急性骨髄性白血病(AML) – 血液疾患

急性骨髄性白血病(AML)(acute myeloid leukemia)とは、骨髄内の血液細胞を生み出す造血幹細胞に異常が生じる血液のがんです。

未熟な骨髄系細胞が制御不能に増殖し、正常な血液細胞の産生を阻害し、貧血や感染症、出血しやすくなるなどの症状が現れます。

AMLは進行が速く、急激に症状が悪化するため、早期発見と迅速な対応が非常に重要です。

この記事を書いた人
丸岡 悠(まるおか ゆう)
丸岡 悠(まるおか ゆう)
外科医

1988年山形県酒田市生まれ。酒田南高校卒業後、獨協医科大学(栃木)にて医師免許取得。沖縄県立北部病院、独立行政法人日本海総合病院を経て現職(医療法人丸岡医院)。

急性骨髄性白血病(AML)の種類(病型)

急性骨髄性白血病(AML)には、特定の遺伝子異常を有するもの、骨髄異形成に関連した変化を伴うもの、治療関連骨髄性腫瘍、そしてその他のAMLがあります。

特定の遺伝子異常を有するAML

この病型では、染色体転座や遺伝子変異といった遺伝子異常が認められます。

代表的なものは、t(8;21)(8番染色体と21番染色体の一部が入れ替わる異常)やinv(16)(16番染色体の一部が逆位する異常)などの染色体異常、あるいはNPM1(核小体リン酸化タンパク質1)やCEBPA(CCAAT/エンハンサー結合タンパク質アルファ)といった遺伝子の変異です。

これらの遺伝子異常は、白血病細胞の増殖や分化に影響を与え、病気の発症や進行に深く関わっています。

骨髄異形成に関連した変化を有するAML

この病型は、骨髄異形成症候群(MDS、造血幹細胞の異常により正常な血液細胞が作られにくくなる病気)から進展したAMLや、MDSに似た骨髄の変化を伴うAMLです。

骨髄細胞の形態異常が顕著で、複雑な染色体異常を伴います。

骨髄異形成に関連したAMLは、標準的な化学療法への反応が乏しく、予後が不良です。

骨髄異形成関連AMLの特徴詳細
細胞形態顕著な異形成
染色体異常複雑なケースが多い
治療反応性低い

治療関連骨髄性腫瘍

この病型は、過去に化学療法や放射線治療を受けた患者さんに発症するAMLです。

以前の治療により、造血幹細胞のDNA(デオキシリボ核酸、遺伝情報を担う物質)に損傷が蓄積し、白血病が発症します。

治療関連AMLは染色体異常を伴い、標準的な治療への反応性は低いです。

その他のAML

上記の分類に当てはまらないAMLは、「その他のAML」として分類され、急性骨髄単球性白血病や急性赤白血病など、特徴的な細胞形態を示すものが含まれます。

また、明確な遺伝子異常が同定されていないケースもこのカテゴリーに分類されます。

急性骨髄性白血病(AML)の主な症状

急性骨髄性白血病(AML)の症状は、正常な血液細胞の減少と白血病細胞の増殖によって起こり、貧血、感染症、出血しやすくなるなどの症状が現れます。

貧血による症状

貧血は、赤血球(酸素を運ぶ血液細胞)の減少によって生じる症状群です。

AML患者さんでは、正常な赤血球の産生が阻害されることで貧血が生じ、いろいろな症状が出ます。

貧血による症状

  • 疲労感や倦怠感(体がだるく感じる)
  • 息切れや動悸(心臓がドキドキする感覚)
  • 顔色の悪さ(蒼白)
  • めまいや立ちくらみ
症状特徴
疲労感日常的な活動でも疲れやすく、休息を取っても回復しにくい
息切れ軽い運動や階段の上り下りでも呼吸が乱れる
蒼白顔色が悪く、皮膚が白っぽくなり、唇の色も薄くなる

感染症のリスク増大

AMLでは、正常な白血球(体を守る免疫細胞)の産生が妨げられるため、免疫機能が低下し、普段なら問題にならない程度の細菌やウイルスによっても感染症が起きやすいです。

