プロペシアをやめてよかったと感じる理由とその後の変化 – 代替療法について解説

男性型脱毛症に悩む多くの方が治療薬としてプロペシアを使用していますが、効果が感じられなかったり副作用が心配だったりして使用を中止するケースも少なくありません。

実際にプロペシアをやめてみると、体調がよくなったと感じる方も多いです。

本記事では、プロペシアをやめてよかったと感じる理由やその後の体への影響について解説します。

この記事を書いた人
丸岡 悠(まるおか ゆう)
丸岡 悠(まるおか ゆう)
外科医

1988年山形県酒田市生まれ。酒田南高校卒業後、獨協医科大学(栃木)にて医師免許取得。沖縄県立北部病院、独立行政法人日本海総合病院を経て現職(医療法人丸岡医院)。

プロペシアをやめてよかったと感じる理由とは

プロペシアの服用中止後は、副作用の改善や精神面での好転、経済的負担の軽減など、多岐にわたるポジティブな変化を感じる人も多くいます。

副作用の改善・健康状態の向上

副作用の改善は、プロペシアの服用中止後に多くの方が実感するメリットです。

全身の健康状態が好転するケースがあり、ホルモンバランスの乱れが解消されて体調不良や倦怠感が改善します。

精神面での改善

プロペシアの服用中止後は、精神面での好転もみられます。

薄毛や脱毛に対する考え方が変化して外見にとらわれすぎないようになる、副作用に悩まず済むために日常生活のストレスが減る、結果的に人間関係が良好になった、などの変化が代表的です。

薬物療法への依存から脱却して自然な状態での生活を取り戻せ、日々の生活に対する不安や緊張が和らいでリラックスした状態で過ごせるようになります。

経済的な負担の軽減

継続的な薬物療法にかかる費用が不要となり家計の負担が軽減されるので、経済的な面でも良い影響があります。

定期的な通院や検査、薬代などの年間数万から十数万円の支出がなくなるために、趣味や自己投資などに使えるお金が増えることは満足感につながります。

プロペシア中止後の身体への影響と変化

プロペシアの服用中止後は、性機能の回復やホルモンバランスの変動、一時的な脱毛の加速など身体に複雑な影響が現れます。

性機能への影響と回復

プロペシアの服用を中止すると、性機能の改善を実感する男性が多いです。

服用中は5α還元酵素の働きを抑制することでDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑えていましたが、中止後は抑制が解除します。

その結果、テストステロンの働きが正常化して性機能の回復につながります。

性機能の変化回復の程度
性欲高い
勃起機能中程度
射精機能中程度

回復の速度や程度には個人差があり、服用期間や年齢などの要因によって異なります。一般的に服用期間が短いほど、また年齢が若いほど回復が早い傾向にあります。

性欲の増加、勃起の質と頻度の向上、射精感覚の改善といった変化は、服用中止後数週間から数か月で徐々に現れるケースが多いです。

ホルモンバランスの変化

プロペシアの服用中止後は、男性ホルモンであるテストステロンとDHTのバランスが大きく変動します。

ホルモン変化の傾向
テストステロン増加
DHT大幅増加
エストロゲン微減

テストステロンレベルの上昇に伴い、筋力の向上、体毛の増加、気分の変化(例:活力の向上)などがみられます。

身体がホルモンバランスの変化に適応するまでの期間は、数か月程度が目安です。

脱毛進行の一時的な加速

プロペシアの服用中止後、多くの男性が脱毛の一時的な加速を経験します。これは、DHT生成の再開により引き起こされる現象です。

服用中はDHTの生成が抑制されていたため毛髪の成長が維持されていましたが、中止後にDHTレベルが急上昇するため毛包へのダメージが一時的に増加します。

時期脱毛の状態
中止直後変化なし
1〜3か月後加速
6か月以降安定化

抜け毛の増加、髪の毛の細さの増加、頭頂部や前頭部の薄毛の進行といった特徴がみられます。永続的なものではなく、身体がDHTの増加に適応すると脱毛の進行速度は落ち着きます。

