みなさんこんにちは、丸岡悠です。
鏡を見たとき、口角の横からあごにかけてすっと伸びる線が気になったことはありませんか。この線は「マリオネットライン」と呼ばれています。ほうれい線と混同されやすいのですが、位置が異なります。ほうれい線が鼻の横から口角へ向かうのに対して、マリオネットラインは口角の外側からあごの方向へ下がっていく溝です。
このラインがあるだけで、実年齢より5歳から10歳は老けた印象を与えてしまうことがあります。「なんだか疲れて見える」「不機嫌そうに見られる」と感じたことがある方、それはマリオネットラインの影響かもしれません。
今日はこのマリオネットラインに対するヒアルロン酸注入について、効果から費用、リスクまで正直にお伝えします。
マリオネットラインとは
30代後半から40代にかけて、多くの方が口元の変化を感じ始めます。マリオネットラインは医学的には「口角下制皺襞」あるいは「labiomandibular fold」と呼ばれ、口角の外側からあご方向へ走る溝のことです。名前の由来は、腹話術の人形(マリオネット)の口元の切れ込みに似ていることからきています。
ではなぜこの溝ができるのか?それは加齢に伴う複数の変化が同時に進行するからです。①頬の脂肪組織(メーラーファットパッド)が下垂する、②口角下制筋(DAO)の緊張が増して口角を引き下げる、③あご周りの骨が少しずつ吸収されてボリュームが減少する[1]。この3つが組み合わさることで、口角の横に深い溝が生まれるわけです。
遺伝や骨格による個人差はもちろんありますが、紫外線ダメージ、表情の癖、急激な体重減少なども悪化の要因になります。「年齢だから仕方ない」と考えている方も少なくないのですが、原因を正しく理解すれば改善の道はちゃんとあるんです。
ちなみに、マリオネットラインは放置すると年単位で少しずつ深くなっていく傾向があります。骨の吸収と脂肪の下垂は加齢とともに進行するからです。早い段階で対処したほうがボリューム補正の量も少なく済み、仕上がりも自然になりやすい。「気になり始めた今」が相談のタイミングとしてはちょうどいいわけです。
この治療が選ばれる理由
「マリオネットラインは骨格の問題だからどうにもならない」と思い込んでいる方が意外に多いです。でも実は、ヒアルロン酸注入は口元の老け見えを改善する方法として、世界中で最も広く選ばれている施術のひとつです。
理由はシンプルです。マリオネットラインの主な原因は「ボリュームの減少」であり、ヒアルロン酸はそのボリュームを直接補えるわけです。失われた土台を物理的に戻す、という発想に近いと言えます。手術のようにメスを使う必要はなく、施術時間も1〜2時間程度で、日常生活への影響がとても小さい。仕事を休まずに受けられるという点が、忙しい世代に広く支持されている理由です。
2023年に発表されたシステマティックレビューでは、ヒアルロン酸フィラーの安全性が改めて確認されており、中等度以上の有害事象の発生率は有意に低いと報告されています[2]。安全性のデータが十分に蓄積されているからこそ、世界中で選ばれ続けているのです。
施術の仕組みとメカニズム
ヒアルロン酸はもともと人間の体内に存在する成分で、皮膚や関節に含まれ水分を保持する役割を担っています。これを架橋(クロスリンク)技術で安定化させた製剤を皮下に注入することで、失われたボリュームを補い、溝を内側から持ち上げます。
ここで大切なのは、「マリオネットラインに直接注入すればいい」という考え方だけでは不十分だということです。マリオネットラインが深くなる背景には、頬全体のボリュームロスやフェイスラインのたるみが複合的に関わっています[3]。溝だけを埋めると、その部分だけ不自然に膨らんで見えるリスクがあるんです。
だからこそ、僕たちのクリニックでは「TFT(トータルフェイシャルトリートメント)」というアプローチを採っています。マリオネットラインの溝だけでなく、頬やこめかみ、あごなど顔全体のバランスを見ながら複数箇所に少量ずつ注入していく。こうすることで「どこに入れたかわからないけれど、全体的に若返った」という自然な仕上がりを目指すわけです。
最近の研究でも、複数部位への計画的な注入が表情の動きに自然に追従する結果をもたらすことが示されています[4]。笑ったり話したりしても違和感がない、というのはとても大切なポイントです。
期待できる効果
「実際どのくらい変わるんだろう」というのが、みなさんが最も気になるところですよね。正直に言うと、効果には個人差があります。マリオネットラインの深さ、肌の弾力、骨格、年齢によって仕上がりは異なります。
ただ、多くの方に共通して言えるのは、施術直後から変化を実感できるということです。ヒアルロン酸製剤が周囲の水分を吸収してなじむまでには約2週間かかりますが、注入した時点で物理的にボリュームが加わるため、鏡を見た瞬間に「あ、違う」と気づく方がほとんどです。
