黄疸とは、体内のビリルビンという物質が過剰に蓄積することによって、皮膚や白目が黄色く変色してしまう症状です。
この症状は、肝臓や胆道系の病気が原因となって引き起こされることが多く、体調の重要なサインとなります。
ビリルビンは、普段は私たちの体内で、古くなった赤血球が分解される過程で自然に生成される物質であり、通常は肝臓で処理されて体外に排出されます。
しかしながら、何らかの理由で肝臓の機能が低下したり、胆道が詰まったりすることで、このビリルビンが体内に溜まってしまい、黄疸という症状として現れるのです。
黄疸の種類(病型)
黄疸は、ビリルビン代謝の過程における異常により、複数の病型に分類することができます。
医学的には肝前性黄疸、肝性黄疸、肝後性黄疸の3つの病型に大別され、それぞれが特徴的な臨床所見を示します。
この分類方法は、血中ビリルビン値が2.0mg/dL以上となった際の診断において、極めて重要な指標となります。
肝前性黄疸の特徴と分類
肝前性黄疸は、通常の赤血球寿命である120日よりも早期に赤血球が破壊されることで発生する病態です。
血液中の間接ビリルビンが基準値である0.2~0.8mg/dLを超えて上昇することにより引き起こされ、血液検査では総ビリルビン値が3.0mg/dL以上を示すことが特徴的です。
検査項目 | 基準値 | 肝前性黄疸での値 |
---|---|---|
総ビリルビン | 0.4~1.5mg/dL | 3.0mg/dL以上 |
間接ビリルビン | 0.2~0.8mg/dL | 2.5mg/dL以上 |
直接ビリルビン | 0.1~0.4mg/dL | 正常範囲内 |
肝前性黄疸における血液学的な特徴として、網状赤血球数が正常値の0.5~2.0%を超えて増加することが挙げられます。
この増加は、骨髄での赤血球産生が亢進していることを示す重要な指標となります。
肝性黄疸の特徴と分類
肝性黄疸では、肝細胞でのビリルビン抱合過程に障害が生じ、血中の直接ビリルビンと間接ビリルビンが同時に上昇します。
肝機能検査では、AST(GOT)やALT(GPT)が正常上限の40IU/Lを大幅に超えて上昇することが特徴的です。
- 急性肝障害:AST/ALTが1,000IU/Lを超える急激な上昇
- 慢性肝障害:AST/ALTが200~300IU/L程度の持続的な上昇
- 薬剤性肝障害:投薬開始後2週間以内にAST/ALTが正常上限の2倍以上に上昇
- 代謝性肝障害:γ-GTPが正常値の50IU/L以上に上昇
肝後性黄疸の特徴と分類
肝後性黄疸における胆道系の閉塞では、血中の直接ビリルビンが正常値の0.4mg/dL以上に著明に上昇します。
胆管の直径は正常では6mm以下ですが、閉塞により8mm以上に拡張することがあり、画像診断での重要な所見となります。
閉塞部位 | 胆管径 | 特徴的所見 |
---|---|---|
肝内胆管 | 6~8mm | 末梢性拡張 |
総胆管 | 8~12mm | びまん性拡張 |
乳頭部 | 12mm以上 | 著明な拡張 |
黄疸の病型における検査値の特徴
各病型における生化学的検査値は、診断の決め手となる重要な指標です。
総ビリルビン値が15mg/dL以上の重症例では、複数の病型が併存することもあり、より詳細な検査が必要となります。
病型 | 直接ビリルビン | 間接ビリルビン | ALP |
---|---|---|---|
肝前性 | 0.4mg/dL以下 | 2.5mg/dL以上 | 正常 |
肝性 | 2.0~5.0mg/dL | 1.5~3.0mg/dL | 軽度上昇 |
肝後性 | 5.0mg/dL以上 | 1.0mg/dL以下 | 著明な上昇 |
黄疸の病型分類における注意点
黄疸の病型分類において、以下の点に注意を払う必要があります。
- 複数の病型の併存:総ビリルビン15mg/dL以上で多発
- 経時的な病型の変化:2週間以内の急激な変動
- 基礎疾患の影響:慢性疾患での緩徐な進行
- 薬剤の影響:投与後72時間以内の急性変化
黄疸の病型分類は、診断の基礎となる医学的な指標として幅広く活用されており、各病型の特徴を理解することで、より正確な診断が可能となります。
黄疸の主な症状
黄疸は、体内のビリルビン値が基準値(0.2~1.0mg/dL)を超えて上昇することで発症する症候群です。