感染症に関連する症状

  • 発熱や悪寒 体が感染と戦っている証拠で、AML患者さんでは頻繁に見られる症状。
  • 口内炎や咽頭痛 免疫機能の低下によって引き起こされ、通常よりも治りにくく、長引く。
感染症の症状詳細
発熱38度以上の高熱が続き、解熱剤を使用しても完全には下がりにくい
悪寒体が震えるような寒気を感じ、厚着をしても温まりにくい
口内炎口腔内に痛みを伴う潰瘍ができ、食事や会話が困難になる

出血傾向

AMLでは血小板の産生も阻害されるため、出血しやすくなり、一度出血すると止まりにくいです。

出血に関連する症状

  • 皮下出血(ちょっとしたことでもあざができやすい)
  • 歯茎からの出血(歯磨き時に出血しやすくなる)
  • 鼻血が止まりにくい(出血量が多く、止血に時間がかかる)
  • 月経出血の増加(女性の場合、通常より出血量が多く、期間が長引く)

特に、皮下出血は比較的早期から現れる症状の一つで、患者さん自身や周囲の人が気づきやすい変化です。

その他の症状

上記の主要な症状群に加えて、白血病細胞の増殖や臓器への影響によって生じる症状があります。

  • 白血病細胞が骨髄内で急速に増殖することで、骨や関節の痛みを感じる患者さんも。
  • 脾臓(血液をろ過する臓器)や肝臓が腫れることで、お腹の不快感や圧迫感、右上腹部の痛みを訴える方も。
  • 白血病細胞が中枢神経系(脳や脊髄)に浸潤することで、頭痛や嘔吐、意識の変容といった神経学的症状が現れる。
その他の症状原因特徴
骨・関節痛白血病細胞の骨髄内増殖特に長管骨(腕や脚の骨)に痛みを感じやすい
腹部不快感脾臓・肝臓の腫大左上腹部(脾臓)や右上腹部(肝臓)の違和感
神経症状中枢神経系への浸潤頭痛、嘔吐、意識レベルの変化など

急性骨髄性白血病(AML)の原因

急性骨髄性白血病(AML)は、遺伝子変異、環境因子、そして前駆疾患が主な原因として挙げられ、相互に作用することで病気の発症リスクが高まります。

遺伝子変異

造血幹細胞における遺伝子変異は、細胞の増殖や分化を制御する遺伝子に影響を与え、正常な血液細胞の産生を妨げるだけでなく、異常な白血病細胞の増殖を促進します。

関係しているのは、FLT3、NPM1、DNMT3A、IDH1/2です。

遺伝子機能
FLT3細胞増殖シグナル
NPM1タンパク質輸送
DNMT3ADNAメチル化
IDH1/2代謝酵素

環境因子の影響

環境因子もAMLの発症リスクを高める要素として認識されており、化学物質への長期曝露や放射線被曝は、DNAに直接的な損傷を与えることで白血病の発症につながります。

ベンゼンや農薬などの化学物質に職業上曝露される機会が多い方は、定期的な健康診断や血液検査を受けてください。

また、喫煙も白血病のリスクを上げる要因の一つです。

前駆疾患からの進展

一部のAMLは、他の血液疾患から進展して発症することがあり、段階的な遺伝子異常の蓄積によって起こると考えられています。

骨髄異形成症候群(MDS、血液細胞の形成異常を特徴とする疾患)や骨髄増殖性腫瘍(MPN、血液細胞が過剰に産生される疾患)といった前駆疾患が、時間の経過とともにAMLへと移行するケースが見られます。

これらの疾患では、すでに造血幹細胞に何らかの異常があるため、追加の遺伝子変異が蓄積することでAMLへと進展するのです。

前駆疾患AMLへの進展リスク
MDS中~高
MPN低~中

年齢と AML

AMLの発症リスクは年齢とともに上昇し、これは長年にわたる遺伝子変異の蓄積や、加齢に伴う免疫機能の低下が原因です。

高齢者では、生涯にわたって蓄積された遺伝子の変異や、環境因子への長期曝露の影響が現れやすくなるため、AMLの発症リスクが高まります。

ただし若年者でも発症するので、遺伝的要因が関係してる可能性があります。

治療関連 AML

アルキル化剤(DNAに直接作用する抗がん剤)やトポイソメラーゼII阻害剤(DNAの複製を阻害する抗がん剤)などの化学療法薬、あるいは放射線治療を受けた患者さんで、数年後にAMLを発症するケースがあります。