髪の悩みを解決するための代替療法の選択肢

プロペシアの代わりとなる選択肢は、ミノキシジルの使用や食生活の改善、自然療法や頭皮ケアなどです。

プロペシアと比較して即効性は低いものの、長期的にみると健康的で持続可能な薄毛対策といえます。

ミノキシジルの使用

外用薬として直接頭皮に塗布するミノキシジルは、プロペシアに次ぐ効果的な薄毛治療薬です。

主な作用機序は毛細血管の拡張と毛乳頭細胞の活性化で、毛髪の成長サイクルが正常化されて脱毛の進行を抑制します。

濃度使用頻度
1%1日2回
5%1日1回

ミノキシジルを使用する際は、継続的に使用する、効果が現れるまでには数カ月かかる、使用を中止すると効果が失われる、といった点に注意します。

副作用としては頭皮の乾燥やかゆみ、ふけの増加などが報告されていますが、多くは軽度で一時的なものです。

ただし、まれに重篤な副作用の報告もありますので、使用前は医師に相談するようにしましょう。

食生活と生活習慣の改善

髪の健康は全身の健康状態と密接に関連していますので、バランスの取れた食事と健康的な生活習慣は薄毛の予防や改善につながります。

タンパク質、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、鉄分、亜鉛などは毛髪の成長や強度に直接かかわるため、とくに積極的に摂りたい栄養素です。

栄養素主な食品原
タンパク質肉、魚、卵、大豆
ビタミンB群全粒穀物、緑黄色野菜
鉄分赤身肉、ほうれん草

生活習慣の面では、適度な運動や十分な睡眠、ストレス管理が大切です。

また、喫煙や過度の飲酒は毛細血管の収縮や栄養吸収の阻害を引き起こすため、控えるようにしてください。

自然療法とサプリメントの効果

自然療法やサプリメントの活用は、薬物療法に抵抗がある方、より自然な方法で髪の健康を維持したい方にとって魅力的な選択肢です。

ノコギリヤシは前立腺肥大症の治療に用いられる植物由来の成分ですが、DHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制する効果があると言われ、薄毛対策にも利用されています。

成分期待される効果
ノコギリヤシDHT抑制
ビオチン毛髪の強化
亜鉛毛髪の成長促進

その他、注目される自然療法には、アロマセラピー、頭皮マッサージ、漢方薬(例:十全大補湯)などがあります。科学的な効果の検証が十分でない場合もありますが、副作用のリスクが低い点から補助的な療法として試してみる価値はあるでしょう。

髪の成長を促す頭皮ケア

健康な髪の成長には、清潔で血行の良い頭皮環境が不可欠です。

  • 1日1回の洗髪
  • 頭皮マッサージ
  • 紫外線対策
  • 保湿ケア

まず重要なのは頭皮の清潔です。1日複数回といった頻繁過ぎる洗浄は避けて、1日1回優しく洗髪しましょう。

頭皮マッサージは、血行促進と毛根への栄養供給を促進する効果があります。指の腹を使って、円を描くように優しくマッサージするとリラックス効果も得られます。

毛髪の成長を促進する成分や頭皮の血行を改善する成分が含まれている育毛剤や頭皮用美容液を選ぶようにすると頭皮環境の改善が可能です。

プロペシアが合わない方へ~遺伝子検査で分かる「あなたに合った治療法

プロペシアの服用をやめることを考えている、あるいはすでにやめた方は多いのではないでしょうか。

「副作用が気になって続けられない…」
「効果があまり感じられないから、やめようと思う」
「でも、このまま何もしないのも不安」

AGA治療に効果を感じられない悩みの多くは、「体質に合っていない薬」を使っていることが原因である可能性があります。

実は薄毛には27種類ものパターンがあります。遺伝子検査を行うことで、

  • 薄毛になりやすい体質かどうか
  • どんな薬が効きやすいのか
  • 副作用のリスクは高くないか

など、あなたの体質に関する重要な情報がわかり、検査結果をもとに副作用のリスクを抑えながら、効果的な治療法を選ぶことができます。

以下の記事では、遺伝子検査がなぜ重要なのか、どんなことがわかるのか、治療効果はどう変わるのかについて詳しく解説しています。

AGAの真の解決策とは?なぜ遺伝子検査が鍵を握るのか

関連文献

SUKHAREV, Alexander, et al. Does Propecia Cause More Harms than Good: Assessing Reproductive and Non-Reproductive Effects of Finasteride on Male Health. Georgetown Medical Review, 2024, 8.1.

REZENDE, Hudson Dutra; DIAS, Maria Fernanda Reis Gavazzoni; TRÜEB, Ralph Michel. A comment on the post-finasteride syndrome. International Journal of Trichology, 2018, 10.6: 255-261.

HO, Roger S. Ongoing concerns regarding finasteride for the treatment of male-pattern androgenetic alopecia. JAMA dermatology, 2021, 157.1: 25-26.

ASFOUR, Leila; CRANWELL, William; SINCLAIR, Rodney. Male androgenetic alopecia. Endotext [Internet], 2023.

ANDY, Goren, et al. Controversies in the treatment of androgenetic alopecia: The history of finasteride. Dermatologic therapy, 2019, 32.2: e12647.