皮膚や粘膜の黄染に加え、病型特有の多彩な症状を伴います。
血中ビリルビン値が2.0mg/dL以上になると肉眼で確認できる症状が出現し、5.0mg/dL以上では明確な黄染が認められます。
皮膚・粘膜の変化
黄疸における皮膚や粘膜の黄染は、血中ビリルビン値の上昇度合いに応じて段階的に進行します。
初期段階では、血中ビリルビン値が2.0~3.0mg/dLで眼球結膜に黄染が現れ、3.0~5.0mg/dLで顔面に及び、5.0mg/dL以上になると体幹部全体に広がっていきます。
血中ビリルビン値 | 黄染の出現部位 | 視認性 |
---|---|---|
2.0~3.0mg/dL | 眼球結膜 | やや不明瞭 |
3.0~5.0mg/dL | 顔面・首部 | 明確 |
5.0mg/dL以上 | 体幹部全体 | 顕著 |
皮膚の黄染は、自然光下での観察が最も効果的で、蛍光灯下では色調の判断が困難になることがあります。
特に、眼球結膜の観察は朝の自然光の下で行うことで、より正確な判断が可能となります。
全身症状と随伴症状
黄疸に伴う全身症状は、血中ビリルビン値の上昇速度と総量によって異なる様相を呈します。
全身倦怠感は最も一般的な症状で、患者の約80%が経験します。
食欲不振は血中ビリルビン値が8.0mg/dL以上で顕著となり、体重減少は1ヶ月で平均3~5kgに及びます。
- 全身倦怠感:患者の80%以上が経験
- 食欲不振:血中ビリルビン値8.0mg/dL以上で顕著
- 嘔気・嘔吐:患者の約40%が経験
- 発熱:38度以上の発熱が約30%で出現
- 体重減少:1ヶ月で平均3~5kg
病型別の特徴的な症状
各病型によって現れる症状は、その発症機序により明確な違いを示します。
肝前性黄疸では、ヘモグロビン値が正常値(13~16g/dL)より2~3g/dL低下することで貧血症状が出現します。
病型 | 主要症状 | 発現頻度 | 重症度指標 |
---|---|---|---|
肝前性黄疸 | 貧血症状 | 90%以上 | Hb 10g/dL以下 |
肝性黄疸 | 腹水・浮腫 | 60%程度 | 腹囲増加5cm以上 |
肝後性黄疸 | 掻痒感・褐色尿 | 75%程度 | 直接ビリルビン7mg/dL以上 |
症状の進行と経過
黄疸の症状進行は、通常、数日から数週間かけて徐々に進展します。初期症状から重症化までの期間は、病型により大きく異なります。
進行段階 | 血中ビリルビン値 | 主要症状 | 出現時期 |
---|---|---|---|
初期 | 2~5mg/dL | 眼球結膜黄染 | 1~3日目 |
中期 | 5~10mg/dL | 全身黄染 | 4~7日目 |
後期 | 10mg/dL以上 | 全身症状増悪 | 8日目以降 |
注意を要する症状
医療機関への早急な受診が必要となる警告症状について、以下の基準を参考にしてください。
- 24時間以内の急激な黄染の進行(ビリルビン値が5mg/dL以上上昇)
- 38.5度以上の発熱が24時間以上持続
- 強い腹痛(VASスケール7以上)
- 意識レベルの変化(JCSで1桁以上)
黄疸の症状は、早期発見と迅速な対応により、多くの場合で改善が期待できます。
体調の変化を感じたら、速やかに医療機関を受診することが望ましいでしょう。
黄疸の原因
黄疸は、血中ビリルビン値が正常値(0.2~1.0mg/dL)を超えて上昇することで発症する病態です。
ビリルビンの産生から排泄までの過程における障害部位によって、肝前性・肝性・肝後性の3つに分類され、それぞれ異なる発症メカニズムと原因因子が関与します。
ビリルビン代謝と黄疸の関係
ビリルビンは、主に寿命を迎えた赤血球(約120日で入れ替わる)の分解過程で生成される物質です。
健康な成人では、1日あたり約250~300mgのビリルビンが産生され、肝臓での代謝を経て胆汁中に排出されます。
代謝過程 | 1日あたりの処理量 | 正常値範囲 |
---|---|---|
ビリルビン産生 | 250~300mg | – |
血中総ビリルビン | – | 0.2~1.0mg/dL |
直接ビリルビン | – | 0.4mg/dL以下 |
尿中ビリルビン | – | 検出されず |
肝前性黄疸の原因
肝前性黄疸は、赤血球の過剰破壊により、肝臓の処理能力(1日あたり約350mg)を超えるビリルビンが産生されることで発症します。