化学治療や放射線治療は、造血幹細胞のDNAに直接的な損傷を与えダメージが蓄積して白血病の発症につながり、過去の治療歴を持つ患者さんでは、長期的なフォローアップが必要です。

AMLの原因となり得る要因

  • 遺伝子変異(FLT3、NPM1、DNMT3A、IDH1/2など)
  • 環境因子(化学物質曝露、放射線被曝、喫煙)
  • 前駆血液疾患(MDS、MPNなど)
  • 高齢
  • 過去の抗がん治療
治療関連AMLの特徴詳細
潜伏期間治療後2-10年
予後一般的に不良
染色体異常複雑核型が多い

診察(検査)と診断

急性骨髄性白血病(AML)の診断は、患者さんの症状と身体所見の評価から始まり、血液検査、骨髄検査、細胞遺伝学的検査、分子生物学的検査などの専門的な検査を段階的に行います。

初期評価

AMLの診断では、患者さんの訴えを聞き、全身を診察することから始まります。

特に注意を払うのは、貧血の兆候(顔色の悪さや疲れやすさなど)、出血傾向(あざができやすいなど)、感染症の徴候(発熱や悪寒など)です。

また、リンパ節や脾臓(腹部の左上にある臓器)の腫れ、皮膚の異常な出血斑も確認します。

血液検査

血液検査は AML の診断で最初に行われる重要な検査です。

完全血球計算(CBC)では、赤血球、白血球、血小板の数と種類を調べ、AML患者さんには、白血球数の増加、赤血球と血小板の減少が見られます。

また、末梢血塗抹標本(血液を薄くガラス板に塗り、染色したもの)を作成し、顕微鏡で血液細胞の形や大きさ、異常な細胞の有無も観察します。

検査項目AMLでの典型的な所見正常値との比較
白血球数増加(時に減少)正常値の10倍以上になることも
赤血球数減少正常値の半分以下になることも
血小板数減少正常値の3分の1以下になることも
末梢血塗抹芽球(未熟な血液細胞)の出現正常では見られない

骨髄検査

骨髄検査は 病気の本質を直接観察できる唯一の方法です。

骨髄穿刺(腰の骨や胸骨から特殊な針で骨髄液を吸引する方法)または骨髄生検(骨髄の一部を採取する方法)によって骨髄サンプルを採取し、顕微鏡で細胞の種類や割合を詳しく観察します。

AMLの診断には、骨髄中の芽球(未熟な血液細胞)が20%以上であることが条件の一つです。

細胞遺伝学的検査

細胞遺伝学的検査は、白血病細胞の染色体(遺伝情報を含む構造体)の異常を詳しく調べる検査で、AMLの性質を理解するうえで欠かせません。

染色体分析(核型分析)では、顕微鏡を使って全ての染色体の数や形の異常を観察し、AMLの原因となる大きな遺伝子の変化を見つけ出します。

一方、FISH法(蛍光in situハイブリダイゼーション法)は、特定の遺伝子の異常を高感度で検出する方法で、染色体分析では見つけにくい小さな変化も捉えられます。

検査方法特徴検出できる異常の例
染色体分析全ての染色体を観察染色体の欠失、転座など
FISH法特定の遺伝子異常を検出遺伝子の融合、増幅など

分子生物学的検査

分子生物学的検査は、白血病細胞のDNAやRNAレベルでの異常を調べる最先端の検査方法です。

PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応)や次世代シーケンシングなどの高度な技術を用いて、AMLの発症や進行に関わる特定の遺伝子変異を高感度で検出します。

フローサイトメトリー

フローサイトメトリーは、白血病細胞の表面に存在するタンパク質の種類や量を調べる検査です。

白血病細胞がどの種類の血液細胞から発生したのか、どの程度未熟な状態なのかを正確に特定できます。

フローサイトメトリーで確認されるAMLの特徴

  • CD33陽性(骨髄系細胞のマーカー)
  • CD13陽性(骨髄系細胞のマーカー)
  • CD34陽性(未分化な細胞のマーカー)
  • HLA-DR陽性(白血球のマーカー)
表面抗原意味AMLでの特徴
CD33骨髄系細胞のマーカー多くのAML細胞で陽性
CD13骨髄系細胞のマーカー多くのAML細胞で陽性
CD34未分化細胞のマーカー一部のAML細胞で陽性
HLA-DR白血球のマーカー多くのAML細胞で陽性