効果の持続期間は約1.5年です。ヒアルロン酸は体内で少しずつ分解吸収されていくため永久的な効果ではありませんが、1年以上持続するというのは大きなメリットです。1,822名を対象にした前向き調査でも、マリオネットラインへの注入後に90%以上の患者さんで有害事象は軽微にとどまり、長期的な改善効果が確認されています[5]。
ちなみに、効果が薄れてきたタイミングでメンテナンス注入を行えば、良い状態をずっと維持していくことも可能です。「一度やったら元に戻って終わり」ではなく、継続的にケアしていくという考え方です。
施術の流れ
当院でのヒアルロン酸注入がどのように進むのか、流れをお伝えします。
まずカウンセリングの予約をお取りいただき、来院当日に医師と看護師がお顔の状態を一緒に確認します。医師が診察を行い、マリオネットラインの深さや原因を診断する流れで進みます。頬やあご、フェイスライン全体のバランスを見ながら、どこにどのくらいの量を注入するかを相談して決めていきます。「ここはもう少しボリュームがほしい」「ここは控えめにしたい」といったご希望も、この段階で遠慮なくお伝えください。
施術はTFTアプローチで行います。1回の施術で3本から5本程度のヒアルロン酸を使用し、複数部位にバランスよく配分していきます。全体の所要時間は1〜2時間ほどです。
施術後は、経過観察のために1回通院していただきます。仕上がりの状態を確認し、気になる点があれば微調整のご相談もできます。その後さらにボリュームを加えたい場合は、数か月後に改めてご相談いただく形です。
痛みとダウンタイム
注射と聞くと「どのくらい痛いんだろう」と身構えてしまう方は多いです。正直に言えば、痛みがゼロとは言いません。特に口周りやあご付近は感覚が鋭い部位なので、注入時にチクッとした感触やじわっとした圧迫感を感じることがあります。
ただ、施術中は常に看護師がそばにいます。体の力が自然にほどけるよう声をかけたり、気持ちを紛らわせる工夫をしながら進めていくので、「身構えていたほどではなかった」とおっしゃる方がほとんどです。痛みの感じ方は本当に人それぞれですから、不安がある方はカウンセリングの際に率直にお伝えいただければ丁寧に対応します。
ダウンタイムについてですが、ヒアルロン酸注入は基本的にほぼゼロと考えていただいて問題ありません。施術直後にメイクをしてお帰りになる方もいます。ただし注入部位に軽い赤みや腫れが出ることがあり、これは通常数日で落ち着きます。内出血が生じた場合は1〜2週間かけて消えていきます。翌日からお仕事にも支障はありません。
リスクと注意点
美容医療に限らず、どんな医療行為にもリスクはあります。ヒアルロン酸注入についても、僕は医師として正直にお話ししておきたいと思います。
一般的な副作用としては、注入部位の腫れ、赤み、内出血、軽い痛みが挙げられます。これらは一時的なもので、通常は数日から2週間以内に自然に改善します。
頻度としては極めてまれですが、より注意すべき合併症もあります。最も警戒が必要なのは、ヒアルロン酸が血管内に入ることで起こる「血管閉塞」です。2024年に発表された48の高エビデンス研究を対象としたシステマティックレビューでも、重篤な有害事象の発生率は非常に低いと報告されています[6]。しかし、ゼロではありません。万が一発生した場合、皮膚壊死や視力障害に至る可能性があります。
だからこそ、顔の解剖学を十分に理解した医師のもとで施術を受けることが大切なわけです。ヒアルロン酸にはヒアルロニダーゼという分解酵素があり、問題が起きた際にはこれを注入して速やかに対応できます。この「溶かせる」という性質は、他のフィラー製剤にはないヒアルロン酸ならではの安心材料です。
ほかにも、しこりの形成や左右差、アレルギー反応が起こることはあり得ます。しこりは注入する層の選択や量が適切でない場合に生じやすく、施術前の治療計画が重要になります。
施術後に注入部位の皮膚が白くなったり強い痛みが長引いたりする場合は、血管閉塞の初期兆候の可能性があります。こうした症状が出た場合は早めに受診してください。時間が経つほど対応が難しくなるため、「おかしいな」と感じたらすぐにクリニックへ連絡することが大切です。
向いている人・向いていない人
ではどんな方にヒアルロン酸によるマリオネットライン治療が向いているのか?端的にまとめると、①口角からあごにかけての溝やたるみが気になる方、②メスを使った手術は避けたい方、③日常生活にほとんど影響のない施術を求めている方、です。
30代後半以降でマリオネットラインが気になり始めた方はもちろんですが、50代や60代の方でもヒアルロン酸注入は十分な効果が期待できます。年齢の上限はありません。
一方で、向いていないケースもあります。妊娠中・授乳中の方は施術をお控えいただいています。過去にヒアルロン酸製剤でアレルギー反応が出たことがある方も適応外です。ケロイド体質の方や自己免疫疾患の治療中の方は、かかりつけ医と事前に相談したうえで判断する必要があります。
「劇的に別人のようになりたい」という方には、ヒアルロン酸よりも外科的な処置が適している場合もあります。ヒアルロン酸はあくまで「自然に、もとの自分に近づく」ための施術だと考えてもらえたらと思います。