溶血性貧血では、赤血球の寿命が通常の120日から10~20日に短縮し、ビリルビンの産生量が正常の2~3倍に増加します。
- 溶血性貧血(赤血球寿命:10~20日)
- 巨赤芽球性貧血(血清ビリルビン:2~5mg/dL)
- 無効造血(骨髄での赤血球産生が25%以上低下)
- 大量出血後の血腫吸収(出血量が体重の2%以上)
肝性黄疸の原因
肝性黄疸は、肝細胞の機能低下によって引き起こされます。
正常な肝臓では1分間に約2.5mgのビリルビンを処理できますが、肝機能が70%以下に低下すると黄疸が出現します。
原因分類 | 肝機能低下率 | 血中ビリルビン上昇 |
---|---|---|
急性肝炎 | 30~50% | 5~20mg/dL |
慢性肝炎 | 20~40% | 2~10mg/dL |
肝硬変 | 50~80% | 3~15mg/dL |
肝後性黄疸の原因
肝後性黄疸は、胆汁流出障害により発症します。
胆管の閉塞や狭窄により、1日あたり500~1000mLの胆汁排泄が阻害されることで、血中ビリルビン値が上昇します。
閉塞部位 | 胆管径拡張 | ビリルビン上昇速度 |
---|---|---|
総胆管 | 10mm以上 | 1~2mg/dL/日 |
肝内胆管 | 5~8mm | 0.5~1mg/dL/日 |
乳頭部 | 15mm以上 | 2~3mg/dL/日 |
遺伝的要因と環境因子
遺伝的要因と環境因子は、黄疸の発症に複雑に関与します。
Gilbert症候群では、UGT1A1遺伝子の変異により、ビリルビンのグルクロン酸抱合能が正常の30%程度に低下します。
- 遺伝性体質性黄疸(発症率:人口の3~7%)
- 薬物性肝障害(医薬品服用者の0.1~0.5%)
- 自己免疫性肝炎(人口10万人あたり1~2人)
黄疸の原因特定には、血液検査、画像検査、遺伝子検査など、複数の検査アプローチが必要となります。
早期発見と適切な対応により、多くの場合で改善が見込まれます。
診察(検査)と診断
黄疸の診断プロセスは、視診による皮膚や粘膜の観察から始まり、血液検査で総ビリルビン値2.0mg/dL以上を確認することで診断が確定します。
肝前性・肝性・肝後性の3つの病型を見極めるため、血液生化学検査や画像診断を組み合わせた総合的な判断を行います。
初診時の診察と基本検査
医師による問診と視診では、皮膚や眼球結膜の黄染度を確認し、総ビリルビン値が3.0mg/dL以上になると肉眼で黄染を確認できます。
腹部の触診では、正常な肝臓の大きさ(右季肋部で6~8cm)を基準に、肝腫大の有無を評価します。
診察項目 | 正常値範囲 | 異常判定基準 |
---|---|---|
肝臓触診 | 6-8cm | 10cm以上で腫大 |
脾臓触診 | 触知せず | 2横指以上で腫大 |
腹水量 | なし | 500mL以上で検出 |
体温、血圧、脈拍などのバイタルサインを測定し、全身状態を把握します。腹部の圧痛や抵抗の有無、表在リンパ節の腫脹なども入念に確認します。
血液検査による鑑別診断
血液検査では、まず総ビリルビン値(基準値0.2~1.0mg/dL)を測定し、直接ビリルビン値と間接ビリルビン値の比率から病型を判断します。
検査項目 | 基準値 | 黄疸時の値 |
---|---|---|
総ビリルビン | 0.2-1.0mg/dL | 2.0以上 |
AST | 13-33U/L | 病型により変動 |
ALT | 8-42U/L | 病型により変動 |
肝機能検査では、AST、ALT、γ-GTP、ALP、LDHなどの酵素値を測定し、肝細胞障害の程度を評価します。
血算では、赤血球数、白血球数、血小板数、網赤血球数なども確認します。
画像診断検査
腹部超音波検査では、肝臓のサイズ(正常値:右葉12-15cm)や実質エコーパターン、胆管径(正常値:総胆管4-7mm)を評価します。
検査方法 | 所要時間 | 被曝量 |
---|---|---|
超音波 | 15-30分 | なし |
CT | 10-20分 | 5-10mSv |
MRI | 30-45分 | なし |
造影CTでは、肝実質の造影パターンや胆管の走行を詳細に観察し、MRCPでは胆管系の3次元的な構造を把握します。
特殊検査と生検