急性骨髄性白血病(AML)の治療法と処方薬、治療期間

急性骨髄性白血病(AML)の治療は、化学療法を中心とした薬物療法が主体で、寛解導入療法、地固め療法、維持療法の3段階で構成され、全体の治療期間は6か月から1年程度です。

寛解導入療法

寛解導入療法はAML治療の最初のステップであり、白血病細胞を急速に減少させ、正常な血液細胞の産生を回復させることが目的です。

この段階では強力な化学療法薬を用いて集中的な治療を行います。

代表的な薬剤の組み合わせは、シタラビン(DNA合成を阻害する薬剤)とアントラサイクリン系薬剤(ダウノルビシンやイダルビシンなど、DNAに直接作用する抗がん剤)を用いる「3+7療法」です。

薬剤名投与方法
シタラビン持続点滴
ダウノルビシン短時間点滴

寛解導入療法の期間は約3〜4週間で、入院して行われ、必要に応じて支持療法(輸血や抗生物質投与など)を行い、白血病細胞の減少と正常血液細胞の回復を見守ります。

地固め療法

寛解導入療法で寛解(白血病細胞が検出限界以下になった状態)が得られた後、残存する可能性のある白血病細胞を根絶し、再発を予防するために地固め療法を行います。

この段階では寛解導入療法で用いた薬剤を中心に、高用量のシタラビンを使用することが多いです。

1〜2か月おきに3〜4コース実施し、各コースの治療期間は5〜7日間程度で、外来や短期入院で行われます。

維持療法

一部のAMLサブタイプ(急性前骨髄球性白血病など)では、地固め療法後に維持療法を行うことがあります。

維持療法は低用量の化学療法薬を投与し、微小残存病変を制御することが目標です。

代表的な薬剤は、経口のメルカプトプリン(免疫抑制作用を持つ抗がん剤)やメトトレキサート(葉酸代謝を阻害する抗がん剤)で、副作用が少なく長期間の服用ができます。

維持療法は、1〜2年程度です。

分子標的薬

AMLの遺伝子変異に基づいた分子標的薬の開発が進んでおり、従来の化学療法に加えたあり、代替として使用されるようになってきています。

特定の遺伝子変異を標的とするため、従来の化学療法よりも副作用が少なく、効果的な治療ができます。

使用されるのは、FLT3阻害剤(ミドスタウリンやギルテリチニブなど、FLT3遺伝子変異を標的とする薬剤)やIDH阻害剤(イボシデニブ、エナシデニブ、IDH1/2遺伝子変異を標的とする薬剤)などです。

分子標的薬標的遺伝子
ミドスタウリンFLT3
イボシデニブIDH1

分子標的薬は、従来の化学療法と併用したり、高齢者や化学療法耐性例に単剤で使用します。

造血幹細胞移植

高リスクのAML患者さんや、初回治療で十分な効果が得られなかった患者さんでは、造血幹細胞移植を考慮します。

健康なドナーの造血幹細胞を患者さんに移植することで、白血病細胞を根絶し、新たな血液系を再構築することが目標です。

移植前処置(大量化学療法や全身放射線照射)を行った後、ドナーの造血幹細胞を点滴で投与し、患者さんの体内で新たな血液系が形成されるのを待ちます。

移植後は、生着(移植した造血幹細胞が患者さんの体内で機能し始めること)や合併症の管理のため、1〜2か月の入院が必要でその後も長期的なフォローアップが不可欠です。

造血幹細胞移植の種類特徴
同種移植他人のドナーから幹細胞を得る
自家移植患者自身の幹細胞を使用

AMLの治療において考慮すべき要素

  • 患者さんの年齢と全身状態
  • AMLのサブタイプと遺伝子変異プロファイル
  • 初回治療への反応性
  • 移植ドナーの有無
  • 併存疾患の有無

急性骨髄性白血病(AML)の治療における副作用やリスク

急性骨髄性白血病(AML)の治療は、患者さんの正常な細胞にも影響を与えるため、副作用やリスクを伴います。

化学療法の主な副作用

AML治療の中心となる化学療法は、急速に分裂するがん細胞を攻撃すると同時に、正常な細胞、特に活発に分裂している細胞にもダメージを与えてしまいます。

化学療法の主要な副作用が骨髄抑制で、血液を作る骨髄の機能が一時的に低下します。

副作用影響患者さんへの影響
白血球減少感染リスク上昇発熱や感染症の増加
赤血球減少貧血疲労感、息切れの増加
血小板減少出血傾向あざができやすい、鼻血が止まりにくい

