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ピコレーザーでシミが消えない?見落とされがちな本当の原因

ピコレーザーでシミが消えない?見落とされがちな本当の原因 | 医療法人丸岡医院

「ピコレーザーを受けたのに、シミが全然消えない」「何回も通っているのに薄くなった気がしない」。こういった相談を受けることが、実は少なくありません。

ピコレーザーは確かにシミ治療の選択肢として優れた技術です[1]。でも「ピコレーザーさえ受ければシミは消える」と思い込んでしまうと、期待と現実のギャップに苦しむことになります。ではなぜ、ピコレーザーでシミが消えないことがあるのか? そこには「シミの種類」「照射条件」「治療回数」「術後ケア」「肌質」という5つの要因が絡んでいます。

今回は、ピコレーザーでシミが思うように改善しない原因と、そこから考えるべき対処法について、僕なりの視点でお話しさせてください。

ピコレーザーがシミ治療で注目されるようになった背景には、従来のレーザー治療にあった「痛みが強い」「ダウンタイムが長い」「色素沈着が起きやすい」という課題がありました。ピコレーザーはパルス幅がピコ秒(1兆分の1秒)と極めて短いため、周囲の組織へのダメージを最小限に抑えながらメラニンを破壊できるとされています[1]。

「短い照射時間で効率よくシミを壊せる」「ダウンタイムが少ない」「肌への負担が軽い」。こうした特徴から、忙しい方にも受けやすい治療として人気が高まりました。ただ、ここで大事なことを一つ。ピコレーザーは万能ではありません。「すべてのシミに効く魔法のレーザー」ではないのです。

ピコレーザーの仕組みとメカニズム

ピコレーザーの仕組みを簡単に説明すると、従来のQスイッチレーザーがナノ秒(10億分の1秒)単位で照射するのに対し、ピコレーザーはその1000分の1短いピコ秒単位で光を当てます。この超短パルスによって「光音響効果」と呼ばれる現象が起こり、熱ではなく衝撃波でメラニン粒子を細かく砕きます[5]。

ではなぜこの違いが重要なのか? それは砕かれたメラニンの粒子が小さければ小さいほど、体内のマクロファージ(異物を処理する免疫細胞)が回収しやすくなるからです。つまり、皮膚のターンオーバーと免疫システムによって、砕かれたメラニンが自然に排出されていくわけです。

ピコレーザーには主に3つの波長が使われています。①532nmは表皮の浅い層にあるメラニンに効果的で、老人性色素斑やそばかすに向いています。②755nm(アレキサンドライト)は中間層のメラニンに作用し、さまざまな色素性病変に対応します。③1064nm(Nd:YAG)は真皮の深い層まで到達するため、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)や深いシミに使われます[3]。波長の選択を間違えると、当然ながらシミは消えません。

期待できる効果と実際の改善率

臨床研究のデータを見ると、532nmピコレーザーによる顔面の色素性病変の治療では、1ヶ月後および3ヶ月後に95%以上の病変で「良好から優秀」な改善が報告されています[2]。これだけ聞くと「ほぼ全員に効く」と思いますよね。

でもここに落とし穴があります。こうした研究で対象になっているのは「正しく診断された」「ピコレーザーが適応となる」タイプのシミなのです。つまり、そもそもピコレーザーが効く種類のシミだけを選んで治療しているから、高い改善率が出ているわけです。

実際の臨床現場では、シミだと思って受診したら「実は肝斑だった」「ADMが混在していた」というケースが珍しくありません。シミの種類によってレーザーの効き方はまったく違いますし、同じ人の顔に複数の種類のシミが重なっていることも多い。この「診断の精度」こそが、ピコレーザー治療の成否を分ける大切なポイントです。

ピコレーザーでシミが消えない5つの原因

僕が患者さんの相談を受けてきた中で、ピコレーザーでシミが消えない原因は大きく5つに整理できると考えています。

①「シミの種類の誤診」。これが最も多い原因です。老人性色素斑(いわゆる一般的なシミ)にはピコレーザーは非常に効果的ですが、肝斑にピコレーザーのスポット照射を当ててしまうと、かえって悪化することがあります[4]。肝斑はホルモンバランスや慢性的な摩擦刺激が原因で、レーザーの刺激がトリガーとなって色素がさらに濃くなるケースがあるのです。ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)も肝斑と見た目が似ているため誤診されやすい。ただADMの場合はピコレーザーの1064nmが有効とされており、正しく診断さえできれば治療は可能です[3]。