ERCPは胆管の詳細な観察が可能で、総胆管径(正常値:4-7mm)や狭窄部位を特定できます。
肝生検では、16-18ゲージの針を使用して組織を採取し、病理学的診断を行います。
- 内視鏡的検査(ERCP:所要時間30-60分)
- 造影検査(MRCP:所要時間20-30分)
- 組織生検(局所麻酔下:所要時間15-20分)
- 遺伝子検査(結果判定:3-7日)
診断確定のプロセス
各種検査結果を総合的に判断し、黄疸の病型と原因を特定します。血液検査値、画像所見、組織診断結果を組み合わせ、最終的な確定診断に至ります。
診断精度を高めるため、複数の検査結果を慎重に評価し、必要に応じて経時的な検査値の変動も確認します。
黄疸の治療法と処方薬、治療期間
黄疸治療において、血中総ビリルビン値を2.0mg/dL以下に低下させることを目標とし、病型別に治療方針を決定します。
肝前性・肝性・肝後性の各病型に応じて、投薬、内視鏡的処置、外科手術などを組み合わせた治療を実施し、平均して4週間から12週間の期間を要します。
病型別の基本的な治療方針
肝前性黄疸では、溶血(赤血球が過剰に破壊される状態)の抑制を目的とした治療を行い、通常2〜4週間の治療期間を要します。
肝性黄疸における肝機能の改善には、一般的に4〜8週間の継続的な治療が必要となり、肝後性黄疸では胆道閉塞の解除に向けた処置を1〜2週間かけて実施します。
病型 | 初期治療 | 標準治療期間 | 治療目標値 |
---|---|---|---|
肝前性黄疸 | 溶血抑制薬 | 2-4週間 | Hb 10g/dL以上 |
肝性黄疸 | 肝庇護薬 | 4-8週間 | ALT 40U/L以下 |
肝後性黄疸 | 胆道ドレナージ | 1-2週間 | T-Bil 2.0mg/dL以下 |
薬物療法の詳細
ウルソデオキシコール酸製剤(600mg/日)を基本薬として使用し、肝機能の状態に応じてグリチルリチン製剤(40〜100mL/日)を併用します。
投与開始から2週間で効果判定を行い、必要に応じて用量調整を実施します。
薬剤分類 | 標準投与量 | 投与期間 | 主な副作用 |
---|---|---|---|
利胆薬 | 600mg/日 | 4-8週間 | 下痢(5%未満) |
肝庇護薬 | 40-100mL/日 | 2-4週間 | 低カリウム血症(1%未満) |
解毒薬 | 1-2g/日 | 2-4週間 | 悪心(3%未満) |
内視鏡治療と外科的治療
内視鏡的胆道ドレナージでは、直径7〜10Frのステントを留置し、胆汁流出を確保します。
手術療法の場合、腹腔鏡下胆嚢摘出術で平均手術時間90分、開腹手術では180分程度を要します。
治療方法 | 手術時間 | 入院期間 | 合併症発生率 |
---|---|---|---|
内視鏡治療 | 30-60分 | 3-7日 | 5%未満 |
腹腔鏡手術 | 90-120分 | 7-10日 | 3%未満 |
開腹手術 | 180-240分 | 14-21日 | 10%未満 |
治療経過のモニタリング
血液検査では、総ビリルビン値(目標値2.0mg/dL以下)、AST/ALT(基準値40U/L以下)、ALP(基準値340U/L以下)を定期的に測定します。
画像検査による評価も並行して実施し、胆管径(正常値4〜7mm)や肝臓サイズの変化を観察します。
モニタリング項目 | 測定頻度 | 改善判定基準 |
---|---|---|
総ビリルビン | 週2回 | 2.0mg/dL以下 |
肝機能酵素 | 週1回 | 基準値の1.5倍以下 |
胆管径 | 月1回 | 7mm以下 |
黄疸の完全な改善には、病型や重症度に応じて異なる期間を要しますが、一般的に総ビリルビン値が正常化するまでに4〜12週間程度の治療期間が必要です。
黄疸の治療における副作用やリスク
黄疸治療に伴う副作用やリスクは、投薬、内視鏡的処置、外科手術など、治療方法ごとに特徴的な合併症を伴います。
治療開始から3か月以内の早期副作用と、それ以降に発現する晩期合併症に大別され、発生頻度は治療法により0.1%から15%の範囲で変動します。
薬物療法における副作用
利胆薬による治療では、投与開始から48時間以内に消化器症状が出現することが多く、特に下痢は患者の約8%に認められます。
