響
セントジョーンズワート代謝への干渉
ノコギリヤシホルモンバランスの変化

また、男性ホルモンに作用するサプリメントにも注意が必要です。ノコギリヤシやマカなどは、プロペシアの作用機序と競合する可能性があります。

ビタミン剤・ミネラル剤の正しい使用法

プロペシアとビタミン剤やミネラル剤を併用するときは、正しい使用方法を心がけます。サプリメントは一般的に安全性が高いとされますが、過剰摂取や不適切な組み合わせは避けるべきです。

ビタミンBやビタミンEは男性型脱毛症の改善に寄与するといわれますが、大量摂取してもプロペシアの効果が増強されるわけではありません。

ビタミン/ミネラル毛髪への影響
ビタミンB毛髪の健康をサポート
ビタミンE抗酸化作用を発揮
亜鉛男性ホルモンの代謝に関与

亜鉛は男性ホルモンの代謝に関与するミネラルですが、過剰摂取はホルモンバランスを崩す可能性があります。

ビタミン剤やミネラル剤を使用する際は、以下のポイントに注意します。

  • 推奨摂取量を厳守し、過剰摂取を避ける
  • 食事からの摂取量も考慮に入れる
  • 定期的な血液検査で栄養状態をチェックする

サプリメント選択時の注意点

プロペシアを服用している方がサプリメントを選ぶ際は、安全性と有効性を慎重に検討しましょう。市場には多種多様なサプリメントが存在しますが、すべてが薬事法に基づく厳格な審査を受けているわけではありません。

確認すべき項目注意点
成分表示ホルモン関連成分の有無
製造元信頼性のある企業か
品質保証第三者機関による認証の有無

サプリメントの品質や安全性を保証する「第三者機関による認証マーク」の有無も確認するとよいでしょう。

プロペシアと他の薬の併用する際の注意点

プロペシアを安全に使用するためには、新たな薬やサプリメントを使用する前に医師や薬剤師に相談します。スケジュールなどの都合で来院が難しければ電話での相談でも構いませんので、必ず確認してから飲み始めるようにしましょう。

また、他の薬やサプリメントとの相互作用が疑われるときはすぐに医師に報告してください。

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