相談のタイミングとしては、「マリオネットラインが気になり始めた」「写真で見て老けたと感じた」「ほうれい線の延長で口元全体のたるみが進んだ」といったタイミングが多いです。美容医療は早めに検討するほど少量の注入で改善しやすいため、深くなりすぎてから悩むよりも、気になった段階でカウンセリングを受けてみるのがおすすめです。カウンセリングだけなら施術を決める前に、自分の顔の状態と選択肢を把握することができます。
費用の目安
費用についても率直にお伝えします。当院で使用するヒアルロン酸は1本あたり10万円です。マリオネットラインの改善を含むTFT施術では、顔全体のバランスを見て3本から5本を使うことが多いため、1回の施術で30万〜50万円程度が目安になります。
ではなぜ使用本数に幅があるのか?それは患者さんの状態によって必要な量が異なるからです。マリオネットラインが比較的浅く、ほかの部位への補正が少なければ3本で十分な場合もありますし、全体的なボリュームロスが進んでいる方は5本必要になることもあります。
ちなみに、日本国内のヒアルロン酸注入の価格は1本あたり3万〜8万円台のクリニックも存在します。この価格差はなぜ生まれるのか?大きな要因は「製剤の品質」です。安価な施術では、韓国製や厚生労働省の承認を受けていない製剤が使われているケースがあります。当院ではアラガン社の「ジュビダームビスタ」シリーズを使用しています。これは国際的に最も信頼と実績があり、日本の厚生労働省が正式に承認した製剤です。「安さ」だけで判断するのはリスクが伴うということを、ぜひ知っておいてほしいと思います。
効果が約1.5年持続することを考えると、月あたりに換算すれば1.5万〜3万円程度です。モニター制度を設けている場合もありますので、費用について気になる方はカウンセリングの際にご確認ください。
他の治療との比較
マリオネットラインの改善には、ヒアルロン酸以外にもいくつかの選択肢が存在します。それぞれの特徴を知ったうえで、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
ボトックス注射は、口角下制筋(DAO)の緊張を緩めることで口角を引き上げる効果があります[1]。ただ、ボトックスは筋肉の動きに作用するもので、溝そのものを埋めることはできません。マリオネットラインがまだ浅い段階であれば予防的に使えますが、すでに深い溝が刻まれている場合はヒアルロン酸との併用が効果的です[3]。当院ではボトックス注射も行っていますので、併用のご相談も可能です。
糸リフト(スレッドリフト)は、皮下に特殊な糸を入れてたるみを物理的に引き上げる施術です。即効性はありますが、当院では糸リフトは行っていません。一般的に持続期間はヒアルロン酸と同程度かやや短いとされ、術者の技量によって仕上がりにばらつきが出やすいという側面もあります。
フェイスリフト(切開手術)は効果の大きさと持続期間では最も優れていますが、全身麻酔とダウンタイム(2〜4週間程度)が必要で、費用も100万円を超えることが一般的です。
僕の考えとしては、マリオネットラインにはまずヒアルロン酸で全体のバランスを整える方法が、リスクと効果のバランスにおいて最も合理的だと思っています。そのうえで必要であればボトックスを併用するという段階的なアプローチが、多くの方に合っているのではないでしょうか。
当院での特徴
庄内プライベートクリニックでは、ヒアルロン酸注入を「TFT(トータルフェイシャルトリートメント)」のアプローチで行っています。
TFTの考え方はとてもシンプルです。マリオネットラインだけを「点」で治療するのではなく、顔全体を「面」としてとらえてバランスを整える。こめかみ、頬、あご、フェイスラインなど必要な箇所に適切な量を配分することで、「どこを治療したかわからないけど、全体的に若返った」という変化を目指します。
使用する製剤はアラガン社のジュビダームビスタシリーズです。厚生労働省が正式に承認した製剤を使うことで、品質と安全性をしっかり確保しています。
酒田にお住まいの方にとって、「地元で質の高い美容医療を受けられる」ということは大きな安心感につながると僕は考えています。東京の代官山TFTクリニックと同じアプローチ、同じ製剤で施術を受けていただけますので、わざわざ遠方まで通う必要はありません。
初めて美容医療を受ける方にとって、「いきなり施術を決めなければいけないのでは」という不安もあると思います。でも、カウンセリングはあくまで現在のお顔の状態を把握し、どんな選択肢があるかを知るための場です。施術を受けるかどうかはその場で決める必要はありません。マリオネットラインが気になったら、まずは自分の状態を知るところから始めてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q:
マリオネットラインのヒアルロン酸注入は何歳から受けられますか?