肝庇護薬(かんひごやく:肝臓を保護する薬)の使用では、投与期間が4週間を超えると低カリウム血症の発症率が2.5%まで上昇します。
副作用の種類 | 発現時期 | 発生率 | 対処法 |
---|---|---|---|
消化器症状 | 投与後48時間以内 | 8% | 投与量調整 |
電解質異常 | 4週間以降 | 2.5% | 補充療法 |
皮膚症状 | 2週間以内 | 3% | 投与中止検討 |
内視鏡治療のリスク
内視鏡的胆道ドレナージでは、処置中の出血が2.8%、術後感染が4.2%の頻度で発生します。
胆管穿孔は0.3%と稀少ですが、発生時の死亡率は15%に達するため、細心の注意を要します。
合併症 | 30日以内発生率 | 重症化率 | 予後 |
---|---|---|---|
急性膵炎 | 3.5% | 25% | 良好 |
胆管炎 | 4.2% | 30% | 要観察 |
出血 | 2.8% | 15% | 要処置 |
外科的治療の合併症
腹腔鏡下胆嚢摘出術における術後合併症の発生率は7.5%で、開腹手術では12.3%まで上昇します。
術後30日以内の早期合併症として最も頻度が高いのは創部感染で、6.8%の症例で認められます。
手術方法 | 手術時間 | 合併症率 | 入院期間 |
---|---|---|---|
腹腔鏡下 | 90分 | 7.5% | 7日 |
開腹 | 180分 | 12.3% | 14日 |
緊急手術 | 240分 | 18.5% | 21日 |
経過観察中のリスク管理
治療開始後の経過観察では、肝機能検査値の上昇が15%の症例で認められ、その半数は投薬調整を必要とします。
血液凝固能の低下は8%で発生し、特に手術後3週間以内の症例で顕著です。
検査項目 | 異常値出現率 | 重症度判定基準 | 観察期間 |
---|---|---|---|
AST/ALT | 15% | >200 IU/L | 12週間 |
PT活性 | 8% | <50% | 6週間 |
血小板数 | 5% | <5万/μL | 8週間 |
長期的な影響とQOL
治療後1年間の経過観察では、25%の患者で何らかの症状が持続し、そのうち15%は日常生活に支障をきたします。
社会復帰までの期間は、治療方法により2週間から3か月と幅広く分布します。
期間 | 症状持続率 | QOL低下率 | 社会復帰率 |
---|---|---|---|
3か月 | 25% | 15% | 75% |
6か月 | 15% | 8% | 90% |
12か月 | 5% | 3% | 95% |
これらの副作用やリスクに対して、定期的な経過観察と早期介入が治療成功の鍵となります。
治療費について
実際の治療費(医療費)が以下説明より高額になるケースが多々ございます。以下記載内容について当院では一切の責任を負いかねます事を予めご了承下さい。
処方薬の薬価
利胆薬(胆汁の分泌を促進する薬)や肝庇護薬(肝臓を保護する薬)などの処方薬における自己負担額は、3割負担の場合で1日あたり300円から1,200円の範囲となります。
薬剤種類 | 1日あたりの薬価 | 月間負担額 |
---|---|---|
利胆薬 | 300-500円 | 9,000-15,000円 |
肝庇護薬 | 800-1,200円 | 24,000-36,000円 |
1週間の治療費
外来診療における週間費用は、基本診察料に加えて各種検査料、薬剤費を含めると、15,000円から25,000円程度に達します。
- 基本診察料:2,800円(再診料含む)
- 血液生化学検査:5,000円(肝機能検査を含む)
- 画像診断料:8,000円(超音波検査など)
- 処方薬剤費:6,000円(1週間分)
1か月の治療費
入院加療が必要となった場合、個室料金や食事代を除いた医療費は、150,000円から300,000円程度です。
治療内容 | 概算費用 | 備考 |
---|---|---|
一般病棟入院 | 180,000円 | 差額ベッド代除く |
内視鏡処置 | 80,000円 | 検査料込み |
医療費の総額は治療期間や症状の改善度によって変動するため、早期発見・早期治療が経済的負担の軽減につながります。
以上
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