②「照射パラメータの不適切な設定」。レーザーはただ当てればいいわけではなく、波長、出力(フルエンス)、スポットサイズ、照射回数といったパラメータを適切に調整する必要があります。日本人の肌はフィッツパトリック分類でIII〜Vに該当することが多く、欧米人向けの設定をそのまま使うと炎症後色素沈着(PIH)のリスクが高まります。

③「治療回数の不足」。特にADMのような真皮レベルの色素沈着は、1回の照射で完治することはほとんどありません。通常3〜5回の治療を数ヶ月間隔で繰り返す必要があります[3]。「1回やって変わらなかったからダメだ」と判断するのは早計です。

④「炎症後色素沈着(PIH)の発生」。レーザー照射後に一時的に色が濃くなる現象です。日本人を含むアジア人の肌はメラニン産生が活発なため、PIHが起きやすい傾向があります。これは治療の失敗ではなく正常な経過の一部ですが、「シミが濃くなった」と感じて不安になる方が多い。通常3〜6ヶ月で自然に落ち着きますが、その間の紫外線対策が不十分だと長引くことがあります。

⑤「術後の紫外線対策やスキンケアの不足」。レーザー治療後の肌は紫外線に対して非常に敏感です。日焼け止めの塗り直し、帽子や日傘の使用を怠ると、せっかく薄くなったシミが再び濃くなることがあります。庄内地方のように冬でも意外と紫外線が強い地域では特に気をつけたいところです。

シミの種類と正しい診断の重要性

ではなぜ、シミの診断はそんなに難しいのか? それは「シミ」という言葉が非常に曖昧だからです。医学的に「シミ」と呼ばれるものには、実はいくつもの種類があります。

「老人性色素斑」は紫外線の蓄積によってできる最も一般的なシミで、ピコレーザーの効果が最も期待できるタイプです。「そばかす(雀卵斑)」は遺伝的な要素が強く、こちらもレーザー治療で改善が見込めます。

一方、「肝斑」は30〜40代の女性に多い、頬骨に沿って左右対称に広がる褐色のシミで、ホルモンバランスの変化が関与しています。肝斑に対してピコレーザーのスポット照射を行うのは原則として推奨されていません[4]。低出力のトーニング照射で改善を図る方法もありますが、トラネキサム酸の内服やスキンケアとの併用が基本になります。

「ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)」は20〜30代に発症しやすく、灰褐色から青灰色の色調を示す真皮のシミです。見た目が肝斑と似ているため誤診されやすいのですが、治療法はまったく異なります。ADMにはピコレーザーの1064nmまたはQスイッチレーザーが有効で、3〜5回の照射で著明な改善が期待できます[3]。

つまり、同じ「シミ」でも種類によってレーザーの適応が全然違うのです。ここを正しく見極められる医師に診てもらうことが、シミ治療の第一歩だと僕は考えています。

レーザーによるシミ治療の一般的な流れ

ピコレーザーによるシミ治療は、一般的に以下のような流れで進みます。

最初のステップはカウンセリングと診察です。ここが最も重要なプロセスで、ダーモスコピー(拡大鏡)や特殊な照明を用いてシミの種類を正確に診断し、肝斑やADMの混在がないかを確認します。この段階で治療計画を立て、必要な回数や間隔、費用の見通しをお伝えします。

施術当日は洗顔後に照射部位をマーキングし、設定したパラメータでレーザーを照射していきます。照射時間はシミの範囲にもよりますが、顔全体のトーニングで15〜30分程度、スポット照射であれば数分から10分程度が目安です。

照射後は冷却を行い、軟膏やテープで保護する場合もあります。術後のスキンケア指導を受けて終了です。次回の照射は通常4〜8週間後に設定されますが、シミの種類や肌の状態によって間隔は変わります。

痛みとダウンタイム

「レーザーって痛いですか?」と聞かれることが本当に多いのですが、正直に言うと、まったくの無痛ではありません。よく「輪ゴムでパチンとはじかれる感覚」と表現されますが、僕の印象ではそれよりも「一瞬チクッとする程度」に感じる方が多いです。以前、治療後に「思ったよりずっと楽だった」と話してくれた患者さんも少なくありません。

ピコレーザーは従来のQスイッチレーザーに比べると痛みが軽い傾向にあります[1]。これはパルス幅が短いぶん、熱が周囲に広がりにくいからです。ただ、痛みの感じ方には個人差がありますし、照射部位によっても違います。鼻の周りや頬骨の上は敏感に感じやすいという方もいます。