他に頻繁にみられる副作用は、吐き気、嘔吐、下痢、食欲不振、口内炎です。

感染症のリスク

化学療法による免疫機能の低下は、感染症にかかるリスクを大幅に高めてしまい、通常では問題にならない細菌やウイルスでも重症化する可能性があります。

特に、細菌感染症や真菌(カビの一種)による感染症が深刻な問題で、重症化には注意が必要です。

臓器障害のリスク

化学療法に使用する薬剤は、がん細胞だけでなく正常な臓器にも影響を及ぼすリスクがあります。

  • 肝機能障害:肝臓の解毒作用や代謝機能に影響
  • 腎機能障害:老廃物の排泄や水分バランスの調整に支障
  • 心機能障害:心臓のポンプ機能の低下
  • 神経障害:手足のしびれや筋力低下

アントラサイクリン系薬剤(ダウノルビシンやイダルビシンなど)による心毒性は長期的な心機能低下につながることがあるため、定期的な心機能評価が欠かせません。

臓器障害症状注意点
肝機能障害黄疸、倦怠感定期的な肝機能検査が必要
腎機能障害浮腫、尿量減少水分バランスの管理が重要
心機能障害息切れ、浮腫長期的なフォローアップが必要
神経障害しびれ、筋力低下日常生活動作に影響する場合あり

二次性がんのリスク

化学療法や放射線療法は、別の種類のがん(二次性がん)を発症するリスクを高め、治療後何年も経ってから問題になります。

造血幹細胞移植に関連するリスク

高リスクAMLの治療では造血幹細胞移植が選択される場合がありますが、独自のリスクがあります。

  • 生着不全 移植した造血幹細胞が患者さんの体内で正常に機能せず、新しい血液細胞を作り出せない状態。
  • 急性および慢性の移植片対宿主病(GVHD) 移植したドナーの免疫細胞が患者さんの正常な組織を異物と認識して攻撃してし、皮膚、肝臓、消化管などの臓器に影響を与える。
  • 感染症のリスク 移植後早期は免疫機能が著しく低下しているため、厳重な感染予防策が必要。

晩期合併症

AML治療後は、治療終了後何年も経ってから現れる晩期合併症にも注意が必要です。

内分泌機能障害、不妊、二次性がんなどがあり、治療終了後も定期的な経過観察が大切です。

治療費について

治療費についての留意点

実際の治療費(医療費)が以下説明より高額になるケースが多々ございます。以下記載内容について当院では一切の責任を負いかねます事を予めご了承下さい。

入院治療費の内訳

AML治療の中心となる入院治療では、入院基本料や処置料、検査料などが発生します。

項目概算費用(1日あたり)
入院基本料3万円~5万円
処置料1万円~3万円

化学療法の費用

標準的な寛解導入療法では抗がん剤を使用し、1コースあたり100万円から200万円程度の費用が必要で、地固め療法も同様の費用がかかります。

分子標的薬の費用

遺伝子変異に応じた分子標的薬を使用する際は、従来の化学療法よりも高額になります。

薬剤名概算費用(1か月)
FLT3阻害剤100万円~150万円
IDH阻害剤80万円~120万円

造血幹細胞移植の費用

造血幹細胞移植は移植前処置から移植後の管理まで含めると、1000万円を超えます(ドナー検索や細胞採取の費用も含まれる)。

AML治療にかかる費用項目

  • 入院費
  • 抗がん剤費用
  • 分子標的薬費用
  • 支持療法費用(抗生物質、輸血など)
  • 検査費用(血液検査、画像診断など)
  • 造血幹細胞移植関連費用(該当する場合)

以上

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