A:
年齢制限は特にありません。一般的には30代後半以降でマリオネットラインが目立ち始めた方からご相談が増えますが、20代でも骨格や体質によって気になる方はいらっしゃいます。カウンセリングでお顔の状態を確認したうえで、施術が適しているかどうかを一緒に判断していきます。
Q:
効果はどのくらい持続しますか?
A:
個人差はありますが、約1.5年が目安です。ヒアルロン酸は体内で少しずつ分解されるため永久ではありませんが、効果が薄れてきたタイミングでメンテナンス注入を行えば、良い状態を長期的に維持できます。
Q:
施術後すぐにメイクはできますか?
A:
はい、施術直後からメイクをしてお帰りいただけます。ダウンタイムはほぼないため、翌日からお仕事にも支障ありません。ただし、注入部位を強くこすったり押さえたりすることは1〜2日お控えください。
Q:
仕上がりが気に入らなかった場合はどうなりますか?
A:
ヒアルロン酸にはヒアルロニダーゼという分解酵素があり、万が一仕上がりに満足いただけない場合はこれを注入して溶かすことができます。この「やり直しがきく」という点はヒアルロン酸の大きな利点のひとつです。
Q:
1回の施術でどのくらいのヒアルロン酸を使いますか?
A:
TFTアプローチでは顔全体のバランスを見ながら注入するため、3本から5本を使用するのが一般的です。マリオネットラインだけでなく、頬やこめかみ、あごなどにもバランスよく配分していきます。必要な本数はお顔の状態によって異なるため、カウンセリングで相談しながら決めていきます。
Q:
痛みはどの程度ですか?
A:
注入時にチクッとした痛みや圧迫感がありますが、我慢できないほどの痛みではないとおっしゃる方がほとんどです。施術中は看護師が付き添い、緊張をほぐしながら進めていきますのでご安心ください。痛みへの不安が強い方は、カウンセリング時に遠慮なくお伝えください。
Q:
他院でヒアルロン酸を入れたことがありますが、追加で受けられますか?
A:
以前の注入からある程度の期間が経過していれば、追加施術は可能です。ただし、残っているヒアルロン酸の量や使用された製剤の種類によって対応が変わりますので、カウンセリングの際に過去の施術歴をお伝えください。状態を確認したうえで、最適なプランをご提案します。
Q:
ヒアルロン酸とボトックスは同時に受けられますか?
A:
はい、併用は可能です。ボトックスで口角下制筋の緊張を緩め、ヒアルロン酸でボリュームを補うことで、より効果的にマリオネットラインを改善できます。同時に施術するか、タイミングをずらすかはお顔の状態に応じて判断しますので、カウンセリングで最適な組み合わせをご提案します。
参考文献
- Braz AV, De Aquino Pinto Almeida J. Lower Face Rejuvenation with Injections: Botox, Juvederm, and Kybella for Marionette Lines and Jowls. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2017;5(12):e1551.
- Goodman GJ, et al. Adverse Events Reported From Hyaluronic Acid Dermal Filler Injections to the Facial Region: A Systematic Review and Meta-Analysis. Cureus. 2023;15(5):e39415.
- Kontochristopoulos G, et al. Novel Treatment Using Intradermal Radiofrequency and Hyaluronic Acid Filler to Correct Marionette Lines. J Clin Aesthet Dermatol. 2015;8(6):36-40.
- Goodman GJ, et al. An Objective, Quantitative, Dynamic Assessment of Hyaluronic Acid Fillers That Adapt to Facial Movement. Dermatol Surg. 2020;46(4):540-548.
- Prager W, et al. The Emervel French survey: a prospective real-practice descriptive study of 1,822 patients treated for facial rejuvenation with a new hyaluronic acid filler. J Cosmet Laser Ther. 2013;15(3):137-146.
- Kyriazidis I, et al. Adverse Events Associated with Hyaluronic Acid Filler Injection for Non-surgical Facial Aesthetics: A Systematic Review of High Level of Evidence Studies. Aesthetic Plast Surg. 2024;48(5):1005-1019.
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