ダウンタイムについては、スポット照射の場合は照射部位にかさぶた(薄いマイクロクラスト)ができ、7〜10日程度で自然に剥がれます。トーニング照射では目立ったダウンタイムはほとんどなく、施術直後からメイクが可能な場合もあります。赤みが出ることがありますが、数時間から翌日には落ち着くのが一般的です。

リスクと注意点

医師として正直にお伝えしなければならないことがあります。ピコレーザーは比較的安全性の高い治療ですが、リスクがゼロではありません。

最も多いのが先ほども触れた炎症後色素沈着(PIH)です。日本人の肌はPIHが起きやすい肌質であり、照射後に一時的に色が濃くなることがあります。これは通常3〜6ヶ月で改善しますが、その間の紫外線対策とスキンケアが不十分だと遷延する可能性があります。

まれに、照射部位の色素脱失(色が白く抜ける)が起こることもあります[5]。出力が過剰な場合やメラノサイトがダメージを受けた場合に起こりえるものです。だからこそ、照射パラメータの設定に精通した医師のもとで治療を受けることが大切です。

肝斑がある部位にスポット照射を行うと肝斑が悪化するリスクがあるのは前述のとおりです。「自分のシミがどの種類なのか」を治療前にしっかり確認すること。これがリスク回避の最善策だと思います。

費用の目安

ピコレーザーによるシミ治療の費用は、施術方法とクリニックによって幅があります。一般的な相場として、スポット照射は1回あたり5,000円〜30,000円(シミの大きさによる)、顔全体のトーニング照射は1回あたり10,000円〜50,000円程度です。

ただ、費用だけで判断するのは正直おすすめしません。ではなぜかと言うと、安価な施術には理由があることが多いからです。使用するレーザー機器の性能差、医師の経験と診断力、術後のフォロー体制。これらすべてが費用に反映されます。

特に大切なのは「正確な診断ができるかどうか」です。シミの種類を誤診したまま照射しても効果は出ませんし、最悪の場合は悪化します。何回も無駄に通うことになれば、結果的に高くつく。だからこそ、最初の診断に信頼を置けるクリニックを選ぶことが、長い目で見たときのコストパフォーマンスに直結するわけです。費用の詳細は各クリニックに直接お問い合わせいただくのが確実です。

他のシミ治療との比較

シミ治療にはピコレーザー以外にもいくつかの選択肢があります。

「Qスイッチレーザー」はピコレーザー以前からある治療法で、ナノ秒パルスでメラニンを破壊します。老人性色素斑やADMには依然として有効ですが、ピコレーザーと比較するとダウンタイムがやや長く、PIHのリスクがやや高い傾向にあります[1]。一方で歴史が長いぶん臨床データが豊富で、信頼性のある治療法です。

「YAGレーザー」は1064nmの波長で真皮の深い層まで到達できるレーザーです。日本人の肌との相性が良く、PIHのリスクが比較的低いとされています。シミの種類や深さによってはYAGレーザーのほうが適している場合もあります。ちなみに、ピコ秒のNd:YAGレーザーというものもあり、これは「ピコレーザー」と「YAGレーザー」の良い部分を組み合わせた機器です。

「IPL(光治療)」はレーザーとは異なる広帯域の光を照射する方法で、顔全体の色調改善やくすみ取りに向いています。ただ、濃いシミをピンポイントで消すにはパワーが不足することがあり、ピコレーザーやQスイッチレーザーのほうが効果的です。

「トラネキサム酸内服」は特に肝斑の治療で重要な役割を果たします。レーザーとの併用で相乗効果が期待でき、ピコレーザーでシミが消えない原因が肝斑の混在だった場合、内服治療を加えることで改善するケースも少なくありません。

大切なのは「どの治療が一番か」ではなく、「自分のシミに合った治療はどれか」という視点で選ぶことです。一つの治療法にこだわるよりも、複数のアプローチを組み合わせるほうが結果として良い場合もあります。

当院でのシミ治療へのアプローチ

庄内プライベートクリニックでは、YAGレーザーを用いたシミ治療を行っています。僕がシミ治療で最も大事にしているのは、「治療の前に、正しく診断すること」です。

以前、ある患者さんが「他院でレーザーを5回受けたけど全然消えない」と相談に来られたことがあります。診察してみると、シミだと思われていたものの大部分が実はADMで、これまでの治療がその病態に合っていなかったのです。こういったケースは決して珍しくありません。

山形県酒田市という場所で美容医療をやっていて感じるのは、「遠くの大きなクリニックに通えないから、近くで信頼できる治療を受けたい」という方が本当に多いということです。都市部なら選択肢はたくさんあるかもしれませんが、通院の負担を考えると現実的ではない方もいらっしゃる。だからこそ、この地域でしっかりとした診断と治療を提供したいと考えています。

当院ではシミの種類を丁寧に見極めた上で、YAGレーザーによる治療、内服薬やスキンケア指導を組み合わせた治療プランをご提案します。「ピコレーザーでシミが消えなかった」という経験がある方も、原因を一緒に探るところから始めましょう。

よくある質問

Q. ピコレーザーを1回受けてシミが消えないのは普通ですか?

A. シミの種類や深さによっては1回で効果が出ることもありますが、ADMや深い色素沈着では3〜5回の治療が必要になるのが一般的です[3]。1回で結果が出なくても、治療計画に沿って継続することが大切です。

Q. ピコレーザー後にシミが濃くなったのですが、失敗ですか?

A. 一時的に色が濃くなる「炎症後色素沈着(PIH)」は、特にアジア人の肌で起こりやすい正常な反応です。通常3〜6ヶ月で自然に改善しますが、紫外線対策をしっかり行うことが改善を早めるポイントになります。

Q. 肝斑にピコレーザーは使えないのですか?

A. スポット照射は悪化のリスクがあるため推奨されませんが、低出力のトーニング照射であれば改善が期待できるケースもあります[4]。ただし、トラネキサム酸の内服や適切なスキンケアとの併用が基本です。

Q. ピコレーザーとQスイッチレーザーはどちらが効果的ですか?

A. どちらも有効な治療法です。ピコレーザーのほうがダウンタイムは短い傾向にありますが、シミの種類や深さによってはQスイッチレーザーのほうが適している場合もあります[1]。「ピコレーザーが上」と一概には言えません。

Q. ピコレーザーの治療間隔はどのくらいですか?

A. 一般的にスポット照射は4〜8週間、トーニング照射は2〜4週間の間隔を空けます。早く結果を出したいからと間隔を詰めすぎると、PIHのリスクが高まることがあるので注意が必要です。

Q. 自分のシミが何の種類か分からないのですが?

A. シミの自己診断は非常に難しいです。老人性色素斑、肝斑、ADM、そばかすは見た目が似ていることがあり、複数のタイプが混在していることも珍しくありません。皮膚科または美容皮膚科で正確な診断を受けることをおすすめします。

Q. シミ治療後に最も気をつけることは何ですか?

A. 最も重要なのは紫外線対策です。SPF50以上の日焼け止めを毎日塗り、2〜3時間おきに塗り直してください。帽子や日傘の併用も効果的です。治療部位をこすったり刺激を与えたりしないことも同じくらい大切です。

Q. 庄内プライベートクリニックではピコレーザーを扱っていますか?

A. 当院ではYAGレーザーによるシミ治療を行っています。シミの種類を正確に診断した上で、最適な治療法をご提案します。他院でピコレーザー治療を受けて効果を感じなかった方も、ぜひ一度ご相談ください。原因を一緒に考えるところから始めましょう。

参考文献

  1. Gallo L, et al. A Systematic Review of Picosecond Laser in Dermatology: Evidence and Recommendations. Dermatol Ther (Heidelb). 2021;11(2):525-547. PMID: 32282094
  2. Prospective Study of 532-nm Picosecond Laser for the Treatment of Pigmented Lesions of the Face and Dorsal Hands. Dermatol Surg. 2023. PMID: 36342252
  3. Takaya K, et al. Comparison of the Efficacy of 1064- and 730-nm Picosecond Lasers for Acquired Dermal Melanocytosis. J Cosmet Dermatol. 2025;24(3):e70123.
  4. Khunger N, et al. Comparison of the efficacy and safety of picosecond Nd:YAG laser, picosecond alexandrite laser and 2% hydroquinone cream in the treatment of melasma. Front Med. 2023;10:1132823.
  5. Stankiewicz M, et al. Medical Applications of Picosecond Lasers for Removal of Non-Tattoo Skin Lesions: A Comprehensive Review. Appl Sci. 2025;15(9):4719.

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丸岡 悠 医師 | 医療法人丸岡医院

監修医師

丸岡 悠(ゆう)

医療法人丸岡医院 理事 / 医師
庄内プライベートクリニック 院長

本記事は医療法人丸岡医院の監修のもと制作しています。

山形県酒田市出身。獨協医科大学卒業後、沖縄県立北部病院・日本海総合病院を経て現職。顔全体のバランスを見ながら注入部位と量を決める施術を行っています。

獨協医科大学卒業。沖縄県立北部病院、日本海総合病院を経て現職。庄内プライベートクリニックにてヒアルロン酸注入(TFT)・ボトックスを担当。

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